107話 能力者潜入
◆今回初めて登場する人物◆
ベル(97)
黄昏界に住むドュンケルサイドの少女。不死身を有しており、刃物で心臓を穿たれても、首を跳ねられても死ぬことはない。97歳ではあるが、能力で老化が遅れているので幼女のように見える。
「どうやら、バッファルを包んでいた結界が消失したらしいわよ。」
館のオーロラが双眼鏡で島の方を見てそう言う。
「そうか...ならばすぐに行くぞ。気付けば『分霊の書』の反応も消えている。」
とアレックス。それを聞き、フランは
「ということは、リドナーたちが無事全て破壊してくれたのでね。」
と言う。
そして、アレックスはオーロラ、フランが肩を掴むのを確認すると、
「転移っ!」
館からパッと消えて、島にパッと現れた。
そこにたまたま敵の捜索隊が現れる。ヤツらは手を天に掲げて黒の柱を落とし凶虫と化す。種は蟻、蜘蛛、蝿、蝦蛄、蝶の5つ。
「転移っ!」
シュン!バシュッ!
アレックスは能力で一気に距離を詰めて、両手でヤツらに触れて高い所へ飛ばす。あとは落下で自然と生き絶える。
一方、フランは
「あなた方は弱すぎます。」
と近寄る蟻や蜘蛛、蝦蛄や蝿をその手の剣で切り裂き、蝶の飛ばす鱗粉は自然操作により吹き飛ばす。片やオーロラは
「蝦蛄に食らいつきなさい!」
と洗脳で蟻と蜘蛛に命じる。赤い目はヤツらの脳を奪い取り、蝦蛄を蜘蛛が糸でグルグル巻きにし、蟻は大顎で蝦蛄の顎を引きちぎり始めた。
すると、また蝿。それはアレックスが転移で上からの蟻で叩き落とし、フランが自然操作で炎を放って焼き尽くして倒し、オーロラは1人で
「ぶつかりなさい。」
と命じて、互いに衝突死させていた。
そんな感じで3人はどんどん押していき、ヤツらの死体はどんどん転がっていく。
それでもたまにはしてやられる。オーロラは全方向の死角から糸を飛ばされグルグル巻きに。その際、目も防がれ洗脳も使えない。
「くっ...うぅっ...!」
と彼女は声を出して、その中でもがき続ける。だが、ヤツらの糸は強固でほどけそうにもない。そんなことをしている内に酸素もなくなってくる。アレックスが転移で蟻を使ってその蜘蛛を倒すが糸はどうにもならない。
そこで、蟻を剣で斬り、蜘蛛を岩で潰し、蝿を炎で燃やし、鱗粉を風で飛ばしのフランが戦闘を引き上げ、そこに立ち寄り剣をノコギリのように使ってオーロラを救出する。だが、その時にはもう酸欠で意識を失っていた。そんな彼女の手首にフランは指を当てて、
「脈はあるので大丈夫ですよ。」
とアレックスを安心させる。
それからは2人で何とか凶虫を全滅させ、ちょうどそこでオーロラも起きてくる。
「ど、どうやら終わったようね...。」
と彼女は言い、アレックス、フランの横に並ぶ。
と、そこへまた1人。それは俯いた金髪ツインテールの幼女らしき女。
「わ、私の...私の可愛い人形をこんなにして...。」
彼女はそう言い俯いたままで暗い声を出す。それを聞き、3人は
「...。」
と沈黙。
幼女は唐突に顔を上げ、その沈黙を破るようにして言葉を吐き出す。
「やったのはあなたたちねぇっ!私が殺してあげるっ!」
と。その急な大声はメンヘラさながらで恐怖心も煽るものである。
こうしてその後、幼女は宣言通り殺す気で3人へ飛びかかるのであった。