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LEGEND MONSTERS Ⅲ(レジェンド・モンスターズ スリー)  作者: プリンアラモード
3章 シャインズ島侵攻と能力者たち
33/164

Episode32 万物裂断

◆今回初めて登場する人物◆

フラン(24)

黄昏界に住む若い女性。アレックスとは義兄妹の関係だが、彼としばらく会っていない。能力・万物裂断オーバースラッシュを保有する。

●今回初めて登場するアイテム●

ウィーゼルファング

フランの愛剣。「鎌鼬」と言う異名を持つ魔剣で、片刃である。見た目は刀によく似ている。

 「なっ...!?」

束の間の出来事にトーマスは目を大きくして驚く。そこにいたのは片刃の剣を片手に持った若い女性であった。

 「大丈夫ですか、アレックス。」

女性は剣を固く握り、アレックスにそう聞いた。

「フランか。久しぶりだな。」

彼は彼女にそう言う。

「久しぶりです。」

 ギュゥゥゥゥゥンッ!

トーマスが炎球を放つ。アレックスは、

「危ない!」

と叫ぶが、心配などなかった。

シュキィィィィィン!

女性・フランの一振りで炎球は砕け散り、その輝き宙を消えていった。

 「万物裂断オーバースラッシュか...。我々、ドュンケルサイドが欲していた能力だ。今ここでお前を殺し、俺がその能力を継承すれば、ドュンケル様はさぞかしお喜びになられるだろう。」

トーマスはその様子を見て、ニヤリとほくそ笑んだ。それを見たフランはしっかりと正面を見据え、柄を強く握り、剣を構えた。

 万物裂断オーバースラッシュ。その名の通り、万物を裂断する。つまり、あらゆる物を斬り裂く能力。たとえ、それが決まったら形が無い物であろうと斬り裂いてしまうのである。色々弱点はあるが、この能力の保有者は自身が持つ動体視力を倍増される。ほぼ、無敵と言っても良い。

 剣が夜の月光を反射して、明るく青白く照り輝く。

「行きます!」

フランはそう言って、構えを崩し、堂々とトーマスに向かって歩いて行った。彼は電撃を放つ。

シュキィィィィィン!

それは剣で斬り裂かれ、空を散る。

 ビュドン!ギュンッ!キョォォォッ!グゴォォォッ!

トーマスは水圧砲を放ち、風を吹かせ、光球を放ち、闇の波動を放つ。

シャキンッ!シャキンッ!シャキンッ!シャキンッ!

しかし、それらは全て斬り裂かれる。冷静に沈着に動きを見切り、剣で捌き、時には左へ右へかわす。

 フランがトーマスの前に立つ。フランは剣を構え、振りかぶる。彼は風で緊急回避する。彼女は剣を横に向けて、彼に走って突っ込む。

 それを見たトーマスは薄ら笑いを浮かべた。彼はフランに手をかざす。すると、彼女の下から大地の針が現れた。

「その程度ですか。」

しかし、彼女は余裕の笑みで飛び上がり、その針を踏み台にさらに上へ上へと飛び上がった。

 「何っ!?」

トーマスは上を見ながら、目を丸くする。フランは剣を上に上げ、彼の目前で前に振る。

「それがどうした!」

それを見た彼は、自らの上に地面で作ったシールドを作り出す

。しかし、それが剣に触れることは無かった。

 「どこへ行った!?」

トーマスは突如、消えたフランを探してキョロキョロ見回す。その末、彼は後ろを振り向いた。そこには、フランの後ろ姿があった。ここで、彼は気付く。

 突如、消えたのはアレックスがフランに向けて転移トランジションを使ったから。見ると、アレックスの座る位置が変わっていて、彼はどうだとばかりに薄ら笑いを浮かべている。

 そう、アレックスは恐怖に打ち勝ち、フランの上へ転移。それから、フランに触れ、トーマスの後ろに転移させたのだ。

 「クッ、そう言うことか!」

トーマスはそのことに気付き、歯軋りをする。しかし、もう遅すぎた。

 フランは剣を横に構え、体を捻り、その勢いのまま振りかぶった。鈍い音とともにトーマスの首と体が離れる。その首はしばらく宙を舞った後、血を垂らしながら地面を転がっていった。一方、体の方は血を夜の噴射しながら、地面に崩れた。そこには、血と死体だけが残った。

 こうして、フランは元々持っていた万物裂断オーバースラッシュに加え、トーマスの持っていた自然操作マニュピレートを継承した。

 その後、朝、騒ぎが起こらないように2人は後始末を済ませた。噴き出した血をふき取り、死体を片付けた。血痕1つさえ残さずに。

 そして、彼らは別れを告げる。アレックスは館の寝室に戻り、フランは暗闇の中へと歩いて消えていく。

 いよいよ夜はふけり、東の水平線に太陽の光が顔を出す。こうして、朝はやって来る。

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