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Episode157 軍と機獣の統一戦線

 そして、欧州大協商は詳説、休息の1日をおいて、早速、協商軍出陣へと乗り出す。

 まず、各国協商軍はベルギーでの召集に向かった。EU本部を奪還、そこを軍本部として使い回すとのことである。ただ、もちろんただ向かうのでは兵の犠牲を増やすのみ。故、彼らには市街地を避けた進路と夜間を主とした移動が伝えられた。

 加えて、軍にはもう1つ交戦を避けるための手立てがあった。名はSEFA(セファ)作戦、戦闘機による索敵である。敵に対空兵器がないこと、そして、ヤツらのほとんどが巨躯であることを利用し、空軍が陸海軍のために索敵を行うのである。もちろん、龍や翼竜への対策として、高所からの実行が伝えられている。

 だが、敵勢の怪物らが元より人間である以上、取りこぼしは必然のことであった。彼らがこのことを知っていれば警戒はできたであろうが、知らぬでは警戒すらできるはずもない。

 ヤツらはバッファルから離れているため変化は不可、だが変化せずとも戦う術は持っている。しかも、恐竜の後ろ楯まで有している。


 フランス協商軍が首都・パリの外側を行く途中、タイプⅠことミュルミドン、タイプⅡことアラクネー、そしてタイプⅢことシヴァたちが立ちはだかった。

 「東方、パリ郊外にて敵襲!交戦はやむを得ない!」

『西方も同じ!』

と無線のやり取りがあり、東方、西方ともに未だ計り知れない邪神軍との交戦を開始する。

 ズガガガガガガガガガガ...!

と尖兵は自動小銃で彼らを撃ちながら、建物の裏へ。

「スクロペトゥム。」

「ラミナ。」

「エルプティオ。」

邪神側は球を撃ち、刃を飛ばし、爆撃を見舞う。協商軍は着実にヤツらの数を減らしつつ、自らも射殺、斬殺、爆殺を受け次々と死んでいく。しかもそこへ、空軍から

『パリ中央の巨人、巨蟲、巨龍、ならびに恐竜が一斉に東西郊外へ進み出した!これより空爆を開始するが、精々数を減らせるのみである。全軍、警戒を怠るな。』

との悪報。間もなく、中央から立て続けの轟音が響き渡り、空軍による空爆の開始を伝えた。


 SEFA作戦の目的は陸海軍の交戦回避であり、比較的安全な空軍の交戦回避ではない。敵の航空機が確認されていない現状であればなおさら、空爆による一方的な攻撃が必要となる。だが、一度取りこぼしてしまえばもうなす術はあまりない。深追いすれば、空爆により陸海軍ごと爆撃する羽目になりかねないのである。

 とは言え、敵の多くは爆撃に巻き込まれて死滅。これに伴い、エッフェル塔含めパリ中央の多くの造物は崩壊。陸軍進行のためとは言えど、惜しい損失であった。

 

 運良く爆撃を逃れた敵の増兵が現れたのはそれからしばらくのことである。

 ズドドドドド...!ギュギュギュゥゥゥ...!

建物の裏から軍の銃がヤツらを狙い、対するヤツらは戦場で最も恐れられる死への恐怖の皆無で攻撃を放ち続けていた。

 そこへまずロケットランチャーを持つ木偶である。ヤツはそランチャーを軍の隠れる建物へと連ねて発射。

ドガガガガァァァァァッッッン!

と音が下かと思うと、彼らに瓦礫の雨が降り注いだ。

「落ちてくるぞぉぉぉっっっ!逃げろぉぉぉっっっ!」

と指揮官は言う。これに合わせて、兵は向こうの建物へ逃げていく。

 だが、そこへ上から別の木偶がおりてくる。しかも、よりにもよって持つのはショットガン。

「なっ...。」

と兵士は息を呑んで固まり、しばらくの沈黙。それを破ったのは

ズガン!ズガン!ズガン!

との力強い銃声、そして

「ぐぁぁぁっっっ!」

「ぎゃぁぁぁっっっ!」

「がぁぁぁっっっ!」

との断末魔である。

 その後、恐竜兵も現れ先程までの拮抗状態は一気に劣勢へと傾く。増兵到着は軍の兵数を大きく消耗し、やがては敵数の1/2近くにまで陥ってしまった。

 しかし、この町にも救世主は存在していた。皆がヤツらの圧倒的な力に絶望する中、救世主が現れる。

 ガゴォォォッッッ!

ショットガン持つ木偶の横から突如として巨大な機械が現れる。姿はサーベルタイガーに酷似、殲滅機獣のターミネートルである。間もなく、木偶は燃えつつ地に倒れる。

 ズガァァァッッッン!

と木偶は機械にロケットランチャーを放つが、着弾時にはそこから姿を消し、木偶の後ろを取っていた。建物の壁には穴が空き、窓ガラスが所々割れている。それは、ターミネートルがビルを登った跡であった。木偶に弾の装填の暇はなくただ機械に燃やされる。

 「おぉ、あれが司令官の言ってた機械仕掛けの生き物か...!」

それを見ながらある1人の兵士は言った。

「やっちまえぇっ!俺たちが援護するぞぉっ!」

とまた別の兵士も言う。これを聞いた指揮官は、

「全兵に告ぐ!我々に救世主が現れた!正体はやはり不明、しかし彼らは敵を攻撃するのみである!己の命を第一に、全力で援護射撃をせよ!」

と無線で隊に伝える。

 しばらくすると、オブザーブやブレイカーも現れ、炎弾、水弾で次々、敵の人間部隊が飛ばされていく。それを見ながら、

「撃てぇぇぇっっっ!」

と誰かが叫び、これに合わせて小銃を一斉に発砲。

ズガガガガガガガガガガガガガガガ...!

と止めどない銃声が響き渡り、人間部隊が多く死に絶える。拮抗だった形勢は劣勢となり、再び拮抗へ。しかし、それに留まらず徐々に優勢の方へと傾き始めた。

 こうして軍と機獣の統一戦線が偶発的に形成されるのであった。

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