Episode158 追跡の妨害者
★今回初めて登場する怪物★
ダイバン
古代の土木工事用機械獣。ペンギンの姿をした、小型の機械。くちばしを回転させて穴を掘ったり、手を回転させて鉄板をも切断する刃としたりなど色々な作業ができる。ほぼ垂直な壁でもよじ登るほどの強靭な足と手を持つ。それらを攻撃手段として見ても、かなり強力である。
統一戦線が形成されてまたしばらくの戦闘があり、変化のできない人兵は全滅。木偶はターミネートルの牙に焼き尽くされて、凶虫も多くが死体となって地面に倒れた。
しかし、ヤツらの圧倒的な兵数の前にただ長期戦を強いられていた。あれから隣国・スイスの軍事基地を制圧した巨龍の軍団とグングニル隊とがパリへやって来たのである。グングニルの攻撃は遮蔽物に隠れれば当たることはなかったし、巨龍も炎弾は厄介だが、ビルとビルの間を縫えるのは耐久面で貧弱なギヴールのみで、
ズドドドドド...!
と協商軍の一斉連射で次々倒れいくのであった。
だが、もちろんこちらも死者を出さないと言うわけではない。
ズドドドドドドドドドド...!
と銃声が連なる中、銃撃を逃れた一部ギヴールが、兵に噛みつき空中で弄ぶのである。
「ぎゃぁぁぁっっっ...ぐぅっ!?」
「がぁっ!」
「いぎゃぁぁぁっっっ!」
ある者は空高くから落とされ、ある者は何度もビルの壁に叩きつけられ、ある者は複数のに引き千切られて、あちらこちらを血の赤が染められた。
それでも、彼らは機獣とともになんとかこの激戦で勝利を勝ち取り、ベルギーへ急いで向かう。失った兵士は当初の4/5、つまり1/5にまで兵数を減らされたのである。あまりに惜しい犠牲ではあったが、人類勝利のために召集を急ぐのであった。
その一方、ポーランド協商軍が通過したばかりの都市・ベルリン。多大な犠牲を出しながらもここを抜けた協商軍を蟻、蜘蛛、蝦蛄、木偶、人兵、恐竜の陸戦部隊が追跡していた。
ドガァァァッッッン!ドガァァァッッッン!
協商に空軍にミサイルを撃ち込まれ、次々兵が倒れるも、構わず突進を続けた。
しかし、彼らの行く手を阻むの何も空軍ばかりではない。むしろ、ソレは空軍よりも厄介な相手である。
それは機械獣であった。サポータルはもちろん、オブザーブ、ブレイカー、ターミネートル、ダイバンの全5種。
まず、バフィロスがヤツらへ突撃する。
「行け!我ら、アラクネーの力を見せつけろ!」
そこでアラクネーの人兵指揮官による指示。これを受けるなり、すぐ蜘蛛から糸がばらまかれて、バフィロスらをくくりつける。
「よし、敵の特攻は防いだ!畳み掛けるぞ!」
そこで指揮官は指示を出して、木偶の銃撃援護の元、凶虫たちが機獣の方へいく。さらに、恐竜を後ろにやって挟み撃ちとした。
だが、そこを狙われる。後ろをターミネートル、ブレイカーに任せてオブザーブは雨のように火球を放つ。その流れ玉がバフィロスの自爆機能を作動。
ドガドガドガァァァァァッッッン!
と爆音が連なり、凶虫が弾け飛ぶ。その火が糸に引火し、導火線の要領で蜘蛛たちが燃え尽きる。その炎の中を機獣が通り抜け、再び火球を雨のように放つ。
それに合わせてディノニクスが群れで中型機械に襲いかかる。中型機械らはソイツらを払いのけ、噛みつき、突き刺しする。だが、その隙にT-レックスがそれらの背中を噛み砕いていく。
そこへオブザーブが飛びかかる。払い落とされ、踏み潰され、噛み潰されたりするも、何度も飛びかかって至近から火球を放つ。木偶はこれらに銃を放して、落とす。人兵は建物に入ってそこから、
「スクロペトゥム!スクロペトゥム!スクロペトゥム!」
の黒の球を機獣を狙う。
両者、決死の戦い。あちらもこちらも次々に倒れていく。
だが、その中、今まで常にT-レックスへ貼り付いていたオブザーブがそこから降りる。後ろからハールグリフが現れたいたのである。その巨体ではT-レックスにかわせずハールグリフの邪導砲をまともに食らって死に絶える。ハールグリフはさらに木偶や凶虫も倒していく。
「何なんだ、あの機械獣!?他のヤツとは全く...」
それを建物の中で見ながら、攻撃の準備にかかる人兵。だが、それをダイバンが阻む。ドリルのように回転するその嘴は建物の壁を貫き、風穴を開ける。そこへハールグリフの邪導砲が覗き込んだ。
「なっ...。」
兵は一瞬固まり、断末魔とともに血が弾け飛ぶ。
ハールグリフの登場は一気に優勢をこちらへ傾け、ついに機獣は敵兵を全滅させて協商軍の追跡を防いだのである。