Episode160 根城へ
邪神蹂躙が始まって約半年、リドナーらが機獣兵を遣って約3ヶ月。この間、機獣兵は敵を多く倒し、超兵器の導入で人々ら反撃の一途を辿っていた。
そして、僕たちはついに陰の森の辺り、奴らの根城の目の前に来ていた。共にいるのはバーロン、テーラ、マリア、オーロラさん、ジャック、フレイア、ニコラス、フランさん、アレックスさん。子供はアレクに任せていた。手練れ相手に召喚術師が表へ出るのは愚かだし、恐竜たちをそこへ連れていくのは嫌だと彼が自ら言ったのである。かと言って人は多ければ多い程、良いのでアレックスさんにはついてきていただくことにした。ジャックに関してはオーロラさんとともにやってきて、それを俺から助っ人を頼んだ形である。
と、そこで後ろからの気配。これにニコラスはいち早く反応、振りむきながら銃を構え、その先をその気配の方へ向けた。
その正体は手に見覚えのある銃を持ち、その右腕には赤の魔石を嵌めた腕輪がある。それは僕の旧友、いや、親友の銃使い・マットであった。
「久しぶりだな、友よ。」
「マット!久しぶりだな!」
「マットじゃねえかっ!久しぶり!」
彼が言ったので、僕とバーロンは目を丸くしてそれぞれ返す。
「マリアちゃん、テーラちゃんも久しぶり。ところで、そこの2人はお前の新しい仲間か、リドナー。」
続いて、彼はマリアとテーラにも言う。
「久しぶり。」
「久しぶりね。」
彼女らもそう返し、僕が
「こっちはアストラルファイターのフレイア、あっちが銃使いのニコラスだ。」
と説明した。これを聞けば、マットは
「銃使いのマットだ、よろしく。」
と言って2人と握手を交わす。
「て言うか、お前...。何でバッファルに来てるんだ?」
だが、そんなことよりもそこが気になる僕である。聞いてみると彼は、
「あぁ、俺は"紅玉の狙撃兵団"に入ったんだ。リドナーが"群青の聖戦団"に入った後にね。まだ、俺はまだ下っ端でリドナーは精鋭部隊に属していたからお互いに知らなかっただけだよ。」
と言った。そう言われて、俺はマットの腕なら、と納得する。
「で、他の団員とともにバッファルへ来ていたって訳だ。既に巨大な虫の群れに多くの部隊が壊滅したらしいが、俺はお前を見つけるために島を彷徨っていたんだ。やっと、見つけたぞ。」
さらに彼をそう続け、彼も僕たちとヤツらの根城へ乗り込こととなった。
「で、この穴がヤツらの根城なのか?」
と言うマット。
「あぁ、間違いない。ニュースで見たあの時、敵の親玉・ドュンケルらしき巨人はここで麒麟たち聖獣と戦っていた。」
「だけど、中央に丸い丘みたいなのがあるだけだぞ?」
「だったら、奴らはその中に、あるいはその下にいるってことだ。」
「なるほど...。魔術の類いで隠しているのか...?」
僕とニコラスは言葉を交わしていると、
「まぁ、まずは下に行ってみれば良いんじゃないか?外れかもしれんが、少しでも当たりの可能性があんなら行く価値はある。」
とバーロン。
「それもそうか。モールド!」
僕は彼の言葉に従い、下へ行くべく壁から階段へと固有魔術を以て形を変える。数分程でそれは完成、「エクステンダー」で視野を飛ばして見てみても欠陥はない。
「行くぞ。」
の一言で俺たちはその階段を下りていく。ヤツらの根城を目指して。