小話~香照院 日和の喧嘩上等かかってこいや!~
「あーもー! イライラしますわ!」
香照院家の日和の部屋に響き渡る声。香照院 日和は絶賛ブチ切れ中だ。
遡ること一時間前。
「日和、最近晶也君とはどうなんだね?」
夕食をお父様とお母様と食べている頃、ふと発せられたお父様の言葉。
「どうと言われましても、特に何もありませんわ」
私は冷ややかにそう言う。
どうして食事中に、あのバカの話をしなければなりませんの?どうせ、お父様は許嫁なんだから何かしら進展があると思っているんでしょうが……御生憎様。あんなのとは何もありませんわ!
「そ、そうか。でもな、日和? お前達は許嫁なんだよ? 香照院家を存続させるためには、お前達に上手く行ってもらわないとーー」
「お父様! 私は何度も言っていますわよ!? あんな鬼龍院のバカと許嫁なんて……解消してくださいまし!」
お父様の言葉を遮り私は声を荒らげる。そんな私を見て、いつもの様に2人は困った顔をする。
「そ、そうは言うが……鬼龍院家との話は既に決着しているんだ。分かってくれないか、日和?」
困った顔で私を説得しようとするお父様。
「分かりませんわ! そもそも、鬼龍院家に嫁入りするなら香照院家は潰えたも同然! それなら、私は好きな様にさせていただきますわ!」
ダンッと机を叩いて立ち上がり、私はその場を後にする。
そして現在。
「お嬢様、どうか落ち着いてくださいませ」
部屋の隅に立っている私の世話係のリィナ。
彼女には幼い頃から面倒を見てもらってますわ。私より5つ歳上で、落ち着いた雰囲気で姉のような存在ですわ。
「でも、リィナも勝手だと思いません!? 今時、家柄がどうとか気にしすぎですわ! 私にだって好きに生きる権利はありましてよ!?」
リィナに当たるのは違うと頭では理解してますわ。それでも、収まらないこの怒りをどうすれば良いのか分からず、結局リィナに当たってしまう。
「私は使用人に過ぎませんから、香照院家の問題に口出しする訳にはいきません。ですが……正直に申し上げると、お嬢様のお怒りはごもっともかと」
頭を下げながら静かに言葉を発するリィナ。建前上、口出しはしないが私に同意してくれる。
「ですわよね! ぐぬぬ……何とかして鬼龍院家との話を無かったことにしたいですわ……。私には遼様という想い人がいらっしゃるのですから!」
喧嘩上等かかってこいや! ですわ!
日和が去った後のテーブルでは、困った顔の日和の父と母が居た。
「日和には困ったものだね……。昔は素直で、お父様~! お父様~! って私の後ろを付いて回っていたのに……」
日和の父、隆文は昔の思い出を振り返りながら深くため息を吐く。
「しょうがないですよ。きっとあそこまで嫌がるのには何か理由があるのよ。もしかしたら、好きな人でも居るんじゃないかしら」
日和の母、咲恵は隆文を慰める。
「好きな人か……。もし居るんだとしたら、会ってみたいものだな……」
~佐渡家 遼の部屋~
「へっくしょーい! あー?風邪でも引いたかー?」
漫画を読んでいた手を止めて、遼は鼻をかんだ。
ひよりんも怒るんですw
お父様涙目ですわw




