Episode117 基地占拠
◆今回初めて登場する人物◆
キース(39)
人里離れた米軍基地で働く曹長。部下からの信頼も厚く、実力も折り紙付きである。軍人であることに誇りを持つ。
※今話以降、外国人が多数登場いたしますが便宜のため、言語は日本語に統一いたします
ズドドドドド...!
「ぐあぁぁぁっっっ!」
アメリカ軍の基地へ空から押し寄せたアーミーウッドゴーレムに撃ち抜かれて断末魔をあげる兵。
ドッガーン!
「ぎゃぁぁぁっっっ!」
ズバン!
「がぁぁぁっっっ!」
「ぐっ...!」
「うがぁぁぁっっっ!」
物陰に隠れながら連射する兵はロケットランチャーで爆殺され、玉砕覚悟の兵たちはショットガンで一気に吹っ飛ばされた。
ズゴォォォッッッン!ドガァァァッッン!
間もなく陸には戦車は現れヤツらの頭を吹っ飛ばす。
ピピピピピ...バシュゥゥゥッッッン!ガァァァッッッン!
そして、空には戦闘機。四方八方から両翼に取り付けられた誘導ミサイルで爆砕した。だが、戦車は無限に出現するヤツらの集中砲火で、戦闘機は上からのレーザー光線で全て破壊された。その根源であるヘビーエアフォースへの攻撃に向かった空軍もそのレーザーに壊滅されてしまっていた。
それでも、応戦を続ける米軍たち。彼らは死も厭わず、基地を守る兵士の鑑であった。
ヒュー...!ドガガガッ...!ギュゴォォォン! ギュィィィッッッン!ドガァァァッッッ!
あちらこちらで爆破や銃撃が起こって様々な音が合奏のように響き会う。兵士たちは指揮官の指示のもと、
「撃てぇぇぇっっっ!!!」
で高台から一斉にロケットランチャーを射出。
ドガガガガガッーン!ドガガガガッーン!
前面のヤツらを一気に黙らせた。
ズガガガガガ...!
「がはぁっ!?」
「ぐふぅ...」
「くっそ...!」
だが今度はヤツらが彼らを黙らせる。銃弾を胸にまともに食らって死亡。さらに、上からのレーザーで徹底的に消し飛ばした。
ピッピッピッ...。ドカッーン!
その内に別の兵がそいつへ粘着爆弾を設置。遠隔でヤツのみを爆砕した。これで、彼らの仇討ちは完了である。
そんな所へ今度は九ヶ国連合の魔術兵器がたくさん現れた。1つは魔力により動く特効系の無人機でそれが群れをなし、1つは巨大なドランゴンに乗るドラゴン使いで空から炎の攻撃を浴びせ、また1つは弓使いとメイジの乗る三日月型の航空兵器で火矢や炎弾を放つ。こんな感じでかなり殲滅された。最後は上と下から何度も砲撃を食らって落ちていくのだが。
「そうか、ヤツらの姿は木そのもの。つまり、火に弱いんだ!地下からナパーム弾を持ってこい!確かGate-13の直下...格
納庫R13にあるはずだ。今一度RPGの一斉射撃を行う。クラス1~3の兵員たちはその間にただちに向かえ。ここは我々下士官に任せろ!」
それを見てこの分隊では最高位な曹長はいる。指示を貰う一等~三等兵は
「はっ!」
「御意。」
「了解。」
それぞれ少し違った返事をし、次のRPG一斉射撃に間にGate-18へと入っていた。
されど、そのGate-18もヤツらの支配下にあったようだ。
兵たちが歩いていると、突然隣の壁が破れて瓦礫が散開。それで何人かは死ぬ。
次の瞬間にはそこから巨大な百足がたくさん出現。
「う、撃てぇぇぇっっっ!」
ズパパパパパ...!
その姿のおぞましさに耐え難い恐怖を覚えるも、流石は軍人、その恐怖に屈するものはいない。冷静に見定めて全弾ヤツに命中させて、次々真っ二つにした。だが、それはヤツらにとっては好都合でしかなかった。
「分裂しだっ...つっ...!?」
「ぎゅゎぁぁぁっっっ!」
「くっ...が...。」
それぞれの断面から次々顎が生え、その顎で兵たちを潰す。
ズパパパパパ...!
と銃撃が来るも構わず壁や天井を行き来し、兵を惹き付け、最後は後ろから忍び寄った百足が潰す。
その後も地下には同じような穴がたくさん空き始め、そこから蟻と蜘蛛も現れる。言わずもがなヤツらは凶虫である。ヤツらは蟻を戦闘に地上への出口を探し始めた。
ブツ、ブツ、ブツ...!
次々と切れていく無線に地上側も地下の異変に感付いていた。未だに繋がるのはたった1つ。それも、
『敵は巨大な虫...今地上に...。』
という声だけを受信してブツリと切れた。
そして、いよいよ凶虫たちが地上に出る。アーミーウッドゴーレムにより兵士、兵器共々多大な損害を受けたこの基地に新しい敵に対抗できる手段など何もなかった。
「撤退だ。今の俺たちにヤツらと戦うだけの戦力はない。」
「それでも、俺は残る。戦って死ぬのはいい。だが、逃げて死ぬ てのは俺の流儀に反する!」
「そうか、なら勝手にしろ。俺は逃げるぞ。」
「あぁ、勝手にさせてもらう。俺がRPGでヤツらを引き付けてる内に逃げるんだ。」
そんなこんなで、逃げるものは逃げ、逃げられないものは逃げられず殺され、残るものは残り、最後まで戦って殺される。それでも、数は減ったがしの基地が占拠されたという事実を覆すことはてわきなかった。
これは何もアメリカだけのことではない。
日本、フランス、イギリスなど世界各地にヤツらは現れ、その軍事力で陸軍を圧倒し、多くの基地を落としていくのである。中には早急に軍隊を退散させ、抑止力として保有していた核弾頭を遠隔で爆破、基地ごと吹き飛ばして占拠だけは防ぐといった強引な国もあったのだが。