川でスイカ割り!?
「みょっすー! みょみょみょっすー! え?意味? そんなものは無い!」
「ふゃぁ~……」
目が覚めると時刻は午前8時を指していた。
「おなかへった……あれ? りょうはもうおきたのかな」
まだ覚醒しきっていない頭でフラフラと部屋の外に出る。
「あら、あおちゃん。おはようですわ」
「あ~おはよ~」
丁度同じタイミングで部屋から出てきたひよりんと鉢合わせる。
「あれ? あおちゃん、そこ遼様のお部屋じゃ……」
「うん~きのうのよるね? かみなりと、ゆうれいと、えっと……なんだっけな……ま~とりあえず、こわかったからいっしょにねたの~。にゅふふ……きもちよかったな~」
「遼様! どういうことですの!?」
「朝っぱらからなんだよ? こちとら……ふぁ~……寝不足でな~」
「寝不足!? そ、そんな……! 朝まであんなことやこんなことを……」
腹減った~。顔洗ってきたら目がバッチリ冴えたよ。やっぱ顔を洗うのが1番眠気覚ましになるな! ところで、なんで遼はひよりんに責められてるんだ? ま、いっか。
「おっはよー!」
「みょっすー」
「おはよう葵ちゃん」
「あ、葵! おはよー!」
皆と挨拶しながらキッチンへ向かう。よーし、朝ご飯は何にしようかな~。えっと、エプロン……エプロン……あった!
「すぐに作るからちょっと待ってろよな!」
食材は昨日の内に買ってあるから問題なし! さぁ、私の腕の見せ所ですぜ!
「待て! 日和! 葵から何聞いた!?」
「ベッドで一緒に寝たと……。そして、くんずほぐれつ……」
「してねー!」
「よーし! 出来たぞー!」
朝といえば、スクランブルエッグとハム、ウインナーにパン。あと、フルーツたっぷりのヨーグルト! あ、ご飯派の人の為にお米も炊きましたよ~!
「おぉ! 葵ちゃんの手作り朝ご飯! 僕もう死んでもいいや……」
「いやいや、せめて食べてから死んでくれ」
「死ぬことは止めてくれないんだ!?」
「はい、それじゃあ……いただきまーす」
皆で手を合わせていただきます。普段は手なんて合わせないけど、こういう時ってやりたくなるよな~。なんか、幼稚園とかに戻ったみたい!
「やっぱ旨いなぁ! 葵は良い嫁さんになるな!」
「あ! ならあたしが葵の旦那さんになる!」
「待ちたまえ! 僕を差し置いて葵ちゃんの旦那さんにーー」
「バカ晶也うるさいですわ! あおちゃんは私のお嫁さんになるんですのよ!」
「旨いの食べてると幸せな気持ちになるよな~。あ、ご飯おかわり」
「はいはい、お茶碗貸して」
こんな感じに、皆で朝からワイワイと楽しく朝食を済ませた。
「うぷっ……食いすぎた……」
「ぼ、僕も……」
「お前ら朝から食いすぎだろ……」
もしかしたら、おかわりするかな? と思って作っておいたのを全部食べた優斗と晶也。食べ過ぎてソファにぐでーんとしてる。同じ量を食べた遼はケロッとしてるけど……やつの胃はブラックホールかなにかか?
「そういえば、昨日の晩は雨凄かったみたいだね~。川とか増水してて遊べないね」
夏希が外を見ながら言う。今は夜の雨が嘘のように晴れ渡っている。
「あぁ、それなら……うぷっ…………問題ないよ。ダムを放流して水量を調節すれば……うぷっ……いいよ」
「えっ!? ダムを放流って……そんなこと出来るの!?」
晶也が言った事に夏希が食いつく。
「うん、ここは僕の家の私有地だからね。ダムぐらい電話一つで放流出来るよ」
「すごーい!」
いや、ホントに凄いな。改めて晶也が金持ちのボンボンだと思わされるよ。
てなわけで!
「おぉ! ホントに問題ないね! 昨日と何ら変わりないよ! 葵! 今日はちゃんと準備体操するんだよ!」
川にやってきた私を待っていたのは、増水した川では無く、昨日と変わらない穏やかな川だった。
「分かってるよ! 流石に何度も同じヘマをするほどバカじゃないよ」
昨日は遼に助けて貰わなかったら、きっと死んでいただろう。また遼が助けてくれるとは限らない。今度は2人とも死んでしまうかもーー
「昨日の事気にしてんのかー? ま、2人とも生きてるからいいだろ。だから、そんな気にすんな」
ポンッと私の頭に手を置く遼。
「うん。ホントにありがとな」
「ばーか。気にすんなって言っただろ?」
そう言って準備体操を始める遼。なんだろう、最近遼に頭を触られると胸が締め付けられるような感覚に陥る。平静を装ってるけど、正直心臓はバクバクいってる。
「うーし! 今日はスイカ割りをしようと思う!」
スイカを持ち上げながら言う優斗。
「え? スイカ割りって海でするものじゃ……そもそも、石だらけなのにどこで割るんだよ」
優斗が持ち上げているスイカを指さしながら私は聞く。
「水に浮かべてやればいいんじゃね?」
「いやいや、それどうやっても割れなーー」
バシャーン
「へ?」
「俺なら割る」
遼が木の棒を水面に叩きつけて言う。ちょっと待てよ、水面が割れてるんだけど? あれ? 遼って人間だよな?
「おーし! そんじゃ、遼! 頼んだぜぇ!」
そう言ってスイカをポーンと投げる優斗。
「まかせろー」
「遼様! もう1m右ですわ!」
「遼君! 50歩後ろだよ!」
「前前前! えっと、30歩ぐらい?」
「そこで、ジャンプだ遼!」
おかしい。川に浮かべてスイカ割りをするのもおかしいのに、なんで遼は目隠しをしてるんだ……。プカプカ浮かんでるから、めちゃくちゃ動いてる。そのせいか、指示も普通のスイカ割りとは度合いが違いすぎるんだけど……。
「よし! 遼! そこだぁー!!!」
優斗が叫んだ瞬間、遼が木の棒を振り下ろし、水面を叩いたとは思えない程の音を立てて水飛沫が上がる。
「やったか……!?」
優斗、それフラグ。
「おー、割れたぞー。ってやべぇ! 流されてる! スイカー! 俺のスイカぁ!」
バシャバシャとスイカを追いかけていく遼。
「お供しますわ!」
「葵ちゃん! 待っててくれ! 僕が君の分も取ってこよう!」
「うおー! スイカを追いかけろー!」
「あははっ! なんか楽しいね!」
皆が川へ飛び込んで行く中、私はそれを眺める。
「私の知ってるスイカ割りってこうじゃないんだよなぁ……」
「夏希です! 水面でスイカを割る人なんているのかな?」




