Episode159 反撃開始
◆今回初めて登場する人物◆
ギュンター(56)
現ベルギー軍元帥。まだ兵士をやっていた全盛期の頃、その圧倒的な生命力と殺傷への執着、死への恐怖の欠乏から"鬼神"として恐れられていた。
ラインハルト(42)
ベルギー出身の有能な光科学者。そのことを買われて、大学卒業後はベルギー軍の兵器開発部にスカウトされこれに応じた。現在はその開発部の幹部となっていて、ドイツ共同の光学超兵器開発に大きく貢献した。
協商軍の進撃はついに完遂間近となる。ブリュッセルには既に40ヶ国ほどが集まり、残るはノルウェー、スウェーデン、フィンランド、エストニア、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、ゼルビア、ギリシャ、イタリアの全10ヶ国のみである。
彼らも数日立てばブリュッセルへ来るのだがやはり数はかなり減っていた。市街地を可能な限り避けて進路を設定し、索敵も行っていると言っても奇襲などで交戦やむを得ないことがあったのである。ベルギー軍軍曹は各国から欠けた部隊の壊滅を確認し、同じくベルギー軍元帥・ギュンターに伝える。これを聞くと、
「全体、こちらへ注目!」
と言って部隊全てを前へ向かせる。
「まず、勇敢な兵士ら諸君に敬意を評する。よくぞここまで来た。私は諸君と世界防衛に赴けることを誇りに思う。そして、死んでいった兵士もそのために最後まで戦ったことであろう。彼らの誇り高き戦死に私は感謝し、必勝を誓う。」
ギュンターの言葉。これに皆がうなずき、
「では、地下の武器庫へ向かおう。我々、ベルギーが隠し持っていた超兵器がそこにはある!それらの武器を以て反撃開始と行こうではないか!」
とギュンターが返す。
「うぉぉぉぉぉっっっ!」
響く雄叫び、その地下室への扉が開き、彼らをそなの奥の階段を下りていった。
「前からベルギーが飛んでもない武器を隠し持っていたって噂があったけど、アレ、本当のことだっんだな...。」
どこかの国の兵士が言う。
「あぁ、本当だよ。我々、ドイツも共同開発の新兵器だ。レーザー銃やプラズマ砲などがある。あと、組立式のウォーフレイムっていうメカとかもある。」
これにドイツの兵士が返した。
「SF映画みたいな話だ。」
信じられないと言う顔をするまた別の国の兵士であったか、嘘をつく理由もない。すぐにそれが現実であることを理解した。
そして、彼らはついにそんな超兵器を目の当たりにする。あちらこちらにケースが置かれ、その中にそれらがある。 奥の的へ銃を撃ってみれば、
ビギュンッ!
という音とともに確かに交戦が放たれ、その的を黒く焦がした。そこからは煙まで出ている。
「これは...凄い...。」
と狙撃者が目を丸くしてその銃口を見た。
「さて、これらの新兵器だが弾の装填は必要ない!必要なのは電気のみだ。充電の手段としては有線、太陽光、そしてダイナモがある。有線充電の場合、銃後部のポートに専用の線繋げろ。太陽光は上部の太陽光パネルより常に行われ、ダイナモは右側面の引き出ししから取っ手が現れるので、それを回せ。」
ここでギュンターの脇にいた開発チームのトップであったラインハルトの説明が入る。開発者と言っても、彼自身前線で戦う尖兵でもあった。兵士はこれわ受けて全ての機能を確認する。
こうして、超兵器を手にした兵士たちは世界防衛のため世界各地へ飛び出し。ある者は占領された基地の奪還へ、ある者は国連軍の援軍及び兵器提供へ、またある者は自国の国防へ。
彼らの超兵器は敵からすれば超格下から格下になった程度のものである。しかし、そんな些細な変化も戦場では戦況を大きく変えるものとなり得るのである。それに、彼らには陰ながら機械獣、魔術師、そして敵と唯一同格の黄昏界クロスサイドまで味方である。それらと合わせてみれば、今まで支えられっぱなしであった内世の兵士が自ら戦う手段を手に入れたという大きな変化であった。