Episode121 ユンケル進軍開始
世界各地で闘争が繰り広げられる中、バッファル島の根城にはドュンケルとその前に立つユンケルの姿があった。
「暗黒砲台とは厄介なものだな...まったく。」
と言うユンケル。
「まさか貴様の体の断片が腕と共に戻って来るとはな。」
と返すドュンケル。
「最後の手段だ...。念のため心臓の一部を腕に隠しておいたのが、功を奏したな。」
「フ...流石は我が半身だ。」
「だが、断片ともなれば相応の時間もかかる。無限の魔力で体を瞬時に再生するあんたには負けるさ。」
「当たり前だろう。私は真の神、貴様はその半身に過ぎないのだからな。」
と本体、その半身が言葉を交わしているとは若干のシュールを感じる次第である。
「神宿しと戦うのはもう御免だ。半神を宿すヤツらでは負けるのもあり得てくる。」
さらに、言うユンケル。
「なるほどな...。では、貴様でも確実に遂行できる命を与えよう。」
ドュンケルは言って真上に手を伸ばして、天井に穴を開ける。その穴から光が注ぎ、その下、
「上空に反乱軍どもがいるであろう?まずはヤツらを消せ。そして、島の外へ進軍するのだ。確実に人間を落とすため今回は全身をやろう。」
と命令を与える。
「了解した。全身をくれるとは、ありがたい。」
ユンケルは承諾してからの、感謝。
そして、ユンケルは両腕を左右に広げて十字架のようになる。彼はそのまま、
「神の身体よ、我が身に移れ。二元接合!」
と神の身をその身に宿す能力を発動。まずは右腕、次に左腕、さらに右左の順で脚が移って、最後は胴。頭は胴から出る黒い物体で徐々に覆われた。
そうして、全身が黒く、目が赤黒く光る人型の何者かができあがる。その一方で、ドュンケルは体の大きさが二元接合の前のおよそ1/2となっていた。
念じるだけで背中に翼。これは身体変化によるもので、
「はっ!」
と声を張ると高く飛び上がり、やがて羽ばたくようにして上空へ上がっていった。同時に神の力にて天井が元に戻る。
「ラディウス!」
「ラディウス!」
「ラディウス!」
このことにいち早く気付いてグングニルから光線を放つ反乱軍であったが暗黒砲台による相殺と接触破壊による削除の前には無に帰す。しかも、
「消えろ...!」
と言って、腕を数十生やして、それぞれから黒の光線を照射。それがコンマ1秒の間に行われる。
光線は同時に気球を撃ち抜いたため、反乱軍に他を見て無敵化というの不可能である。
ヒュー...ヒュー...ヒュー...
とグングニルが一斉に落ちてくる。だが、ユンケルはそれだけでは満足しない。落ちる飛空艇から脱出する反乱軍たちを見ながら、
「逃がさんぞ?」
と言ってたくさんの腕をグングニルに伸ばして気球を掴む。次に
「はぁぁぁっっっ!」
と叫んで、自然操作により自分を基点に竜巻を形成。その風の勢いでグングニルを無理矢理高速回転。
「がぁぁぁっっっ!」
「ぎゃぁぁぁぁぁっっっっっ!」
「きゃぁぁぁっっっ!」
横から際限なく激突してくる搭乗部に連なる断末魔。空中に大量の血が舞い、グングニルは返り血に染まる。これを免れてとしても、飛空艇を投げられて、
「ぐぁっ...!」
と機体に押し潰される。四肢が散乱し、大量の鮮血が広がる。空中の死体もまた地面に落下して大量の鮮血を広げた。
こうして、反乱軍の第六十三分隊は壊滅することとなった。
そして、ユンケルは地面に降り立ち、兵を集めつつ、バッファルの外を目指すのであった。