Episode27 凶虫襲撃
●今回初めて登場する人物●
ジェール(34)
シャインズ国王の側近の1人。"シャインズ憲兵団"の兵長でもある。
★今回初めて登場する怪物★
タイプⅣ
惑星・ユミルに住む巨大なシャコ。凶虫の一種。前進を堅い殻で覆い、圧倒的な破壊力を誇る突進とパンチで攻撃をする。その正体は、シヴァという民族である。
僕たちが陰の館を出発した頃。バッファル島からシャインズ島に向けて、シャコ型の凶虫が、他の凶虫を乗せて、旅立った。
そして、それから約半日でヤツらはシャインズ島に上陸した。シャコ型の名前はタイプⅣ。タイプⅣたちは、乗せていた凶虫を下ろした後、凄まじいスピードで走り始めた。
ドーン!バコーン!ドコーン!
時には突進し、時には殴って港町の建物を壊していく。
「に、逃げろっー!」
「うわぁぁぁぁぁ!」
「いやぁぁぁぁぁ!」
「ママぁぁぁ!」
「こっち来ないでぇぇぇぇぇ!」
町中にそんな悲鳴が響き渡り、人々はバラバラに逃げ回る。彼らはタイプⅣや他の凶虫たちによって1人ずつ殺されていってしまう。
「ついに、来たか。初めに人口が集中しているこの島に来ると思っていた!」
リドナーの館。そこにいた、異世界人・アレックスの予想が的中する。その予想とは、人口が多い方から潰していき、最終的には、バッファル人を皆殺しにするだろうと言うこと。
「すまない、ジャック君!その子達は頼む!」
同じく館に住むジャックにアレックスは言う。「その子達」とはリドナーとテーラの子供達のことだ。ジャックは、
「わかりました。」
と承諾する。アレックスは、
「ありがとう!」
とお礼を言い、能力・転移を使って、凶虫襲撃の現場へと転移した。
そして、シャインズ国王からは討伐命令が出されていた。まず、琥珀の騎士団が派遣され、後衛としてフルゴル魔導師団が派遣され、さらに、紅玉の狙撃兵団の群青の聖戦団の出兵も命令された。リドナーも本来ならば出兵しなければならない。しかし、現在、バッファル島にいるリドナーがそんなこと知るよしも無かった。
「全くリドナーは何をしているのだ!大切な戦力になると言うのに!」
シャインズ国王・アバディーンは少しご立腹であった。しかしに、王の側近は少し優しかった。と言うより、事実を知っていた。
「リドナー兵がお越しになられないのは、バッファル島に戻り、これらの一件を根絶やしにしていられるからと思われます。証人がいらっしゃいます。嘘発見器も反応をしませんでした。」
「そうか。」
アバディーン王は納得して、その顔からは怒りは消えていた。そして、彼は続いて、シャインズ憲兵団を出兵させ、生き残っている国民を王都に避難させた。
しかし、暗黙の森にいるリリーとその両親が避難させられることは無かった。憲兵団があの暗黙の森に人が住んでいるはずが無いと言う先入観にとらわれていたからで、アバディーン王もこれに気付くことが出来なかったのだ。