表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
151/164

150話 機銃以て内世の逆襲

★今回初めて登場する怪物★

サポータル

古代の支援用機械獣。ポータルを利用しての支援が主要で仲間の転移、増援の要請、軽い修理など色々なことが可能である。弱くはあるがそれ自身も鋏状の腕で殴るという攻撃手段を持っている。ヤドカリ型の中型機械獣であり、軽い自己再生能力まで持ち合わせているため、長期に渡っての支援が可能である。

●今回初めて登場するアイテム●

ポイントサーチャー

地図と併用することで、指定した場所の座標を経緯度、何分何秒まで精密に知ることができる。しかし、魔力消費の激しい代物で尋常の魔力量であれば全て充填しても数回しか使えない。

 「イギリス海軍軍事基地を制圧。続いて、アメリカ空軍軍事基地も制圧。各基地に守衛を置く。応答に応じる者は巨龍ドラグーンに乗りて基地に集え。」

死体が握っていたヤツらの無線からそんな声が聞こえてくる。

 「なるほど...どうやら、敵は世界中に軍を遣ったようよ。おそらく恐竜の兵も動員して総力戦に持ち込まれているわ。」

「何だって!?あんな怪物を三大神の加護のない所になんて出したら...!」

「えぇ、かなり凶暴な化物と化すでしょうね。おそらく、ここらで恐竜を相手にするよりも圧倒的に手強いわよ。」

オーロラさんの言に僕は驚きを見せ、僕の言に彼女がさらに返す。

 こうなると、本当に機獣兵で対抗せねばならないだろう。そう思って僕は、

「オーロラさん。機械獣を兵器として世界中へ派遣するということはできませんか?」

とオーロラさんに聞く。流石の僕も実際見たことのない場所へ大量の物体を送り出すことは不可能である。あくまで神宿しゴッド・ドウェルとは戦闘面においての尋常超越であり、他の面においては魔力量を除けば月並みなのである。

 だが、高等錬金術師というのも万能なわけではない。

「残念だけど、それは不可能よ。錬金術っていうのは無から有を生み出す、または有を別の有に変換することしかできないの。転移なんて荒業はできないわ。」

とオーロラさんは言う。だが、答えは得た。オーロラさんぇも転移は不可能、であれば確実に転移のできるアレックスさんに頼む他にない。

「一度、シャインズ島へ戻りましょう。各地へサポータルさえ送ってやれば後は彼らが呼び寄せてくれます。」

と僕は言い、オーロラさんに空飛ぶ馬車の生成も頼んだ。

 「分かったわ。まず、呼ぶわね。サポータルよ、ここに集え。」

オーロラさんは頷くと、洗脳ブレインウォッシュで命を出す。しばらくすると、ヤドカリ型の機械がこれに従い現れた。

「マリア、|超小型収納箱 ( スモール・キューブ )は余ってるか?」

「えぇ、10個ほど。」

「よし、それだけあれば十分だ。その中にサポータルを入れてくれ。」

「了解。」

続いてマリアに指示を出すと彼女は|超小型収納箱 ( スモール・キューブ )を出してその中へ次々サポータルを収納していく。

 そして、オーロラさんが作り出した天馬の引く馬車に僕たちは乗り込み、彼女の合図で宙へ浮き、北東方向、シャインズ島の方角へ飛び出した。

 

 それから、僕たちは馬車に小一時間揺られてシャインズ島の端へと辿り着いた。だが、何やら様子がおかしい。町は沈黙し、ただ生暖かい風のみがひゅーひゅーと家と家の間を吹き抜けている。半壊、あるいは全壊の家に割れた窓ガラス。

「どうしてこんなに静かなの?」

と不安しうな顔で辺りを見渡すテーラ。

「全く人気を感じない...。」

これにマリアも同じような顔をする。他は何かを察したかただ黙り込むのみである。僕は、

「サーチ。」

と探知魔法を発動。対象を人間に限定し、半径を最大の100mに拡大し、人を探した。だが、どこからも反応はないのである。

 「ここら一帯に人はいないようだ。王都に避難したのかも...いや、そのはずだ。」

僕は結果報告の後、語調を強めてそう言う。オーロラさんは

「行きましょう。今、アレックスに会ってサポータルを世界中へばらまくことでしょ?」

と堂々とした顔で僕に聞き、

「はい。彼らの無事を確認するのはその後で。」

と同じような顔でこれを返す。

 屋敷へは「モーメント」ですぐであった。所要時間はおよそ数十秒、その内に100km近くを走り抜けそこへ戻ってきた。僕たちは屋敷へと入り、アレックスさんのいる場所へとやってきた。

 そこにはアレックスさんがいて、僕たちは一安心する。生存確認が取れた上、これからの作戦を遂行することも可能である。

 僕はまず横の本棚から世界地図とある魔道具を取り出してきて机に置く。赤子の世話はテーラにさせて、僕はアレックスさん、そしてオーロラさんと机を囲む。

 「いいですか、アレックスさん、オーロラさん。オーロラさんは既に知っているかと思いますが、近年の戦争...例えば、第二次世界大戦ですがそういう戦争はまず都市が攻撃される傾向にあります。特に極東の国、この日本という国はそういった攻撃に何度もあったようです。」

俺は地図上のユーラシア大陸脇にある島国を指差す。

「それらはいずれも生産手段を奪い敵戦力を弱めるため、もしくは庶民が敵国に降伏を求めるよう仕向けることにあります。それはあちらも心得ていることでしょう。」

「あぁ、我々クロスサイドもそうやってドュンケルサイドとの交戦を続けてきた。あちらも承知のことだろう。」

「であれば、僕たちが勝つには各国都市に増援を送るのが得策でしょう。そこで、機械獣という機械仕掛けの怪物をそれら都市に放ち、ヤツらに対抗しようと思うのです。」

僕は言い切ると、アレックスさんはうむうむ、と頷く。

 「なるほど。その策、乗ったぞ。では、早速準備と行こう。都市の座標は分かるな?俺の能力は物であれば、どこにでも転移できるはずだ。」

やはり彼はこの策に応じ、都市の座標を問うた。僕は、

「はい。今、調べます。」

と言って取り出した魔道具・ポイントサーチャーで英米日独伊加仏の主要7か国の軍事拠点を検索、表示された座標を紙に書き写し、アレックスさんへ。

 続いて、アレックスさんとオーロラさんと僕とで庭に出、サポータルを全て出す。

「これら全てを各座標へお願いします。」

僕はそのサポータルたちを1つ1つ指差しながら言う。

「了解した。では、転移トランジション!」

応えた彼は自身の能力を発動し、刹那、サポータルはここから姿を消した。


 こうして、一先ずは主要国へ機獣の加勢が決定した。

 ここからはヤツら外世なぞではなくて内世の幕、人類の逆襲の始まりである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ