Episode140 王者の船襲
◆今回初めて登場する人物◆
須藤隆昭(49)
日本の海上自衛隊に所属する海佐の1人。日本の主力戦艦である第一わだつみ艦(WA-1)の艦長を任せられている。当初はかのバルチック艦隊を敗ったという東郷平八郎に憧れて海上自衛隊に入隊したが、今では日本の国防を第一に考える立派な自衛隊隊員となっている。
世界各地が恐竜兵と巨龍、悪魔の三種の手に落ち、モササウルスは海を進んでいた。その中途、日本の艦隊と出会す。
「海抜約-100mに巨大物体を確認!続いて、全長を確認約17m、生命体のようです!」
「鯨か!?」
「いいえ、登頂部に鼻孔は見当たりません...。代わりに体表には鰐のような鱗があります!」
「鱗だと?つまり、爬虫類ということか!?」
「おそらく...。」
「しかし、17mとは...。そんな巨大な爬虫類など見たことも聞いたことも...。」
その中のある戦艦はすぐその接近をレーダーで確認した。すると、
ゴゴォォォォォッッッウゥンッ!
この戦艦が大きく揺れる。これを乗組員は各部に捕まるか、姿勢を低くするかして乗り切る。
「どうやら、件の巨大生物と衝突したようです。大きな損傷は確認されませんが、一応整備員を回しましょう。」
やがて、揺れが収まると職員は言った。艦長の須藤隆昭は
「よし。本艦全整備員に告ぐ!ただちに各部点検を開始しろ!」
と艦内放送にて命じる。これを受けて整備員は担当の場へと走っていって点検を開始した。
その内にヤツは艦の後部に食らいつく。
ギギギギギ...!
と金属の凹む音が響き、今度こそ艦は大きな損傷を負う。
「甲板後部に大きな損傷を確認。どうやら、巨大生物からの攻撃のようです。」
と艦内で声が響いた頃には既に中身が丸見えとなっていた。
これを追い払おうにも主砲は後ろに向かないためにそれは困難。ヤツにそのつもりはないであろうが、結果的に丁字戦法の原理を利用していた。
「ダメです!主砲を向けられません!」
との乗組員の声を聞き、艦長は艦隊全てへ無線を繋ぐ。
「こちら、WA-01。こちら、W-01。我々の戦艦後部に巨大生物が見えるな!?」
と言うと、
『こちら、WA-02。確認している。』
『こちら、WA-03。右に同じ。』
『こちら、AS-05。以下、略。』
とあちらこちらから返事が返った。ちなみに、WAとは戦艦・わだつみ、ASとは戦艦・あすなろの略号である。艦長は彼らに
「戦艦、巡洋艦はその巨大生物を狙え。どうやら、ヤツは我々に敵意があるらしい!この際、本艦への損傷は一切を無視せよ。」
と言った。
そして、近くの戦艦が主砲を一点に傾け、
ドゴンッ!ドゴンッ!ドゴンッ!
ヤツの鱗で砲弾の爆発は連なり、その爆炎が後部の損傷をさらに悪化させる。だが、砲撃を留めず、やがて、海の中へと落ちていった。
続いていて、潜水艦は魚雷を発射。ヤツの巨体のおかげで全弾命中するが、怯むことなく潜水艦へかじりつく。
ギギギギギ...!プシュー!
と言う音ともに中へ水が入り込み、油圧も狂い、人々はそのまま海底へと落ちていった。
こうして、王者の船襲は始まるのであった。