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Episode142 再び南方の島へ

★今回初めて登場する怪物★

ギガノトサウルス

圧倒的な巨体を持つ史上最大級の肉食恐竜。その大きさはティラノサウルスと同等かそれ以上のものものだが、体重は軽く、脚力も強靭なため、より速く走ることができた。その牙ざ皮を貫き、肉を裂くことに特化していたこともあって、出血死を招く消耗戦にはとても長けていた。

 世界へ恐竜兵が広がる中、DMRT計画は未だに続いていた。ある時は陽の森でギガノトサウルスを捕獲し、テールン半島ではスピノサウルスを捕獲し、また南の山岳でアロサウルスも新たに捕獲した。

 そして、恐竜兵は凶虫ブルータルらとともにバッファル島や近辺4つの島、さらにはアストラル諸島諸国にまで遣わされた。恐竜たちは魔法を食らうも怯まず、味方が死すとも構わず、次々兵を倒していくのである。


 一方、僕たちも引き続き馬車であの場所へ進ませていると、そこへデイノニクスの群れに襲われていた。島がこんな状況では恐竜保護の掟も成立しない。

「シャイニングボール!」

「シャイニングブレード!」

僕とマリアはそう唱えて魔法で倒し、続いてギガノトサウルスが現れると、アレクのギガントラプトルが相手を担った。彼は何度も噛み付かれて傷を負いつつもギガノトサウルスを何とか倒してみせた。

 ギュァァァッッゥオォォォウッ!

彼はヤツの死体を踏みつけ、勝利の咆哮をあげる。その音は凄まじく、木々をも揺らし、耳を塞がねば鼓膜が破れてしまいそうな感じであった。僕はその彼へ、

「ヴィーナス・ヒール!」

と回復魔法を唱える。それだけでその体の傷は完治し、再び馬車を付いてきた。

 ラプトルは荷台に乗り、ギガントラプトルは馬車を追いかける。アレクの提案で護衛役に使おうとのことであった。それに伴い、アレクは指令を、僕は回復を担当しているのである。

 続いては襲いかかるは四方から数十のラプトル。こちらもラプトルとギガントラプトルで対抗し、

「シャイニングボール!」

「シャイニングブレード!」

「だぁっ!」

「はっ!」

「はぁっ!」

「刃を生成、回転以て敵を切り裂け。」

「らぁっ!」

スドドドドド...!

俺とマリアで前方の、バーロンとテーラで左方の、オーロラさんとフランさんで右方の、残るフレイアとニコラスで後方

の支援を担当する。ヤツらの俊足と高い知能の前、そしてその数の前に戦闘は長らく続くが、こちらに死ぬものは出ず、俺はラプトル全員に「スーパーヒール」を唱えた。皆、中程度の傷だったためである。

 戦闘が終わると既に日は沈んでいて、丁度陰の森と陽の森の中間辺りにきていた。そこでもアロサウルスやらバキケファロサウルスやらが襲ってきて半日は恐竜との戦闘が占めていた。

「全く...本当に厄介よね。特にラプトルは賢いから倒すのも一苦労だわ。」

この有様にオーロラさんは思わず愚痴を漏らす。そのせいで前が見えてなかったからであろうか。ふと見ると、目の前に鉄が錆びたような色の、それでいて生物的な形の塊が迫っていたのである。

 「オ、オーロラさんっ!」

「何かしら?」

「前っ!前っ!!!」

「...?前がどうしたのよ...って、うわぁぁぁっっっ!」

俺とオーロラさんとではそんなやり取りがあって、馬車は勢いよく鉄塊に激突。皆は馬車から投げ出されて後ろに転がった。その時、頭から行ってしまって、咄嗟に全員目掛けて

「フローティング!」

と唱えるも、勢いは完全に消すことはでぎず、後頭部に強い衝撃が走ってその気絶した。

クルルル...?クルルル...?

ラプトルも同じように投げ出されたが、すぐに立ち上がり、僕たちが横たわっていると言う状況に小首を傾げた。


 それからどれぐらいが経ったであろうか。僕はまどろみの中でまず頭部に酷い鈍痛を感じ、続いてそこに右頬の強い疼痛が重なった。その頬を手で触るとネメヌメとした感覚があって、目を開けてその色を知ると、

「血か...。ん...?でも、おかしいな...。後頭部を打ったけのはずだけど。」

と言って、体を起こし辺りを見渡す。皆の頬にも同じような傷があって、たった今ラプトルがテーラの肩辺りへ手を伸ばしているところであった。気配を感じて後ろを向くと、

グル...?

と小首を傾げるラプトル。

「お前か...。」

僕は思わずそう言った。

 他にトリケラトプスやラプトルなど新たな死体が見えて、こちらのラプトルたちやギガントラプトルは傷を負ってしまっているのを見るとどうやら僕たちが眠っている間は彼らが守ってくれていたらしい。

「指令役がいなくても恐竜を倒してしまうとは...流石はラプトルだな...。スーパーヒール。」

俺は感心しながら、感謝の念も込めて回復魔法を唱えた。

 やがて、皆も体を起こし、アレクはこのことを知るといたずらをしたことには怒り、俺たちを守ったことには褒めてやって餌を渡した。ラプトルたちはそれを取合いすることなく1つずつ口に挟んで、喉に追いやった。

 「ねぇ、リドナーくん。ぶつかったあの鉄塊なんだけど...何か生物みたいじゃない?」

そんなアレクと恐竜たちの様子を見ていると、オーロラさんが話しかけてきた。

「僕も思いました。錆びているということはやはり金属製おいうことなので、機械獣ではないでしょうか。」

僕はこれに答える。

 すると、オーロラさんはいきなりニヤリとし、

「なるほどね...。その機械獣って確かシーサーペント島にある古代遺跡最深部の結晶板で封印されているんだっわね。」

と再確認を取る。

「はい。3年前、僕が考古学者のレントさんとの協力で読み漁り、再びあの結晶板を停止する方法を探り出し、最後は7賢者との協力で停止させました。それからは機械獣による被害報告は出ていないはずです。」

僕はさらにこう答えて、彼女はさらにニヤリとして、

「良いこと思いついちゃったわ。」

と言う。何か、怖い...俺はそう思って少し腰が引けてしまった。

 「馬車を生成、ただし、水陸両用の条件を追加。」

それに構わず、オーロラさんは馬車を水陸両用として再生成。荷台の4つの車輪と2頭の馬には水掻きがあり、後ろにはスクリューが付いていた。

「さぁ、乗って。今から、シーサーペント島に行くわよ。」

そして、オーロラさんはそう促す。僕たちは彼女に言われるがままに荷台へ飛び乗り、ラプトルも乗せる。ギガントラプトルは海を渡らせることができないので陰の森へとアレクが帰らせた。

 「皆、乗ったわね...。目的地はシーサペント島に設定、発進よ。」

それから、オーロラさんは全員が馬車に乗ったのを確認。彼女がそう言うと、馬車はゆっくりと走り出すのであった。

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