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地上の楽園番外編  作者: 港瀬つかさ


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なかしたい。ないてほしい、ぼくだけのため

小ネタ。ライオス。


 涙。頬を伝い流れゆく、涙。それは、誰の為のモノか。俺は知っている。傷つき倒れた、部下達へ。生命を奪われたモノ達への涙。

 優しすぎる人だから。他の誰かの為に涙する。自分自身の為には泣かず。誰かの為だけに。

 それを、嫌だと想うほど。いつの間にか、小さな人間になっていた。誰かの為でなく。どうか、自分の為にと。エゴにも似た独占欲。何時から、想うようになったのかすら、忘れた。



 俺の為だけに、泣いてくれたら。



 喜びになるだろうか。けれど、それは違う。それでは、駄目だ。そんな人ではないと知っている。カタチを変えた存在など、要らない。

 自分の為だけと望みながら。それでは駄目だと想う。矛盾し続ける想い。交わらない願い。そのままの貴方でいて欲しいと、願う。

 たとえどれだけ傷ついても。たとえどれだけ涙しても。たとえどれだけ哀しんでも。かわらずに貴方でいて欲しい。他の誰にもかえられることなく。不可侵の、存在として。

 俺だけの、聖域。誰にも、変えて欲しくはない。かわって欲しくなど無い。もしもかわるなら、それはどうか俺の為であるように。例外が、俺か、もしくは仕える人々であるように。そんな、自分勝手な願い。



 泣かしたいと思うのは、そういう時。



 他の誰かを見ている時。他の誰かを考えている時。他の誰かを思っている時。そんな姿を見るのが、嫌で。たまらなく、嫌で。

 その視線を、こちらに向けたい。その思考を、俺で満たしたい。笑顔の一欠片さえ、俺のモノに。なんて、傲慢な。なんて、自分勝手な。

 解っていてなお、止まらない。解っていてなお、抑えきれない。平静を保つのが、精一杯で。何時から、側にいるのが辛くなったのだろうか。知られたくないと、想うからこそ。



 泣いて下さい。どうか、俺の為だけに…………。


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