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Episode148 再起動

 モササウルス、ケツァルコアトルスを倒した後、僕たちに襲いかかる者は何もなく、すぐにへと目的のシーサーペント島へと降り立った。

 「それで、シーサーペント島へ何をしに来たんですか?」

俺がオーロラさんに尋ねると、彼女は

「そう焦らないで、そこの森の奥に行けばすぐわかるわ。お楽しみ大切でしょ?」

と答える。僕は怪訝に感じたが、とりあえず彼女の考えを信じることにした。


 そして、近くの深い森へと俺たちは足を踏み入れる。森を少し進むと、野宿の跡が見え、地面に転がる空き缶を見ると、

「間違いない、敵が野宿した跡よ。さっきの戦闘でかなり魔力を使っちゃったから、戦闘は避けたいわね。流石の神宿しゴッド・ドウェルも足手まといがいたら数にやられるわよ。」

とオーロラさんは言う。

「同感です。魔力は大量に余っていても、酷使すれば疲れはありますから。」

これに僕も賛同してこう言った。

 さらに行けば、案の定、ヤツらの一隊に出くわすこととなる。ヤツらはすでに凶虫ブルータルと化し、蟻、蜘蛛、蝦蛄、螳螂、飛蝗、百足の地上戦力部隊を成している。しかも、オーロラさんが言うには向こうへ行かなければならないのだ。

 「どうするんですか?気は進みませんが、強行突破をしますか?」

「超速剛腕のタイプⅣがいるでしょ?アイツらがいる限り、ヤツらからは逃げ切れないわ。仕方ないけど、遠回りするしかないわね。」

「でも、オーロラ。遠回りした先で敵に出くわさないとは限らないわよ。」

「その時はその時よ。戦ってそこを抜けるしかないわ。」

茂みからヤツらの様子を眺めつつ、僕たちは言葉を交わす。

 僕たちはヤツらに見つからぬよう、抜き足差し足で茂みを進んでやがて、ヤツらを遥か遠くに見るところにまでやってきた。周りを見ても、敵の姿はない。

「これぐらい離れてれば大丈夫そうね。」

とオーロラさんは言って、僕たち他の6人を連れ茂みを出る。

 向こうに茂みに渡ると、僕たちは斜め方向へと叢を剣で掻き切り、掻き切り、進んでいく。流石に元来た道を戻って、ヤツらに再び近寄るのは危険だと考えたのである。

 だが、だからと言って危険を免れたという訳でもない。

 ブゥゥゥッ...!ブブゥン...!

真上から聞こえてくるのは大きく耳障りな羽音。その音は僕たちも聞き慣れた音である。

「タイプⅢよっ!避けてっ!」

オーロラさんの声に合わせて、僕たちは散る。

ドゴォォォッッッ!

ヤツらは一斉に地面へ激突、土煙が高く上がり、その中から頭部を震わしこちらを向く。

 瞬間、僕たちも一斉攻撃に移行する。僕とマリアは茂みから光の球を、フレイアは聖なる拳でヤツらの体を潰し、テーラがナイフを投げて羽を貫き、落ちところをフランさんが脇から土を操作し、心臓を下から穿つ。バーロンも僕の保護魔法の元、飛び出しヤツらを斬っていった。アレクのトロールも突進に構わず棍棒を奮い、闇の玉ダークボールを撃ち、中々の優勢である。

 数が少なかったためかここはものの数分で完封し、再び森を歩き出す。

 

 「見えてきたわ。あれよ。」

それから、またしばらく。いよいよ目的地が見えてきた、とオーロラさんは告げる。そこは機械仕掛けの獣が動力源の眠るあの遺跡であった。数年前、僕がメイジさんとの協力でその動力源を停止、さらに、誰も入れないようその入り口に封をしたのである。

 「何をするんですか?」

「あら、あれを見てもまた分からないかしら?意図的に機械獣を復活させてやるのよ。」

その遺跡を見ながら聞くと、オーロラさんはニヤリとそう返す。

「待ってください!何でそんなことをするんですか!ただでさえ、ヤツらに皆が苦しめられているんですよ!」

僕は彼女に抗議する。だが、彼女は人差し指をピンッと立てて左右に振る。

「えぇ、皆ドュンケルサイドに苦しめられているわ。おそらく、世界中の皆がね。でも、だからこそなのよ。私が機械獣を復活させたいのはね。」

と言い、抗議を押し切った。

 そう言われてしまえば、一度信じてみる他にない。遺跡の地下へ繋がる階段を僕たちは「イルミネーション」の光を便りに下って、その先の壁に辿り着く。壁といってもその向こうはあの動力源がある広間だ。

 さて、ここは先ほどここは誰も入れないと言ったがそれは少し語弊がある。誰も入れないと言っても、それはこの封を築いた者を除いての話である。

「リドナーくん、お願いするわ。」

それを知っているオーロラさんはそう言って、壁の方へ僕を遣った。

「はい。」

僕は言って、これに従う。

 壁の目の前に来ると、まずはその壁に右手を添える。すると、刻印した回路が起動した。ここに魔力を流して、まずは壁全体へその魔力を。そこから目を瞑り、

Ihi(エイ) Briek(ブリーク) Ti(ティ) Vual(ビュール) Dovyaドゥア。」

メイジさんの考えた「我この壁がごとき扉を壊すものなり」をバッファル古語に翻訳したものである。これを言うと、壁は崩れ中へ入れるようになる。

 その奥にはもちろんあの黒い結晶が浮かんでいる。周りには停止したオブザーバーもいる。オーロラさんはこれに構わず石に近寄り、そこに手を触れる。

 その刹那、全ての機械獣へ魔力が供給されて再起動。早速、オブザーバーが火球を放って襲いかかってきた。僕は

「シャイニングボール!」

と光の球で相殺、マリアもこれに倣い、後ろから忍びよったバーロンやフレイア、フランさんなどが直接攻撃。オーロラさんも黙って見ているわけではなく、襲いかかってきたオブザーバーには容赦なく、

「消えて。」

と破壊。

 こうして、オーロラさんの考える策、その準備が全て完了したようだ。

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