Episode123 城塞空中都市・アルカディア(中編)
●今回始めて登場するアイテム●
クロノス
時の神の名を関したアルカディアの外部接続器。識別番号は"06"で『外部接続器-06』と呼ばれる。"コネクションメカニカル"に接続すると、過去のみ任意の同座時間軸に転移が可能になる。ただし、アルカディアを358m/sの速度で回転させる必要がある。コードにより製造。
ギュゴンッ!ギュゴンッ!ヒュゥゥゥ...ドガァァァッッッ!
脇からは砲台が放たれて爆砕。遠くから放物線線を描いた光線が放たれ爆砕。アルカスはそこからさらに、「fold-1&spinner-free/a.s.a.s.05」を入力。すると、対空迎撃システム-05の塔が真ん中で折れて、奴らの方に向く。その先からはもちろん、リュカオンの戦斧が放たれ、ヤツらを貫く。
「increase-twice&spinner-auto/a.s.a.s.04-all」と続いて入力。すると、城壁上の円形砲台に砲身が増え、さらに魔力砲を放ちつつ回転。弾は渦巻き状に拡散。それで中の蝿も新たに来る蝿も次々と潰す。
キュィィィ...!ギュウゥゥゥッッッン!
と、そこで死星飛機が今までにない姿を見せる。半球が上下に開き、内部から赤光が漏れ出る。そこから回転する光線が放たれ、砲台を破壊。
「全砲台、大破!」
と言う職員。これを聞き、同時に
「修復を急げ!」
「あぁっ...!」
と言葉を交わすモーゼスとアルカス。
「まずは近距離砲台を修復開始...。」
そう言って凄まじいスピードで修復コードを入力していくアルカス。
対して、モーゼスはさらに遠距離砲台を追加。次に
「宮殿変異システム、展開!」
と言って、設けられたレバーを右に2回クリック。すると、ダイヤルのある部分がクルクルと回転し始めて、別のダイヤル郡が現れる。それを「魔力回路」、「大石分離」、「表面構造」、「再構築-スパイクドリル」の順に回す。ただし、「表面構造」は元々、"滑"になっていて、ここではそれを"粗"にした形だ。形
すると、外では制御室真上の宮殿が無数の青いキューブに分裂し、回転したり、キューブとキューブの間にはまったりしてピラミッド型に組換えられていく。そこにさらに小型のキューブがくっついていき、やがてそれも細長いピラミッドのようになる。
____
構築完了
 ̄ ̄ ̄ ̄
ダイヤル上の液晶にはこの表示。それを見て、モーゼスは
「スパイクドリルに再構築完了!」
と言ってまずは「表面構造」を"粗"から"滑"に。続いて、「大石分離」、「魔力回路」の順にダイヤルをオフにしていき、やがて所々にスパイクのついた車輪のある、円錐形ができあがった。
「続いて、起動準備に入る。」
続いて、言うとパネルでパスワードを入力して鍵掛けを出す。そこから、「スパイクドリル」と記されたものを取り出し「再構築-スパイクドリル」のダイヤル横の鍵穴にそれを差し込み、
ガチャリ!
も解錠の音。ダイヤルの部分に分割線が入って、それを上面とする太いガラス管が現れた。モーゼスはガラスの扉を開けて手をかざす。と、それだけで横のランプが赤から緑に変わる。
ギュン、ギュン、ギュン、ギュィィィッッッ!
下から左回転、右回転と左右交互の高速回転を始めるスパイク付きの車輪。
ブゥッン!ブゥッン!ブゥッン!
と勢いよく突っ込んできた蝿はこれにぶつかり、一発で砕け散る。針は赤に染まり、根本には死体が転がり。だが、死星飛機は違う。これらは小さく分裂し、針と針の間を通って、ドリルに次々貼り付く。学んだヤツらは突っ込んで来なくなった。
ドガドガドガァァァッッッ...!
連なって響き渡る爆発音。スパイクドリルは簡単には砕け、その瓦礫が町へ山のように降り注ぐ。だが、もちろん死星飛機の方には何の傷もない。やがて、元の球体に戻って、今度はエネルギー爆雷の一斉射撃に入った。これより、制御室への梯子が剥き出しに。しかも、その爆炎が運の悪いことにアルカディアの動力源である魔石・ソーリングフレアが砕け散る。これを失ったが最後、浮遊能力は持たなくなる。予備魔力も切れればいよいよ操作も不能となる。そうなれば、もう打つ手はなし。
だが...いや、だからこそモーゼス、アルカスは諦めず、抗い続けた。
修復コードを入力、トライ&エラー。残った砲身からの砲撃、トライ&エラー。ゴーレムによる射撃、トライ&エラー。建物の爆発性化とその衝突、トライ&エラー。トライ&エラー、トライ&エラー、トライ&エラー...。何度も何度も試行と失敗との繰り返し。
そして、この抵抗は功を奏す。
ギュギオォォォォォォォォォォッッッウン!
そんな音がしたかと思うと、制御室の天井を光の柱が横切ったた。映像を見ると、その光の柱は向こうの海に激突して高く水飛沫を上げて、やがて散る。
「全地区...壊滅を確認...。同時に、敵の反応も...消えました...。」
と驚愕の表情でいう職員。それを聞いて、
「や、やったぞ!」
「うおぉぉぉっっっ!」
「あんな大群を退けるなんて...!やっぱ、アルカディアは最強だぁぁぁっっっ!」
とそれぞれ怒号をあげる職員たち。
だが、モーゼス、アルカスからすれば集中の妨げでしかない。
「喜ぶのはまだ早い!」
「そうだ。少し静かに頼む。」
彼らがそう言うだけで、場は静まり返り、再び職務に集中する。
「それにしても今の光は...。」
と言っても、モーゼスか悩んでいるのはあの光の柱のこと。
「待てよ...あれがそうなら...。」
そうやってしばらく、考えてみて1つ仮説が立つ。
彼はさっきの鍵掛けを現して、"コネクションメカニカル"と書かれたカードを取り出し、対応する鍵穴に指して回しつつ、
「アルカス!『外部接続器-06』を頼む。」
と言う。これを聞き、アルカスは
「あれはまだ試作品だぞ?良いのか。」
「それでも、何もしないよりはましだ。」
これにモーゼスはそう返した。
「分かった、『クロノス』だな。」
アルカスはその真剣な顔に折れて、パネルに指を当て、「create/exconnection-06<Chronos>」を入力。すると、 横にランナーが3枚現れ、それが組み上がってその「クロノス」というのが出来上がる。
モーゼスは投げ渡されたそれを受け取ると、その"コネクションメカニカル"に接続。さらに、
「全職員に告ぐ。魔力吸収口に右手の指を入れてくれ!」
と言うと、すぐに職員はそれぞれの席に現れた魔力吸収口に指を入れる。もちろん、アルカスもこれに参加。どんどんゲージがたまって行き、横のボタンが赤く光る。
「予備電源1~10を全て城壁に接続!間髪入れず、ブースターを起動!」
それ彼は押して、アルカスに言う。
「了解した。」
これを受け取り、アルカスはすぐにコードの入力を開始。予備電源を全て壁に繋げるコードに制御室を固定するコード、ブースターを出現させるコード、そこに点火をするコード、さらにブースターを増やして出力増加のコードや城壁を纏って強烈な遠心力と熱量から守るフィルムのコード。次々とコードを追加していき、
「入力完了。モーゼス、時間軸の設定は任せた。」
と言ってモーゼスに振る。
「もうやっている。」
これにモーゼスは答えて、現れたパネルを操作し、現時間からおよそ10分前の「2025.07.28.01:13」に設定。最後に「Enter」を入力して締めた。
そして、設けられたブースターにより回転が始まる。
ギュン、ギュン、ギュィィィィィッッッッッン!
その回転はどんどん速くなる。その勢いは辻風を起こし、砂を巻き上げ、その砂が壁を打ち付ける。が、軸の制御室は固定。
50m/s、60m/s、70m/s...とその速度は段階的に上がっていき、やがて音速も超えて358m/sに達する。
と、その次の瞬間。辺りは目も眩む白光に包まれ、アルカディアは先開いたゲートに先端から吸い込まれていった。