Episode120 三十七の空戦
◆今回初めて登場する人物◆
バロック(46)
イギリスのミサイル艇・テンペストⅠ型の艦長。イギリス陸軍に所属していた頃は、その勝利への執念と武器の腕前、また強運から"最凶の陸軍兵士"とも呼ばれていた。
ラスキー(51)
黄昏界の住人。クロスサイドに属し、反乱軍第三十七分隊の隊長も務める。面倒事を嫌うが、幼馴染みで同じ分隊の副隊長を務めるヴァルトには甘い。
バルト(44)
クロスサイドに属する黄昏界の住人。第三十七分隊の副隊長を務め、その性格は非常に寛大である。ラスキーとは幼馴染み。また、父は反乱軍の総裁・クリークである。
陸戦、海戦はもちろん空戦が行われる所もある。しかし、地球側の主戦力はクロスサイドの軍、つまり反乱軍であった。
スガガガ...!ズガガガ...!ズガガガ...!
だが、この世界の兵器も負けてはいない。敵が無敵化しない内に戦闘機が機関銃で気球を貫いて落とし、裏返ってからの下から、
バシュバシュゥゥゥッッッ!ドガァァァッッッン!
とミサイルを発射。その巨体のせいで死角は多く、床を破壊されるとアーミーウッドゴーレムは落ちていった。だが、この後、無敵化した飛空艇が現れ、よけきれなかった5体の戦闘機が爆散した。
「海上ミサイル艇に対空ミサイルを要請!雲は我々が晴らす!」
戦闘機に乗る軍人が無線で言うと、そのミサイル艇からは、
『了解。目標の目視可能を待つ。』
との返事があった。これを受けた戦闘機の編隊はすぐに作戦へ移行。レバーを操作して急降下し、奴らの死角に隠れた後、雲に突っ込み吹き飛ばした。これでミサイル艇からの目視が可能となる。
同時に戦闘機隊も四方八方へ散った。
「対空ミサイル、固定!続いて、弾頭装填...完了。射線上に敵飛空艇を再確認。戦友航空機もなし!」
艇の中である男がレバーとボタンでミサイルを操作し、声を張る。これを聞くイタリアのバロック艦長は、
「ならば、良し!ただちに点火し、目標へ向けミサイルを放てっ!!!」
と言う。
バシュバシュバシュゥゥゥッッッ!
すると、砲台からたくさんのミサイルが放たれた。誘導性能ほそこまで高くないので、数打ちゃ当たる作戦である。そのお陰もあって、4つ程の弾頭がヘビーエアフォースを破壊した。
「ただちに、目標を再設定!弾頭が装填次第、戦友航空機を確認し、射線外にあれば即放て!」
それを見て、また艦長からの命令。
「はっ!」
これに返事するミサイルの操縦者は言われた通り、砲台を動かして、落ちた機体の横にあるヘビーエアフォースに向けた。
そして、ミサイルの装填が終わると、
バシュバシュバシュゥゥゥッッッ!
またミサイル発射。ぶつかった弾頭は先よりも多い5つ。また飛空艇が落ちた。
だが、そこでヤツらに存在を気付かれる。ヘビーエアフォースは死星飛機を解き放ち、空中の各位置に設置した。それは丁度ミサイル艇への道を作るようにあった。
「ったく、この世界の人間には世話が焼ける...。」
先ほどからヤツらとの砲撃線を繰り広げるグングニル隊。それを見て、当分隊の隊長であるラスキーはため息を吐く。
「いいえ、分隊長。彼らはヤツらのことを何も知りません。こうなるのも無理はないかと。」
だが、同じグングニルに乗る寛大な副分隊長・ヴァルトはこう言う。
「まぁ、お前がそういうなら許そう。全飛空艇に告ぐ!引き続き、砲撃を続けよ!我々は特殊コードにて死星飛機を乗っ取り、ヤツらの攻撃をそのままヤツらに返す!」
ラスキーもヴァルトにはこの上ない信頼を置いてるようで、チョロくミサイル艇守護に入る。
「ネンティウス!」
と言って、電鍵の操作を開始。
ツツツー、ツツツー、ツーツツ、ツーツツ...
この信号が表すは「UUDDLRLRAB」。最後に、
ツツーツツーツツー...!
と打てば入力は完了。グングニルの中にて死星飛機の主導権がクロスサイド側に移ったことを確認した。
そして、敵が光線を放てば、ラスキーが意志を送って、死星飛機を操作。反射鏡を展開して、光線があちらへ跳ね返るようにする。ただし、最後は死角に増幅するためのを挟んだ。
ビィィィッッッ!ギュギギュギギュギン...!ギュゥゥゥッッッン!
光線は反射鏡にて何度も跳ね返り、最後は増幅器にて光線が極太に。これを受けたヘビーエアフォースは一溜りもなく消し飛んだ。
そして、一部がエネルギー弾拡散モードとなって窓を破壊。また一部はエネルギー弾射出モードとなって、割れた窓へ突っ込み畳み掛ける。
ズガガガ...!ドガドガァァァッッッン!
しかも、下のミサイル艇から弾頭もあって、戦闘機からの連射もあってどんどん落ちていく。
「ラディウス!」
「ラディウス!」
「ラディウス!」
「ラディウス!」
「ラディウス!」
ビビビビビ、ギュギュギュギュギュゥゥゥッッッン!
グングニルが光線を放てばそれは死星飛機を介して増幅。一気に敵飛空艇5機がまた消し飛んだ。
ビィィィッッッ!
負けじと敵が光線を放っても、防御形態と化したものがグングニルを守る。ただし、戦闘機まで守ってやる余裕はない。彼らは落ちていった。
不規則に動く光線、窓を割るエネルギー弾と、ゴーレムの心臓を撃ち抜くエネルギー弾、また増幅された光線。これにミサイル艇からのミサイルも合わさり、戦場はまさに混沌と化す。
何とか戦闘機は全て落とし、グングニルもいくつか落とすが、やはり死星飛機を失ったヤツらにこの混沌への対処がしきれる力など残っていない。最初は30程もあったヘビーエアフォースは立て続けの攻撃であっという間に全て落ちた。
敵の全滅に対する地球側の犠牲を見れば、こちらの圧勝は火を見るよりも明らかである。
死星飛機はグングニルの元へと行き、
「我々の勝利を以って戦線を離脱。全飛空艇、次なる戦地に向けて発進!」
というラスキーの言葉でグングニル隊が出発すると、追尾するような形で貼り付いた。