Episode114 ユンケル急襲
「ナイスタイミングであったな、ワイフよ。」
「あぁ、お陰で助かった。何の策もなしに奴の相手をするのは危なかった。」
シルバ、リゼットはワイフに礼を言う。
「いいや、よい。幼い頃からのよしみだ。」
が、彼は謙虚な態度を示した。
「そんなことより、悪い知らせだ。例の内通者・レーベンズはあの団体だった。」
ワイフは飛空艇を操作しながら言う。
「あの団体ってのは?」
その言葉に、リゼットが先に言葉を投げた。
「ステーラトリア、反乱軍の後ろ楯として活躍する特務機関さ。どうやら、多機能型電磁砲や死星飛機などの兵器も流用されてるらしい。おそらく、裏でクロスサイド以上の金を詰まれたんだろうな。」
とワイフは答える。
特務機関ステーラトリア。ウトガルドを裏から牛耳っているという、いわば暗部のような存在であり、クロスサイドに属する有力な機関だった。だが、今はドュンケルサイドに付いているようだ。そのせいで、情報は筒抜け、兵器は横流しである。
と、そこへ黒い光線。透明化しているままのはずだが確実に何かが狙ってきたのであった。ワイフは気球が完全に壊されてしまう前に、
「インビンジブル!リバース!」
と無敵化してから、貫かれた部分を再生。その光線を何とか乗り切った。
そして、目の前には背中に羽を生やしてユンケルの姿。あれほどの攻撃を食らったにも関わらず痣があるのみである。
「フッフッフッ...。はっ!」
彼は暇も与えず右腕を縄に変異。それをグングニルに巻き付けて引き絞り、からの上へ黒の光線を放ちその反動で急落下。少し遅れて飛空艇も落ち始めた。
「ワイフ、無敵化だ!」
「インビンジブル!」
咄嗟にシルバは判断して指示を出す。ワイフはそれに的確に応えた。これでグングニルが壊れることはない。
いよいよ、地面は目と鼻の先。
「シルバ、ワイフ!衝撃に備えろ!」
そこでリゼットの言葉。3人は壁に設置された手すりに手を引っかけ身を屈める。
その瞬間、地面と激突した。
ガギィィィッッッン!
濁っても乾いてもいる音が辺りに響き、縄が程蹴る。
「インビンジブルを解除してくれ。」
「あぁ、コード解除!」
「リゼ、窓を撃て!」
「分かった!」
ズゴンッ!
同時に無敵化解除からの銃で窓を撃ち砕く。3人は土煙の中、そこから飛空艇の外へと出た。
「グングニルを遣わした覚えはないから、敵かと思ったが、やはりお前たちだったか。」
段々晴れる土煙の中をユンケルは進み、3人に語りかけてくる。
シルバは彼の腕を見ると、
「その腕はドュンケルのと同じものか...。貴様、ヤツの半身か何かか?」
と聞く。
「ご名答。私は神の半身・ユンケル。この右腕は見ての通り神の右腕さ。」
「なるほど...全能力使い放題ってわけか。」
言いつつ、互いは睨み合う。
その内にシルバは剣を抜き、リゼットは銃を構え、ワイフは
「アルムム・メンブルム!」
と両手両足を赤い鎧で覆う。格闘術、それが彼の戦闘手段であった。