Episode162 帝
「貴様らが我が父を...!燃やし尽くしてやるっ...!」
ファフニールは脳へ直接、憎悪を露に語りかけてくる。ヤツは言う通り、次の攻撃、炎を浴びせる。僕たちは四方八方へと散り、それぞれその先の敵を斬る、刺す、殴る、撃つで打ちのめす。
さらに、僕は続いて襲いかかった巨人を斬り上げて二つに裂き、死体を蹴ってさらに上へ。
「ペルスペクト!」
「ペルスペクト!」
「ペルスペクト!」
「ペルスペクト!」
「ペルスペクト!」
そこへ悪魔らが黒の球を放ってくる。下を見ればマリアの攻撃魔法、その取りこぼしのギヴールがテーラへ飛びかからんとしていた。
「ミノマムノヴァ。」
僕は咄嗟に全方位攻撃の光弾を放つ。ギヴールはこれを首に受けて地に落ち倒れ、球を相殺し、残る球の半数は地面の凶虫や巨人を貫き倒す。
「クロスエッジ。」
間髪入れず今度は無数に十字架の剣を撃ち出す。これを体中に受けて落ちていき、流れ弾は下の敵を刺し穿つ。そうして怯んだ敵を、他の皆が魔法や銃、聖なる拳などそれぞれで倒す。
その内に、蝶の毒粉を魔力解放で吹き飛ばし、
「バインダー!」
とその蝶を拘束する。だが、その紐は片端を僕が掴み、振り下ろしてソイツを地面に叩きつけ、その反動を使ってさらに上へ。
やがて、僕はファフニールの真上へ。フランさんも横に現れ、まずはそれぞれ分かれて両目を狙う。だが、
キキキィィィィィッッッン!
と何かに弾かれる。見ると、先ほどまで見えていた目は周りと同じ青い外殻に覆われ、少し経つとその殻は消えて再び目が露になった。
「前戦った時、あんなのできてたか!?」
落ちて見上げながら僕は驚き、そう言う。これにフランさんは、
「さっきの言葉を聞いて察するに前に戦ったのは中のがアイツじゃなくてアイツのお父さんよ。スコーピオン、ファフニール、ギガンテス、サキュバス。まとめて『四帝』って呼ばれてるけど、それぞれ心臓を移植させることで次の者へ力を継承するの。そして、まれに『帝』って呼ばれる身体を自由に変形できる継承者が現れるの。おそらく、今のファフニールの中はその『帝』。あれはドュンケルの力の1つ、身体変化の名残らしいわ。」
と僕に説明をしてくれる。これでまたヤツらの情報を深めることができた。
そして、炎を放ちながらファフニールが下り立つ。同時に、両手の爪を鉤爪とし、他5人へ引っ掻かんとする。
「クッソ...!」
僕は歯噛みし、加速で下から潜り込んみ、右側の鉤爪を剣で防ぐ。向こうはフランさんが防ぎ、そこの鉤爪を斬り落とす。
両脇へ目を向けたかと思えば、ファフニールは飛び立ち、横から突如、蝦蛄が現れる。僕とフランさんはともに反応が少し遅れ、両者それぞれ相討ちに持ち込まれ、吹っ飛ばされて互いの背が激突する。
「いってぇ...。」
「つぅっ...!」
僕と彼女はぶつかった背中を押さえて固まる。
と、そこへファフニールの上顎が二又の槍となって二人を同時に狙う。
「リドナー!」
「フラン!」
バーロンとアレックスさん、それぞれの言葉で僕たちはこれに気付く。僕はすぐさま、
「プラテクション!」
と唱えて障壁で防ぐ。
「今度はこっちだ!モールド!」
僕は言い、地面を鋭利な刃に。これで槍を弾き返し、さらに壁から岩を切り離し、これを岩の鎚で吹っ飛ばす。
ドガァァァッッッ!
ファフニールは地面へ激突する。
すぐにヤツは立ち上がり、巨人の攻撃に合わせて、炎を放つ。
「プロテクション!」
僕は唱えてこれを防ぎ、続く「モールド」で地面に針を生み、巨人を足止めする。そこへフレイアが聖なる拳を放って、腹を吹き飛ばした。
これほど倒してもまだ数は減ったようには感じられない。流石は拠点の防衛隊、実に脅威的な兵力である。