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Epipode139 流転

◆今回始めて登場する人物◆

ノーマン(38)

スコットランド出身の義勇兵。軍人にしては臆病過ぎる節もあるが、今までにそのおかげで何度も命を救われてきたために本人は問題視をしていない。

グレイス(56)

悪魔サターンの1人。敵と戦うときであっても、余興や語りを行うことに一種の一興を感じている。固有魔法『バルドル』によってあらゆる攻撃から身を守ることが可能である。

 「な、何で恐竜が生きているんだ...!?絶滅したのではなかったのか!」

「あり得ない...。映画か夢か、そのいずれかでなければあり得るはずがない!」

押し寄せる恐竜たちを見、イギリス陸軍らは驚きで固まる。そこへデイノニクスが集団で襲いかかり、次の瞬間、

「ギャァァァァァッッッ!」

との断末魔とともに血飛沫があがった。

 その一方、ティラノサウルスの群れ。

ズガガガガガ...!ドガァァァッッッ!

軍人らは機関銃やロケット弾で応戦。

グォァァァ...!ガルルル...!

これで怯むのもあったが、やはり構わず飛び掛かるものもいて

「ギャァァァッッッ!」

と鮮血の雨。

 あちらではアンキロサウルスが棍棒で軍人の頭を砕き、そちらでは複数のパキケファロサウルスが頭を使って人を弄ぶ。空を交うケツァルコアトルスは窓からビルへと侵入し、そこの従業員を嘴で突き刺し、その前向こうへ放り出す。

「大丈夫かっ...!?」

と軍人がすぐ来るのだが、銃をお見舞いする前に飛び掛かられて、こちらも嘴に貫かれた。

 アロサウルスも連なるビルへと玄関口から侵入し、人を食らい、機器を破壊し、

ズドドドドド...!

銃を撃った軍人には勢いよく突進して、その脚の鉤爪で喉元を引っ掻き殺した。

 しかも、彼らを襲うのは恐竜だけに留まらない。

 ズドドドドド...!ドガァァァッッッ!

「ったく、何なんだよこれは...!?」

狭い路地に隠れて小型の恐竜たちを銃で撃ち抜き、大きな恐竜たちを手榴弾で怯ませるスコットランド出身の義勇兵・ノーマン。一番の安全策を取ったおかげで、彼はしばらく恐竜に襲われないでいた。

 しかし、そんな状態も長くは続かない。

「おやおや、もしかして獣が怖いのかい?」

と後ろから声が聞こえた瞬間、ノーマンは直感で殺意を読み取り、

ズドドドドド...!

と振り向き際に銃を連射。これを声の主は、

「バルドル。」

と口ずさみ、手を翳し、それだけで銃弾全てを止めてみせる。

 「...!?」

「やはり、驚くか。これは『バルドル』と言ってだな...いわゆる、固有魔法ってヤツだ。」

「ま、魔法...???何を言ってるんだ、お前は...。」

「あぁ、すまない。この世界は魔法死族デスペルが大多数を占めるのだったな...。」

なお、戸惑うノーマンに彼は言う。

 だが、ノーマンが一番に驚いていたのはその背の黒い翼である。

「それと、その黒い翼は何なんだっ!?」

と言うと、その男は

「あぁ、これか?見ての通り、悪魔の翼だよ。私はグレイス、悪魔サターンという種族に属しているのだよ。で、魔法についてなのだが...まず前提として全ての人間に微少の魔力が与えられている。放っておいても、傷が癒えるのはそのためだ。そして、適性のある人間はその魔力を自身で増幅し、自身を取り巻く現象にまで影響を及ぼすことが可能だ。それこそが我々の言う魔法、例えばこういうことができる。」

と説明をしてあげた後、指を鳴らす。

 瞬間、辺りの構築物に上から下へと亀裂が広がって、あとは壁を少し押してやるでこれが崩れた。あっという間にノーマンを巨龍ドラグーン悪魔サターンが包囲し、

「な、何だよそれは...!何なんだよっ!!!」

と彼は恐れをなして、尻餅をつく。

 「さようなら、軍人さん。君の反応は見ててとても面白かったよ。」

そんな彼をグレイスは見下ろし、ニヤリと笑む。そして、右手を一度振り上げ、再び振り下げた。

ゴォッ!ゴォッ!ドゴゴゴン...!

「ギャァァァ...。」

巨龍ドラグーンの放つ炎弾と悪魔サターンの放つ闇の球との雨は降り注ぎ、その体は跡形もなく消し炭となった。

 恐竜の出兵。それはますます多くの都市を陥落させ、ますます多くの人々から命を奪い、支配がヤツらに流転するという結果を招くのであった。



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