Episode125 巨神
●今回初めて登場するアイテム●
龍骨飛機
骨組みのみにすることで軽量化され、機動力の増した有人ドローン。後ろには電磁バリア発生装置があるため、ある程度の攻撃は防ぐことができる。
「出陣だ、凶虫ども!」
島の南東。ユンケルは兵を率いて、ここに辿り着いていた。そして、彼が言うと兵はナイフを取り出し、 凶虫に変化。黒い柱が一斉に落ちて蟻、蜘蛛、蝿、蝦蛄、飛蝗が現れた。それを見て、次に
「手を借りるぞ、タイプⅣ。」
と言われれば蝿が寄って後ろ足を伸ばした。彼はそこに掴まり、命綱として右手を紐にしてしっかりくくりつける。
そして、まず蝦蛄が蟻、蜘蛛、飛蝗を乗せて海を走り始める。そこに、ユンケルの
「行け。」
という合図で蝿も空を飛んで続いた。
それからしばらく進むと、早速反乱軍の小隊と衝突する。
ギュゥッン!ギュゥッン!ギュゥッン!
飛び交うグングニルからの光線。それと、1人用の有人機・龍骨飛機多機能型電磁砲。
「はぁぁぁっっっ!」
ユンケルは手を翳し、怒号を上げる。すると、その手から極太の光線が放たれて飛んで来たのを内包し、まずはグングニルを2つ撃墜した。もちろん、その乗組員も容赦なく殺す。やり方は炎で焼く、指を剣として心臓を貫く、あと接触破壊で消すなど様々。
全ての能力を有するユンケルの圧倒的な力にこの反乱軍第三十三小隊は太刀打ちできず、凶虫を30体ほどで全滅した。
その後も第四十九、第八十九、第五十六...と何度も反乱軍と遭遇するが、ユンケルは次々と全滅に追いやっていく。海は紅血に染まり、死体と残骸に汚れ。途中で会った艦隊も最初の兵の半数を残して壊滅させてしまった。
そして、いよいよ薄く北米大陸が見え始める。
が、そこには反乱軍の小隊が束となって並んでいた。その束は第七十~第百二十の計50小隊が集まる大航空隊である。しかも、死星飛機と龍骨飛機まで従えている。
ギュゥッン!ギュギュギュ...!ギュガガガ...!
あちこちらから来る光線、光弾、電磁砲。
「ちっ、束なりおって。」
そう舌打ちするユンケルも暗黒砲台による黒の光線、自然操作による海水攻撃、転移による激突同時破壊など多種多様にしてみるが対処はやりれない、まず数が中々減らない、そのくせ、こちらの凶虫はどんどんと減っていく。
ましてや、ここは陸に近い海上。要するに、増援が要請されればすぐに来てしまうのである。
ユンケルがそんな考え事をしている内に凶虫はひたすら攻撃。蝦蛄は勢いよく飛び上がって、蟻を投げる。その蟻は顎でグングニル下を齧り切っ乗組員を落として、蝿の突進で粉々に。
蜘蛛もまた糸で乗込員をからめとって無敵化した気球に何度も打たせてその頭を砕いていた。
その一方、飛蝗は一斉に気球へ飛び乗って重さで落としていく。もちろん、そのままではあまりにも死にすぎるのでとりあえず蝦蛄が助けて、死んでいる者のみ海に捨てた。
「このままで戦うメリットは...なし...!」
それを見つつ、そう思い至るユンケル。彼は掴まったタイプⅣの手を離し、落ちながら神の力を発動。
「巨神変異っ!」
と言うと彼を巨大な黒い球体が囲んで、それが海に落下。
ザッバァァァァァッッッッッン!
高く水飛沫があがり、その霧で視界が悪化。海中では球体がユンケルの胸に収束し、再び戻るともに全身が巨大化。そうしてますは、巨大な腕を伸ばしてグングニルを掴み、接触破壊で消す。次にそのグングニルを手すりのようにして海面から顔を出す。
全身は黒く、四肢は巨大。紅い目のある頭も巨大で、口からは
コォォォ...
と毒の混じった蒸気が漏れて風で後ろに棚引く。ざっと縦には5km、横には1.5km、後ろには3kmほどある。
その姿はまさに邪神・ドュンケルの半身、あるいはそのものであった。