Episode127 北米の危機
◆今回初めて登場する人物◆
ジョブス(37)
戦闘機隊・ファルコンの第一分隊分隊長を勤めるカナダ生まれ、アメリカ育ちの戦闘機パイロット。人並み外れた行動力と常識離れした発想力から、一部のパイロットたちからは熱烈な支持を受けている。
沖での空軍巨神の決戦の一方、太平洋沿岸の市街地ではアーミーウッドゴーレムが凶虫を引き連れ、無差別に虐殺を重ねていた。
ズドドドドド...!ズガン!ズガン!
こちらではアサルトとショットで囲んで数十を射殺。
ドガァァァッッッン!
そちらではロケットが十数を爆砕。
ビィィィッッッ!
あちらではレーザーが十数の胸を貫通。
ズガガガガガガガガガガ...!
さらに、向こうではバレットがミニガンで次々と人々を撃ち抜いていた。
しかも、ここに凶虫が加わる。
蟻は大顎で噛み殺し、蜘蛛は糸で絞め殺し、蝿と蝦蛄は突進で砕き殺す。蝶は毒で殺して、飛蝗は体で踏み潰して、螳螂は鎌で刺し殺す。また、甲虫は角で突き殺して、鍬形は挟み殺して、百足は大顎で拐って高所から落とす。地面には大量の死体が転がり、大量の血が広がり、また大量の巨虫が蠢いていた。
そんな中、アメリカ陸軍が応戦する。
ズドドドドド...!
と来ればまずはビルに隠れて、ヤツがリロードをしている隙を狙ってロケットランチャー。
ドガァァァッッッン!
という爆音と共に砕け散った。
「らぁぁぁっっっ!」
ズドドドドド...!
また、ある者は堂々と道を走って、アサルトを乱射。流石にショットガン持ちには近付かなかったが、アサルトやバレットについては撃たれる前に撃ち抜いていった。
が、大量の凶虫には中々歯が立たない。
「らぁぁぁっっっ...?ぎゃぁぁぁぁぁっっっっっ!」
「くたばりな...!い、いぎゃぁぁぁっっっ!?」
「ぐあぁっ...!?」
1体1体撃ち抜いている内に距離を詰められ、殺されてしまうのである。そこにゴーレムまでくれば本当に一溜りもない。米軍は敵を減らしつつも、より多くの同胞を失っていた。
また、大西洋沿岸の市街地、率直に言ってワシントンD.C.では蜘蛛がビルとビルの間に巣を張り、その下を蟻と蝦蛄、螳螂、甲虫、鍬形虫が人々を虐殺しながら交っていた。その一方、張られた巣を這う蜘蛛は糸で人々を釣り上げて、巣にくっ付けてしまった。
そのせいで、巣には多くが捕らわれ、身動きを奪われ、上ってきた蟻に成す術なく噛み殺されていた。
「いやぁぁぁっっっ!」
「ぎゃぁぁぁぁぁっっっっっ!」
「来るなぁっ!!!」
断末魔が響くとともに、大量の血が地面に滴り、手や足は肉塊となって地面に降り注ぐ。その肉塊を頭に受けて、死んでいく者もいくらかいた。
ドガァァァッッッン!ギャガガガ...!
そんな中を戦車が砲撃しながら進む。その後ろにはコンバットと呼ばれる人型兵器が歩いて、砲台となった手から銃弾を乱射していた。これを受けて凶虫は弾け飛んでいくが、こちらもあまりの大群に対処しきれず、消耗戦に持ち込まれて、やがて消えていった。
これと同じ頃、カナダにおいてもヤツらは押し寄せ、市街地を襲い、多くの死傷者を出していた。多くの基地が占領され、いよいよ街に侵攻を始めた訳である。
そこに太平洋上の巨神侵攻も合わさり、北米大陸は外からも内からも危機に晒されるのであった。