蜘蛛は嫌いです
にょほほほほほほ!ちょっと短いかも!
あの出来事から1週間。最近、やたらと優斗や夏希が俺の事を気にかけてくれる。いや、気にかけすぎだ。毎日、優斗か夏希のどちらかが家に遊びに来るんだ。心配されるのは嫌じゃないけど、心配しすぎだ。そして今日もいつものごとく夏希が遊びに来ている。
「なぁ~夏希~?もう大丈夫だから毎日来なくてもいいぞ~?」
俺が夏希に話しかけるも夏希は振り返り一言。
「だめ」
ピシャッと言い放たれる。ココ最近で俺のメンタルがズタボロだよ…。
「いや…でもさ~いくらなんでも過保護過ぎるだろ?俺は夏希と優斗が変わらず友達で居てくれるなら大丈夫だからさ~」
正直、あの時2人に言われた言葉は俺の支えになっている。変わるものばかりな俺に、ずっと変わらず居てくれる存在がある。それはとても心強くて、安心出来て…。
「でも、じゃないの!またあんな風になったらって思うと、ご飯も毎日3食とおやつしか喉を通らないし、夜も9時間しか眠れないんだから!」
「すごーく健康的な生活ですね、はい」
「なぁ、夏希~」
「な~に~?今いい所だからちょっと待って」
夏希は漫画を読みながら片手をヒラヒラとさせている。いや、お前本当は全然心配してないだろ。
「俺さ~喋り方変えた方が良いかなって」
「どうしたの葵!?どこか痛い所とかある!?それとも熱!?」
漫画をほっぽり出して俺の前に来て、おでこに手を当てたり、身体中をぽんぽん叩いて確かめたり、アタフタしたり。前言撤回、すげー心配されてるわ。
「い、いや、大丈夫だから!そうじゃなくて、女の子が俺とか言ってて良いのかな~って最近思えてきてさ」
ここ最近、心が変化してきているのが自分でも認識出来るほどになってきている。やたらと可愛いものに目を奪われたり、仕草を気にするようになったり、甘いものなら別腹になったり、そして今回喋り方が気になり始めた。
あれ?もう随分と女になってきてるな。
「あ、そういう事ね…葵さ、最近急に女の子らしくなってきたよね」
そうかもしれない。さっき上げた例だけでも前の俺からすると180度逆の事だ。
「でさ、やっぱ変えた方良いよな?」
「う~ん…葵が変えたいと思ってるなら良いんじゃない?あたしがどうこう言える訳じゃないしさ」
前までは喋り方の特訓とかさせられたのに今回は俺の気持ちを尊重してくれるみたいだ。なんだかんだ優しいのが夏希だ。
「よし!じゃあ変える!夏希!手伝ってくれ!」
「りょーかい!それでは今からはあたしの事は軍曹と呼ぶように!」
夏希が腕を組みながら俺の前に仁王立ちする。俺もそれに習い。
「分かりました!軍曹!」
と立ち上がって敬礼する。
「とは言ったものの…葵ってさどのくらい女の子っぽく喋れるの?」
さっそくさっきまでの勢いが崩れた。やるならやりきろうぜ…軍曹…。
「あ~今はごちゃまぜになってる感じかな?」
「ごちゃまぜ?例えばどんな感じに?」
どんな感じって言われても困る。お前は標準語と方言のごちゃまぜ人間に、どんな感じで喋ってるの?って聞いてるんだぞ?自分の言葉なんて気にかけないだろ普通。
「あ、ふとした瞬間に女っぽくなるかもな。驚いたりすると1番顕著に現れてるかも」
「ふ~ん……………葵?頭に蜘蛛が乗ってるよ?」
「ひぃぃぃぃっ!?どこどこ!?取って!取ってよ~!」
ぽとり
「ひっ…………いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?」
「ぐすん……夏希に弄ばれました………」
「ご、ごめんって!あんなに怯えるなんて思わなくて…ホントにごめん!」
あうあう…蜘蛛…ムリ…アイツ…害…処すべし…慈悲はない……。
「(あぁ…葵……。可愛い……その涙目で上目遣い……良い!あたしにしがみつきながらガクブルしてるのも可愛い………反則級だよ………)」
夏希が「何故か」持っていた蜘蛛のおもちゃ。それを頭の上に落とされた挙句、それが目の前を通り過ぎ足下へ落下。俺悲鳴を上げる。夏希に抱きつく。←イマココ
「そ、それにしても確かに女の子みたいになってたね」
「あーうー…もうムリ…ホント無理…今日1日ずっと蜘蛛に怯えながら生活するんだ…」
ホントに無理なんだよ!男の時も蜘蛛だけは嫌いだったんだ!なんなんだよ!?あの気持ち悪いフォルムは!?しかも糸を出すんだぞ!?地球上の生き物じゃねぇよマジで…。
蜘蛛ってさ…なんであんなに気持ち悪いんだろう…糸に引っ掛かった時の絶望感はヤバい…。




