打ち明けられる真実
飯も食い終わったので、花火でもしようという話になった訳なんだが……。
「おらぁ! 喰らいやがれ!」
「甘いな優斗! そんなんじゃ俺は止められないぞ!」
「優斗君、遼君。このロケット花火は少し大きくないかい?」
「「バカヤロー! それは打ち上げ花火だぁー!!!!」」
男陣はロケット花火で打ち合いをしていたと思ったら、晶也が間違って火を点けた打ち上げ花火から、全速力で逃げ回るという慌ただしい遊びをしている。
「アイツら怪我するぞ……」
そんなバカ3人を見つめながら私は手持ち花火をパチパチと光らせている。
「そんな事言って~、本当は混ざりたいんじゃないの?」
夏希が花火に火を点ける。
「う……なんで分かる……」
「にゃははっ、だってさ~葵もなんだかんだ言って元は男の子だしさ~」
「えっ?」
夏希が不意に吐いたセリフにひよりんが固まる。
「あ、あおちゃんが……元男……って……? なんですの……?」
プルプルと震えながら私達の顔を交互に見るひよりん。この時、私は全身の血の気が引いていくのを感じた。そして、改めて思い出す。自分は男だったと。
「あ、えっと、これは~その……」
わたわたと忙しなく手を動かす夏希。夏希自身も、やってしまったと思ったのだろう。
「いや、だって……あおちゃんは……女の子で……」
青ざめた顔で必死に考えを巡らせようとしているひよりん。
「あ、あのね! 今のはちょっとしたジョークでーー」
「どういう事か。ハッキリ説明してくださいまし」
そうキッパリ言ったひよりんの顔は、少しだけ強ばっていた。
ひよりんと出会って、晶也と出会ってから、2人にはずっと言えずにいた。月野瀬 葵は元男だと。
「え……? ちょっと待って……葵ちゃんが……男?」
「そう……らしいですわ……」
2人に説明する為に、1度部屋に戻ってきた。当たり前だが、2人は混乱している。
「えっと……その……あの……」
夏希は自分のせいでバレてしまったから、説明は自分がすると言った。が、なかなか考えが纏まらず言葉に詰まってしまう。
「あのさ、2人には本当に申し訳ない事をしたと思ってる」
「葵……」
夏希がなかなか言い出せそうになかったから、私が……オレが代わりに話をし始める。
「騙すつもりは無かったことだけは理解して欲しい。ずっと言わないといけないって思ってたんだ……。だけど……なかなな言い出せなくて」
優斗と遼は椅子に座って黙だんまりを決め込んでいる。
「私……いや、オレさ元は男だったんだ。言っても信じて貰えないかもしれないけどさーー」
それから、親が作った薬を飲んだら女になった事。女になってから色々大変だった事。2人に出会うまでの事を全て話した。
「って事なんだよ。気持ち悪いだろ? 男がこんな格好して、女になりきってさ……それに……お前達を騙した……」
2人の顔をまともに見れず俯く。
「最低だよな……」
胸の奥がギュウギュウと締め付けられる。喉は渇き、汗が垂れる。
「そう……ですの……」
ひよりんの言葉が冷たく、そして鋭く胸に突き刺さる。誰しもが口を噤み、部屋の中は静まり返っている。
「…………から…………ん………よ…………」
誰かが絞り出すように声を出した。
「だから…………なんだよ…………」
今度はハッキリと誰が言ったのかがわかった。晶也だ。怒っている様に聞こえる。だけど、俺はその怒りと真正面から向き合わなきゃいけない。そうじゃなきゃ、反省の示しがつかない。オレはゆっくりと顔を上げた。
「…………………っ!? まさ……や? お前……なんで泣いてーー」
「だからなんだよ!!!」
オレの声を遮り、晶也が大きな声を出す。その声に驚いて、軽く肩が跳ねる。
「元男でした、黙っててごめんね? ハッ……それで終わらせられる程僕は良くできた人間じゃないんだよ! 考えてみろよ!? 僕は……元男だったヤツに今まで浮かれてた事になるんだぞ!? お笑いじゃないか!」
晶也は涙を流しながら怒声は発する。
「ぁ……ぅ…………」
こんなに怒っている晶也は初めて見た。いつもはヘラヘラしているせいか、そのギャップが効いてすごく怖い。思わず脚が震えるほどだ。
「なぁ!? どんな気持ちで僕を見ていた!? 面白いヤツだと笑ってか? 可哀想なヤツだとでも!? 答えろよ!」
物凄い勢いで晶也は迫ってくる。
「おい、晶也。少しは落ち着いてーー」
「優斗君は黙っててくれ!」
止めようとした優斗を一蹴する。
「なぁ……? なんでそんなに震えているんだい……? なんでそんなに女の子みたいな反応をする! 僕を……からかっているのか?」
「そ、そんなこと無い! 今までお前の事を可哀想だと思った事は1度も無い!」
必死に声を絞り出す。声も震えていて、正直説得力は無いに等しい。
「だったら! …………なんで早く言ってくれなかったんだ……。そんなに……僕は頼りなかったかい? 信用ならなかったかい?」
だんだんと声が小さくなる晶也。
「ぼくは……本気で君の事を…………」
俯いた晶也。その足元にポタポタと涙が落ちる。
「晶也……オレ……」
「葵ちゃん。無理してるんだろう……? 俺って言い方、ぎこちないよ」
「そ、そんなことっーーんむっ!?」
一瞬、何をされたのか分からなかった。ただ分かることは目の前に晶也の顔があって、唇に柔らかい何かが触れる感覚がある。
「…………急にごめんね? でも、今のが僕の気持ち。そして答えだ」
唇から何かが離れる感覚があった。そこで、ようやく私は何が起こったのか理解した。
「な、ななななななっ、なにしやがりますか!?」
ま、晶也に、きっ、ききききき、キスされたっ!?
「て、てめぇ! 晶也! 葵に何やってんだ!」
椅子から立ち上がる遼。
「うひょー、生キスだぜー! あれ? 生って付けるとなんかヤラシイな……」
優斗はなんか1人でテンションが上がってる。
「わおっ! ダイタン!」
夏希は手で目を隠すが、指の隙間からチラチラ見てる。
「ぷしゅ~」
ひよりんは顔を真っ赤にして今にも倒れそうだ。




