Episode119 太平洋交戦(後編)
●今回初めて登場するアイテム●
死星飛機
クロスサイド製の多機能型無人機。だが、その技術は既にドュンケルサイドに割れている。エネルギー弾による攻撃や反射鏡、増幅器などによる攻撃補佐などが可能。防御形態は1テラジュールの高エネルギーにも耐えることができる。
「全艦、主砲用意!」
アメリカからの指示に、
「主砲用意だ!」
「敵飛空艇を目標に主砲回旋!」
「主砲を飛空艇に向けよ!」
と各国が答えて、適飛空艇に主砲を向けて固定する。
一方のシルバを宙を交って、銃弾をかわし、暗黒砲台で反撃。正確にヤツらの心臓だけを撃ち抜いた。
ドガガガガガァッン!
そこへ艦隊の援護射撃が入る。狙われた飛空艇はシルバに気を取られて無敵化するのが遅れ、1、2発が気球を貫いた。
「らぁぁぁぁぁっっっっっ!」
こうして体勢が崩れた所へ彼の連斬が入って、粉々に。
そこで、シルバはその破片に魔力を込めて飛道具に。あっちへこっちへ行って戦艦に近寄った凶虫を撃ち抜いた。
それでも間を抜けてきたものについては処理が間に合わないので、一度戦艦には犠牲になってもらって、その隙にソイツを倒す。もちろん、乗組員については救出して他の艦に回した。
されど、少なくとも新しく大破艦の数はかなり減っている。
一方、ワイフとシルバのグングニル。彼らはグングニルを下に向けて、
「ラディウス!」
とレーザー射出。それで、凶虫を撃ち抜いた。
さらに、そのまま機体を巧みに動かし、戦艦を避けつつ、海を滑らせ、凶虫に当たればその場に固定。
こんな感じてどんどん凶虫を沈めていく。シルバと艦隊のおかけで敵からの攻撃がこちらに向くこともなく、しばらくはただひたすらにヤツらを倒していた。
だが、凶虫の航空戦力が来れば話は変わる。
「タイプⅣがもう現れやがったか...。」
「それも仕方ない。ヤツらの飛行速度は最大で約2500km/h。そして、ヤツらが根城を置くあの島からここは3000kmほどしかない。タイプⅠのフェロモンを確認してすぐ出れば1時間ちょいしかかからんさ。」
ワイフのぼやきに、リゼットは答える。
「というか、ヤツら...何か持っていないか...?」
言われてみると、リゼットにもヤツらの内、何匹かが後ろ足で黒い球体を持っているのがわかる。
「あ、あれはまさか... 死星飛機...!?」
そして、リゼットの言葉にワイフの血相が変わった。何も自らの友がそれにやれられてしまうと思ったわけではない。案じているのは艦隊の方である。
「ネンティウス!」
ワイフはそう言って、電鍵を操作し、設けられたスピーカーからモールス信号を送信。ただし、それを送ったのは艦隊のみである。
ツ、ツーツ、ツ、ツーツー、ツーツーツツー...
送られたのは「敵勢超兵器デスドローン接近中攻撃に注意」。言語は英語を使ったために艦隊全体に伝わった。
それを受け取った艦隊側は「超兵器」や「デスドローン」との言葉に恐怖を覚えたが彼らの科学力では対空兵器をフル稼働し、主砲を準備する程度のことしかできなかった。
そして、あっという間にヤツらは来て、突進とともに死星飛機を放つ。
この死星飛機は攻撃、攻撃補佐、防御、増兵など様々な機能を兼ね備えて超兵器である。
ビィィィッッッ、ブォォォッッッン...!
次に放たれた光線はドローンを通して、加速&増幅。これを受けアメリカとイギリスの合計3艦が乗組員ごと消し飛んだ。
ギュギュギュ...バリィィィッッッ!
「ぎゃぁぁぁっっっ!」
「いやぁぁぁぁぁっっっっっ!」
「ぐぁぁぁっっっ!」
また、別のドローン隊は表面からエネルギー弾を飛ばして乗込員を次々殺していく。断末魔が響く中、流石のシルバも蝿の攻撃を避けつつ、撃ち抜き、ドローンの攻撃を避けつつ、撃ち抜きで精一杯であった。守れる数は限られてくる。
これに蝿たちが拍車をかける。ヤツらはあちらこちらからから艦に突っ込み、数の暴力で沈めていく。対空兵器である程度は倒せるものの、その圧倒的な数の前にそれは無意味に等しい。あっという間に多くの艦が消えていった。
ドローンの方はいよいよ艦内に入り込み、内部の乗込員を前面からのエネルギ-弾で撃ち抜く。銃持ちが銃弾を浴びせれば、防御形態に入って防ぎきって、最後は返り討ちに。
もちろん、外でも猛襲は続く。エネルギー弾も拡散される中、飛空艇から一斉にレーザーが照射。それに対して、ドローンたちが球体をパカリと開いて、反射鏡を展開。しかもそれがたくさん。
それに反射してレーザーは不規則に空を交い、次々と艦を落とす。その不規則さには一部を相手に返してやるのがシルバの限界であった。
その後も死星飛機と飛空艇のレーザーにより戦艦の大破は続き、それに合わせてシルバやワイフ、リゼットが凶虫や飛空艇も消えていた。
その末、結局は両者多大な被害を被り、深傷を負い、結果は相討ちとなった。されど、敵の一小隊の侵攻を防いだという意味では艦隊側の勝利だったのかもしれない。
「さぁ、行くぞ。」
グングニルに戻ったシルバは何もなくなった海を見下ろしながら、ワイフに言う。
「あぁ。」
これに彼は答えてグングニルを走らせる。
彼らは次なる戦地を探して、再び空を行く。