TSしたから全力で満喫しようと思う
「あのさ!」
「なぁ、葵!」
私と遼の言葉が被る。
「えっ? な、何かな?」
「い、いや、葵こそ、なんだよ?」
2人して譲り合う。
ひゃ~ビックリした~。私の気持ちを遼に言おうと覚悟を決めたのに、タイミング被るんだもん。やべぇ……緊張してきた。
「じゃあ、俺から……」
「ど、どうぞ」
妙に他人行儀になってしまう。
大きく深呼吸した遼。
「お、俺さ……」
何とも言えない緊張感に生唾を飲み込む。
「…………あ………………葵の……事が…………好きだ!」
一瞬、私の周りの時が止まったように感じた。
遠くで聞こえる人々の楽しそうな声。木々が風に揺られて擦れる音。そして、全てを理解して私の時は動き出す。
「い、今……なんて……?」
胸がギュッと締め付けられる。心臓はバクバクと激しく脈打つ。
「なっ!? ち、ちゃんと聞いとけよ! 俺は! お前が好きだ! 理解出来るまで、何度だって言ってやる! 好きだ! 葵!」
「あ……」
自然と涙が溢れてきた。胸が一杯になって、今にも張り裂けそうだ。
「泣くことか!? そ、そんなに嫌だったか!? あ、えと、ご、ごめん!」
アタフタしながら頭を下げる遼。違うんだよ……遼。そうじゃない。嫌なわけがない。
「遼? いいから頭上げて?」
恐る恐ると顔を上げる遼。その頬にチュッとキスをする。
「は? え?」
状況を理解出来ないのか、目をグルグルと回す遼。
「バーカ。先に言うなよな。私も……言いたかったのにバカ!」
「は? え? なんで俺怒られてんの? てかさっきのは……」
混乱しながらも頬へ手を当てる遼。
「ば、バカ! なんで分からないんだよ! 私も! その……好きってことだよ……バカ」
きっと今の私は耳まで真っ赤になってるんだろう。それはきっと、恥ずかしさと、嬉しさが入り交じって。
「え? 好きって……え? え?」
「まだ分かんねーのかよ! うぅ……えい!」
遼の頭を捕まえて、顔を近づけて、今度は、唇にキスをする。
その瞬間、花火が打ち上がる。まるで、2人を祝福するかのように。何度も何度も打ち上がる花火。
「ぷはっ……はぁ…………これで分かったか?」
私は遼から離れて顔を見つめる。
「あ……おい……」
呆けた顔をしている遼の顔が、段々と赤くなっていく。
「おっけ、分かった。理解した。落ち着いた。大丈夫。きっと夢だ」
ぐぬぬ……コイツめ……。私が折角勇気を出したのに……。
「夢じゃない! 私はお前が好き! 大好きだー!」
そう叫んでやる。すると、遼の腕が伸びてきて急に抱き締められる。
「ひゃあっ!? り、遼!?」
「葵だ……。夢でもなんでもない……確かにここに居る。本物…………葵!!!」
「ちょっと! くすぐったいよ遼!」
私を抱き締めながら、頬擦りしてくる遼。
「落ち着いた?」
「お、おう」
5分ほど抱き締められていた。今は解放されて隣に座ってる。ずっと抱き締めててくれても良かったのにな……。
「葵、改めて言うな? 俺はお前が好きだ。俺と一緒になってくれ」
冷静になった遼は、いつになく真剣な表情でそう言った。もちろん、私の返事は決まってる。
「うん。私も遼が好き! だーいすき! だから、これからヨロシクね?」
「おーい!」
優斗が手を上げている。他の皆も居るようだ。
「ご迷惑をお掛けしました!」
私は皆に頭を下げる。
「ったくホントだよ。俺にはぐれるなって言っておきながらよ~」
「優斗は言った傍から居なくなったでしょうが~!」
夏希に耳を引っ張られる優斗。
「いだだだだっ! 葵を探す時には戻って来てたからイイじゃんかーーいってぇ!」
「でも、ホントに見つかって良かったよ」
「あおちゃ~ん! 心配しましたわ~!!」
泣きながら私に抱き着いてくるひよりん。
「ホントにごめん。探してくれてたんだね、ありがと」
「あれ? 僕は?」
晶也がションボリした顔で項垂れる。
「晶也も、ありがと」
とりあえずお礼を言っておく。
ひとしきり落ち着いた所で優斗が話し出す。
「にしても、遼が急に走り出した時はビックリしたぜ」
「ホントホント! すっごい速さで人混みに突っ込んで行くんだもん」
「あ、あれは……葵の声が聞こえたから……」
顔を赤くしながら、夏希と優斗に話している遼。
「でもさ、私の声が聞こえたって言うけど……私と遼の場所って500mはあったと思うよ?」
後から聞いた話だ。遼が居た場所から私が絡まれていた場所まで、直線で500m程度。更に今日は人でごった返していた。それなのに、私の叫び声が聞こえたとはとても思えない。
「聞こえたよ。ハッキリと」
真面目な顔をして遼はそう言って私を見る。
「そ、そっか! もしかしたら、愛の力だったりして…………。な、なんちゃって」
自分で言ってて恥ずかしくなる。思わず誤魔化したが、それが余計に恥ずかしい。
「ば、バカ! んなわけないだろ! ほら、葵の声は高いからよく聞こえただけだろ」
そう言って目を逸らす遼。
「えっ……じゃあ、私の声が高くなかったら聞こえなかった? 助けに来てくれなかった? うぅ……ぐすん……」
ちょっと期待した私は思わず涙が出てきた。
「おわっ!? ご、ごめん! 泣くなって! お前が助けを求めたら、俺は何処へでも飛んで行くから!」
「ホント?」
「当たり前だ!」
さて、こんな目の前でイチャイチャされている人たちはというと。
『やっとくっついたか………遅せぇよ。そして、見せつけるな。コッチが恥ずかしくなる』
と、誰しもが思った。
私は遼と付き合う事になった。始めは、親の開発した薬によって女にされただけだった。あの時、まさか自分が遼と付き合う事になるとは思いもしなかった。
でも、今はそんな事どうでもいい。それぐらい、幸せだ。最近、女口調にしようと頑張って居るんだけど、なかなか難しい。
「俺は、今のままの葵が好きだから、別に無理しなくていい」
とか遼は言ってくれる。その言葉に甘えて、練習を怠っているんだけどさ……。
そういえば……、皆にも報告したら
「おう、良かったな。あ、そこの漫画取って」
「うん、良かったね! そうそう、駅前にさーー」
「良かったですわね! そういえば、この間ショッピングモールでーー」
「良かったじゃないか! それはそうと、日和の可愛さについて5時間ほどーー」
と、なんだかそんなに驚いた様子はなかったんどけど……なんでだろ?
「葵~! 行くぞー」
そんな事を考えていると、外から遼の声がかかる。
「分かったー! 今行くー!」
玄関を開けると、遼が待っていた。
「ったく、遅せぇよー」
「ごめんごめん!」
そう言って私は遼と手を繋ぐ。それに対して遼もギュッと握り返してくる。
そんな些細な事が、幸せだと感じる。
「大好きだぞ! 遼!」
朝から考えに考えて書ききりました!
ここまで読んで頂き、ありがとうございます!
正直、ちょっと駆け足かな? とは思ったのですが、ダラダラ続けても仕方ないと思ったのでw
そういえば、他ルートも考えてはいるんですけど、今は書ききった達成感でいっぱいでw
気が向いたら書こうかな?程度です。(書かないかも……)
なにはともあれ、今までありがとうございました!
次の作品は異世界召喚モノです。お楽しみに!




