Episode146 海空の挟み撃ち(前編)
★今回初めて登場する怪物★
ディモルフォドン
群れで行動する小型の翼竜。飛行能力はプテラノドンよりも低く、本来は高く飛ぶこと長く飛ぶこともできないのだが、DMRT計画によひ兵器化されると高く長く飛べるようになった。素早く、群れでの攻撃にも慣れているため、有能な邪魔物役として機能する。
ケツァルコアトルスは僕たちを目に収めると、さっそく襲いかかってくる。
まず、始めに狙ったのは全高が低いためか小さく見えるラプトルたちである。
グラァ...!グルォォォ...!
ケツァルたちは言葉を交わすように互いに鳴き声を響かせ口を大きく開ける。その巨大な嘴はもちろんラプトルなど簡単に咥えて、そのまま呑み込んでしまうこともできるだろう。僕は杖を構えて、頭部に向けて、
「シャイニングボール!」
マリアも杖を構えて、
「シャイニングブレード!」
その翼に少しずつ傷を入れていく。
ズドドドドド...!
銃弾はヤツらの目を撃ち抜き、
「はぁっ!」
とフレイアの放つ拳が怯ます。
バッザァァァッッッ!
下からはモササウルスが襲いかかって、馬車が揺れる。その度に、僕たちもラプトルたちもケツァルコアトルスに連れていかれそうになっていた。
「魔力解放!」
と高出力で魔力波を放つことで体勢を立て直す隙を作ることはできても、根本的な解決になるわけではない。
「バーロン!」
僕はバーロンを頼らんとするも、彼も小型の翼竜、ディモルフォドンの群れに悪戦苦闘。
「はぁっ!やぁぁぁっっっ!おらぁぁぁぁぁっっっ!」
座りながらも力の入った斬撃が飛ぶが、ヤツらは素早くやはり辺りにくい。当たれば確実に倒せると言っても、その数が少なくては効率が良いとは言えない。僕はまず目の前のケツァルコアトルスに、
「シャイニングインパクト!」
と爆発を当てて、次にそちらへ向かって、
「シャイニングボール!」
何体かのディモルフォドンが海へと落ちていく。
一方、フランさんは荷台から飛び出しケツァルコアトルスの相手。
「やぁぁぁっっっ!はっ!」
その背中に乗るや否や、剣を突き刺し、そのまま走り抜ける。端に来れば上方縦回転で尾まで裂いて、そのまま別のに乗る。そこでも、また同じようにして裂いた。だが、ヤツらは怯まず次々と現れる。
ギジギジギジッ...!
しかも、ここでモササウルスの内、一匹が荷台の端を貸すって軋む音を響かせた。
オーロラさんも錬金術で剣を生み出し、その射出でケツァルコアトルスやディモルフォドンなどに攻撃を仕掛けるも、ディモルフォドンが落ちるばかりでケツァルコアトルスはビクともしない。苦戦している内に難を逃れたディモルフォドンたちが彼女の頭をつつく。
「痛っ...!何っすんっのっよっ!」
彼女は怒りの籠った叩きをかまし、荷台に叩きつけれディモルフォドンを足で入念に踏みつける。踏みつけながら、
「しっかし、飛んでもないことを考えるわね...ドュンケルサイドは。まさか、恐竜を兵器にしようだなんて...。もっも、こいつらは恐竜って訳でもないっけど!」
と言い、続くディモルフォドンをまた踏み潰す。
そして、この戦いを終わらせるための存在がその姿を露にした。僕からしてみれば全く恐ろしい限りの魔物だが、少なくとも洗脳のオーロラさんにとっては好都合中の好都合。
ブルーファルコンの上位種、アーマードファルコンである。鎧のような外骨格はそう簡単には貫けず、また気性も荒い。攻撃能力もそれなりで、その大きさはケツァルコアトルスの2/3ぐらいに匹敵している。
「恐竜兵を操っているのはおそらくドュンケル...。神の力は絶対的で分化したに過ぎない私の洗脳で上乗せすることはてきない。でも、アイツなら!」
とオーロラさんは言って、手綱を引く。瞬間、荷台はガクンと揺れてケツァルコアトルスの下を潜る。しかも、そこでモササウルスが飛び込んできて、何とそのケツァルコアトルスの巨体を海に引き摺り下ろしてしまった。
その内に馬車はアーマードファルコンに前に辿り着く。
キシャァァァァァッッッ!
と喉を鳴らして威嚇するヤツに、オーロラさんは怯まず赤い目を向け、もの数秒で洗脳完了。ヤツは群れでいて、群れの残り3体にも彼女は洗脳を行使した。
「あのケツァルコアトルスたちを蹴散らしなさい!ただし、モササウルスに気を付けるのよ!」
これでアーマードファルコンは僕たち側の強き味方。
キシャァァァァァッッッ!
ファルコンたちは再び、今度はヤツらに向けては威嚇し、ケツァルコアトルスへと突っ込んでいる。と、そこでモササウルスが飛び上がってきて、ファルコン1体が海へと引き摺り下ろされた。
「はぁ...言ってるそばから...!」
とオーロラさんが頭を抱えるのを他所に僕は、
「とんでもねぇ~...。」
と言葉を決めた。
さて、ケツァルコアトルスとモササウルスとの交戦、つまりは海と空の挟み撃ちはいよいよ佳境に差し掛かる。絶対に買ってやるとの意気込みを無視すれば、この戦いがどんな結果となるかなど知ることも、信じるこもできなのであった。