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TSしたから全力で満喫しようと思う  作者: 犬たろう
第4章~バイトを始めたり、そろそろ夏だったり、てことはテストがあったり………~
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打ち明けられる真実

 飯も食い終わったので、花火でもしようという話になった訳なんだが……。


「おらぁ! 喰らいやがれ!」

「甘いな優斗! そんなんじゃ俺は止められないぞ!」

「優斗君、遼君。このロケット花火は少し大きくないかい?」

「「バカヤロー! それは打ち上げ花火だぁー!!!!」」

 男陣はロケット花火で打ち合いをしていたと思ったら、晶也が間違って火を点けた打ち上げ花火から、全速力で逃げ回るという慌ただしい遊びをしている。


「アイツら怪我するぞ……」

 そんなバカ3人を見つめながら私は手持ち花火をパチパチと光らせている。

「そんな事言って~、本当は混ざりたいんじゃないの?」

 夏希が花火に火を点ける。

「う……なんで分かる……」

「にゃははっ、だってさ~葵もなんだかんだ言って元は男の子だしさ~」

「えっ?」

 夏希が不意に吐いたセリフにひよりんが固まる。

「あ、あおちゃんが……元男……って……? なんですの……?」

 プルプルと震えながら私達の顔を交互に見るひよりん。この時、私は全身の血の気が引いていくのを感じた。そして、改めて思い出す。自分は男だったと。


「あ、えっと、これは~その……」

 わたわたと忙しなく手を動かす夏希。夏希自身も、やってしまったと思ったのだろう。

「いや、だって……あおちゃんは……女の子で……」

 青ざめた顔で必死に考えを巡らせようとしているひよりん。

「あ、あのね! 今のはちょっとしたジョークでーー」

「どういう事か。ハッキリ説明してくださいまし」

 そうキッパリ言ったひよりんの顔は、少しだけ強ばっていた。







 ひよりんと出会って、晶也と出会ってから、2人にはずっと言えずにいた。月野瀬 葵は元男だと。


「え……? ちょっと待って……葵ちゃんが……男?」

「そう……らしいですわ……」

 2人に説明する為に、1度部屋に戻ってきた。当たり前だが、2人は混乱している。

「えっと……その……あの……」

 夏希は自分のせいでバレてしまったから、説明は自分がすると言った。が、なかなか考えが纏まらず言葉に詰まってしまう。

「あのさ、2人には本当に申し訳ない事をしたと思ってる」

「葵……」

 夏希がなかなか言い出せそうになかったから、私が……オレが代わりに話をし始める。

「騙すつもりは無かったことだけは理解して欲しい。ずっと言わないといけないって思ってたんだ……。だけど……なかなな言い出せなくて」

 優斗と遼は椅子に座って黙だんまりを決め込んでいる。

「私……いや、オレさ元は男だったんだ。言っても信じて貰えないかもしれないけどさーー」

 それから、親が作った薬を飲んだら女になった事。女になってから色々大変だった事。2人に出会うまでの事を全て話した。




「って事なんだよ。気持ち悪いだろ? 男がこんな格好して、女になりきってさ……それに……お前達を騙した……」

 2人の顔をまともに見れず俯く。

「最低だよな……」

 胸の奥がギュウギュウと締め付けられる。喉は渇き、汗が垂れる。

「そう……ですの……」

 ひよりんの言葉が冷たく、そして鋭く胸に突き刺さる。誰しもが口を(つぐ)み、部屋の中は静まり返っている。


「…………から…………ん………よ…………」

 誰かが絞り出すように声を出した。

「だから…………なんだよ…………」

 今度はハッキリと誰が言ったのかがわかった。晶也だ。怒っている様に聞こえる。だけど、俺はその怒りと真正面から向き合わなきゃいけない。そうじゃなきゃ、反省の示しがつかない。オレはゆっくりと顔を上げた。

「…………………っ!? まさ……や? お前……なんで泣いてーー」

「だからなんだよ!!!」

 オレの声を遮り、晶也が大きな声を出す。その声に驚いて、軽く肩が跳ねる。

「元男でした、黙っててごめんね? ハッ……それで終わらせられる程僕は良くできた人間じゃないんだよ! 考えてみろよ!? 僕は……元男だったヤツに今まで浮かれてた事になるんだぞ!? お笑いじゃないか!」

 晶也は涙を流しながら怒声は発する。

「ぁ……ぅ…………」

 こんなに怒っている晶也は初めて見た。いつもはヘラヘラしているせいか、そのギャップが効いてすごく怖い。思わず脚が震えるほどだ。

「なぁ!? どんな気持ちで僕を見ていた!? 面白いヤツだと笑ってか? 可哀想なヤツだとでも!? 答えろよ!」

 物凄い勢いで晶也は迫ってくる。

「おい、晶也。少しは落ち着いてーー」

「優斗君は黙っててくれ!」

 止めようとした優斗を一蹴する。

「なぁ……? なんでそんなに震えているんだい……? なんでそんなに女の子みたいな反応をする! 僕を……からかっているのか?」

「そ、そんなこと無い! 今までお前の事を可哀想だと思った事は1度も無い!」

 必死に声を絞り出す。声も震えていて、正直説得力は無いに等しい。

「だったら! …………なんで早く言ってくれなかったんだ……。そんなに……僕は頼りなかったかい? 信用ならなかったかい?」

 だんだんと声が小さくなる晶也。

「ぼくは……本気で君の事を…………」

 俯いた晶也。その足元にポタポタと涙が落ちる。

「晶也……オレ……」

「葵ちゃん。無理してるんだろう……? 俺って言い方、ぎこちないよ」

「そ、そんなことっーーんむっ!?」


 一瞬、何をされたのか分からなかった。ただ分かることは目の前に晶也の顔があって、唇に柔らかい何かが触れる感覚がある。

 「…………急にごめんね? でも、今のが僕の気持ち。そして答えだ」

 唇から何かが離れる感覚があった。そこで、ようやく私は何が起こったのか理解した。

 「な、ななななななっ、なにしやがりますか!?」

 ま、晶也に、きっ、ききききき、キスされたっ!?

 「て、てめぇ! 晶也! 葵に何やってんだ!」

 椅子から立ち上がる遼。

 「うひょー、生キスだぜー! あれ? 生って付けるとなんかヤラシイな……」

 優斗はなんか1人でテンションが上がってる。

 「わおっ! ダイタン!」

 夏希は手で目を隠すが、指の隙間からチラチラ見てる。

 「ぷしゅ~」

 ひよりんは顔を真っ赤にして今にも倒れそうだ。

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