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TSしたから全力で満喫しようと思う  作者: 犬たろう
第4章~バイトを始めたり、そろそろ夏だったり、てことはテストがあったり………~
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大きな手

 薄れ行く意識の中、誰かが必死に手を伸ばしている。これって天国へのお迎えってやつかな? 準備体操もせずに川に入ったのが悪かったなぁ……。自業自得と思えば、これもしょうがないか……。


 そんな事を考えていたら、誰かの手が私を掴み抱え込む。


 あ、遼じゃん。なんだよ、こんな所まで来たのかよ。そんなに私のチーズケーキ食えなくなるのが嫌かよ……。バカだなぁ。


 そこで私の意識は途絶えた。







「あ…………い! あお………!」

 誰かが何かを叫んでる。誰だよ……。あの世にまで来て騒がしい奴だな。

「あおい! しっかりしろ! 葵!」

 薄らとした意識の中で、ハッキリと私の名前を呼んでると認識した。

「ぷはっ! はぁ……はぁ……」

 何事かと跳ね起きる。

「よかった~! 意識戻った~!」

 そう言って夏希が抱き着いてくる。

「え? え? 何? どゆこと?」

 訳が分からず皆の顔を見る。

「どういうことも何も……。あおちゃん溺れたんですのよ」

 ひよりんが心配そうな顔で私を見ている。

「溺れた? 私が? 良く生きてたな私……」

 どうやら溺れたみたいだ。でも、こうして生きてるとは……。

「遼君が助けてくれたんだよ」

 晶也がそう言って横に寝転がっている遼を見る。

「そうなのか……。ありがとな遼! …………遼?」

 いくら声を掛けても遼から返事がない。

「おい……? 遼? なんだ、寝てるのか? おーい。なぁ、遼起きないんだけど」

 不思議に思って皆を見る。


「な、なんで黙ってるんだよ……何か言えよ!」

 皆は顔を伏せたまま何も言わない。そんな中晶也が口を開く。

「遼君は、葵ちゃんを助けた後意識を失って……まだ目を覚ましていない」

 は?

「ちょっと待てよ! それって…………」

「いや、ちゃんと息はあるよ。だけど、まだ目を覚まさないね」

 目を覚まさないって……。

「私のせいだ…………」

「葵……それは…………」

「私のせいだよ!」

 夏希を遮って声を荒らげる。

「ごめんな……遼……私が鈍臭いばかりに……」

 遼の頭を撫でてやる。

「うぅ……りょう……ぐすっ……ごめんな……」

 自然と涙が溢れてきて遼の胸に顔を埋める。

「あおちゃん……別に死んだ訳じゃありませんわ」

「でも……」


 ポンっ

「え?」

 急に頭の上に何かが乗った。

「ったくよー……人が気持ちよく寝てる所を邪魔すんなよなー」

 遼の手だった。

「あ……りょう……りょう~!」

 目を覚ました遼を見て私はさっきよりも強く遼に抱き着いた。

「なんだよー……元気じゃねーか。あんまりくっつくな、苦しい」

「だって……だって……」

 顔中が涙でぐちゃぐちゃになっているが、そんなのお構い無しに遼に抱き着き続ける。

「わかったわかった、わかったから落ち着けって」







「落ち着いたかー?」

「うん……ありがと」

 私が落ち着くまで、遼はずっと頭を撫でてくれていた。遼の手って大きいなぁ……。やっぱ男なんだな~。うにゅ~……落ち着く……。

「はっ……! い、いつまで撫でてやがるこのやろー!」

 ペシッと遼の手を払いながら距離を取る。

「なんだー? 照れてるのか?」

「う、うっさい!」

 あう……顔が熱い。まともに遼の顔を見れない。

「ごめんごめん。いつもの葵だな、少し安心した」

「な、なんだよそれ……」


「お二人さん~お熱いことで~」

 ヌーっと現れた夏希に少しだけ驚く。

「ひょわっ!? な、なんだよ、いきなり!」

「いやいや、いきなりじゃないし。ずっと居たし」

「あおちゃん……いいなぁ……頭ナデナデ……」

「顔が緩んでる葵もええのぅ」

「何言ってるんだい優斗君。葵ちゃんは全て可愛い。これ常識だから」


 皆がそれぞれヌーっと現れる。

 「えっ、ちょっ、もしかして皆見てた?」

 皆は一斉に頷いた。

 「ぁぅ……」

 恥ずかしさが限界を超えた私はその場に倒れる。

 「えっ、ちょっ、葵!?」

 「たたた、大変ですわ! あおちゃんがまた倒れましたの!」

 「よし! 人工呼吸をだな……」

 「優斗君! それは僕がやろう!」


 「ぷしゅ~……」

 恥ずかしさに目を回す私をまた撫でてくれる遼。

 「大丈夫かー?」

 大丈夫じゃないです。その行為が私を殺しに来てるから!?

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