丸く収まりました!
今起こった事を話す。晶也にキスされた。
「い、今のがお前の気持ちって! どういうことだよ!」
サッパリ理解出来ずに晶也に聞く。
「あれ? 伝わらなかった? 元男とか関係なく、僕は今の葵ちゃんが好きだよ。ってこと」
ぴゃー!? す、すすす好きっ!? 好きってつまり、likeではなくloveってこと!?
「女の子になって、今まで大変だったのは分かったよ。この先も大変な事は続くと思う。だから、僕はそんな葵ちゃんを支えてあげたい」
凄い真面目な顔で晶也に告白されてるんだけど!?
「わ、わたしっ、えっと、あのっ、そのっ」
うが~目が回ってきた……。晶也は私の事が好きで、でも私は元男で、でもそんな私を支えてくれるって……。だめだ……思考が追いつかない……。
「むきゅ~……」
バタン
「あ、葵ちゃん!? 大丈夫!?」
「わー!? 葵が倒れたっ!?」
「あ、あおちゃん!?」
「葵ー!?」
「やっぱ生ってヤラシイよな……」
「ん…………」
見慣れない天井だな。あ、今晶也の別荘に来てるんだっけ。
「あ、起きた。おーい皆ー! 葵起きたよー!」
どうやら私はベッドに寝かせれている。隣に座っていた夏希が皆を呼び込む。
皆に聞くと、私は晶也に告白されて気を失ったとか。ものの30分ぐらいらしいけど……どんだけ貧弱な精神を持っているんだ私は……。
「えっと、その~、ご迷惑お掛けしました」
ベッドから体だけを起こして、ペコリと頭を下げる。
「いきなり倒れるから心配しましたわ! あのバカが余計な事言うから!」
ひよりんがベッドに手を付いてグイッと顔を近づけてきて、部屋の隅っこで体育座りをしている晶也を指差す。
「フラれた……僕は葵ちゃんに……フラれた……しくしく」
「あはは……。あの……ひよりん? 黙っててごめんなさい!」
怒られることを覚悟して頭を下げる。起きがけだけど、そこだけは頭がちゃんと働いてくれた。
「もう、気にしなくていいですわ。ちゃんと言ってくれたし、こうやって謝ってもいるんだから。その……と、友達だから、許してあげますわ!」
頬を赤らめてひよりんはプイっとそっぽを向いてしまう。
「ひよりん……ありがと」
あ、やべ、安心したら涙が。
「な!? 泣くほどですの!?」
わたわたしながら自分の袖で涙を拭いてくれるひよりん。
「ごめん……安心したら出てきちゃった」
「焦らせないでくださいまし……」
ふぅ……とため息を吐いて私の頭を撫でてくれる。
「例えあおちゃんが元男だとしても、私は友達ですわ」
「うん、ありがと」
「ったくよー、心配掛けさせるなよなー」
遼がベッドの側にやってきて、私のほっぺたを引っ張る。
「や、やめへ~! ごべんにゃはい~! いひゃいっへ!」
「お前はちょっとキツイぐらいのお仕置きが丁度いいからなー」
そう言って遼は、私のほっぺたを引っ張ったりグリグリしたりして満足したのか、近くのソファにドカッと座った。
「うう……ほっぺたヒリヒリするよ~。ひよりん、夏希、赤くなってない?」
「うん、なってるよ」
「なってますわ」
遼のヤツ~! あとでデザート抜きの刑に処してやる!
「葵ちゃんに……フラれた……」
私は部屋の隅っこで体育座りをしていじけている晶也の元に歩いていく。
「あ、あの~晶也? えっと、その~なんて言ったらいいかなぁ……」
「葵ちゃん……? なんだい? もしかしてオーケーしてくれるのかい?」
涙で顔が大変な事になっている晶也が振り返る。
「えっ、あ、いや、その~…………ごめんなさい!」
「ぐはぁっ!? まさか……トドメを刺しに来たとは……ぐふっ……」
胸を押さえて倒れ込む晶也。
「わぁ!? ち、違うって! その、まだ好き……とかよく分かんなくて……だから……その、まだ待って欲しいんだ」
晶也のあの時の目は本気だった。なら中途半端な気持ちで答えたらダメだと思う。だから、私がちゃんと女の子になれたら、その時まだ好きでいてくれたなら言って欲しい。そう思っての言葉だったんだけど……。
「なに? それはつまり、まだ僕の事を好きかどうか分からないと言うことか! そういう事なら早く言ってくれよ! さぁ! 葵ちゃん! 僕と3時間ばかり語り合おうじゃないか! 僕の魅力を君に伝えよう!」
ムクリと水を得た魚の様に起き上がり、私の手を掴む晶也。
「あはは……ソウダネー」
意味を履き違えてるけど、まぁいっか!
「さて、色々お騒がせしましたが! 改めて花火やるぞー!」
てなわけで、楽しい楽しい花火の再開じゃー! あ、私もロケット花火の打ち合いに参加させて貰おっ!
「なぁ! 私もロケット花火の打ち合い……を……ってなにしてんの!?」
目の前では男達が打ち上げ花火を抱えて火をつけようとしていた。
「え? 何って打ち上げ花火合戦」
「葵もやるかー?」
「葵ちゃん! やるなら僕のチームに入るかい?」
あ、コイツらダメだわ。ロケット花火じゃ楽しめなくなってる。ここは危険だな……そうそうに立ち去ろう。
「あれー? 葵もロケット花火の打ち合いするんじゃなかったの?」
「いや、身の危険を感じたから戻ってきた」
「にゃは?」
どゆこと? みたいな感じで小首を傾げる夏希。
「あおちゃん! あおちゃん! 見て下さいまし! この花火クルクル回ってーーひゃあっ!?」
見てみるとネズミ花火を足元で回して、最後の破裂音にビックリするひよりん。
「な、なんですの!?」
「あっはは! それは、ネズミ花火って言って最後はそうやって音がするんだよ」
「むぅ……そんな危ない花火があるとは……」
「ふぅ……おーい! 線香花火するぞー!」
1時間ぐらい遊び倒して、残るは線香花火となったのでバカ3人を呼ぶ。
「づがれだ~……」
「僕は……もう……ダメだ……」
優斗と晶也はススだらけになって帰ってきた。
「おわっ!? お前らどうしたんだよ……」
「いや、遼に完敗した……」
そう言う優斗の後ろを見ると、綺麗な格好でススひとつ無い遼が歩いてきていた。
「コイツら弱いんだよ」
それはきっと、お前が強過ぎるだけだろ……。
「キレイですわ……」
線香花火をうっとりと見つめながらひよりんが声を漏らす。
「そうだね~」
夏希も同じようにうっとりと線香花火を見つめる。
「あれ? なんで皆そんな長いの? 俺もう落ちたんだけど?」
「なに!? 優斗君もか! 実は僕も早々に落ちちゃってね!」
優斗と晶也は既に落ちた線香花火のヒラヒラの方で遊んでる。アイツら仲良いなぁ……。
ツンツンと、遼に肩をつつかれた。
「ん? なに?」
「あのさー、ちょっと話があるんだけど……いいか?」
いつになく真面目な顔でそう言う遼。
「いいけど?」
皆とは少し離れた所へやってきた。
「どうしたんだよ? 遼らしくもない真面目な顔して」
少しからかい気味に聞いてみる。
「うるせー。いや、そのさ……晶也のこと、どうも思ってるんだ?」
は? え? 晶也?
「急にどうしたんだよ?」
「いいから答えろって」
少し強めに言われたから、ちょっとだけ肩が跳ねた。
「べ、別に? さっきも言ったけど、好きとか……よく分かんないし。でも、アイツ普段はあんなだけど、意外と優しいんだよ!」
2人で買い物に行った時は結構お世話になったしな~。なんだかんだ楽しかったし。
「そ、そうか……」
「な、なんだよ?」
「いや、別に……それだけだ。戻るぞ」
? なんなんだ? 遼、なんか様子おかしくない?
~遼side~
「なんだよ……。別にってなんだよ……」
葵に言われた事が頭の中でグルグル回り続ける。
『べ、別に?』『意外と優しいんだよ!』
あー! もー! なんだよ! 葵が晶也をどう思ってようが俺には関係ないだろ!? なんでそんなに気になるんだよ!
「まさか……俺……葵のことが…………」
いやいやいや、ないないない! だってアイツが男だった頃を知ってるし、友達だし! そんな事有り得ねぇ!!!
「こらー! こんな所で寝ない! ちゃんと風呂に入れ!」
葵が疲れ果ててその場で寝ようとしている優斗と晶也を叩き起している。
「ったく……コロコロ表情変えやがって……」
可愛いな……。ってだから違うっての! 落ち着け! 冷静になれ俺! アイツは友達! 好きとかそんな気持ちは無い! 有り得ない! あー! くそっ! なんで、俺がこんなに疲れなきゃいけねーんだよ!
あの、なんて言うんですかね、控えめに言ってですね……
うちの葵ちゃん可愛すぎ(白目)




