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地上の楽園番外編  作者: 港瀬つかさ


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あともう少しだけおなじ夢を見たいな

小ネタ。イロスとライオス。幼少期。


 並べてくっつけた、二つの寝台。その真ん中で、シーツにくるまる二つの塊。仲良く眠る、子供が二人。イロスと、ライオス。

 近々、彼等は近衛の身になる。現国王の正妃の子供達が、時期に1歳になる。そろそろ護衛を近づけても良いだろうという時期だ。イロスは6歳、ライオスは5歳。だが、同年の子供達よりも遙かに優れた資質を持っている。

 それが、シーリン家の特徴。幼いうちより、頭脳も身体能力も長けていること。それ故に、共に学びながら、王族を警護する。テバイ建国より続いてきた、しきたりだ。

 だから、最後かもしれない。こうして、何も考えずに二人で眠るのは。そう思うと、ライオスは嫌だと思う。王子も王女も、可愛いと思う。確かに、大切だとも。

 けれど、嫌なのだ。兄と身体をくっつけて眠ると、安心できる。おなじ夢を見ていると、安心できる。不思議と、見る夢はおなじだった。朝起きて語るたび、驚いてしまう。

 それは、決まって一緒に寝た時だった。何かが繋がっているのねと、笑っていった母の言葉がある。お前達は近しいモノなのかもしれないなと言った、父の言葉がある。だからこそ、余計に哀しい。今までずっと、一緒にいたのにと。


「……兄ちゃん……。」

「…………ん?」

「……もう、一緒に寝られないのかな?」

「……うーん。どうだろう?王子も王女も幼いから、4人で寝るとかじゃないかな?」

「……でも、二人じゃないんだよね?」

「そうなるな。」


 もぞもぞと動く兄の身体を身ながら、ライオスは溜め息をついた。多分、4人で寝るにしても、くっついてはねられない。生真面目な兄のことだから、間に双子を挟むだろう。考えなくても解ることなので、尚更嫌だった。

 側にいたいのに。おなじ夢を見ていたいのに。もうじき、それも叶わなくなるのだ。他の誰でなく、兄だから共有できるモノがあったのに。それすら、取り上げられる。


「……ヤだな。」

「……ライオス?」

「……ううん、何でもない。」

「じゃあ、寝よっか?」

「…………うん。」


 ぎゅっと手を握りあって、目を閉じる。掌から伝わる温もりが、そこにある。それを感じて、ライオスは思う。もうじき終わるなら、今だけは。あと少しだけは、見ていたい。

 こうやって、くっついて。一緒に、眠ること。とても幸せだった。おなじ夢を、見ていられるから。




 あと少しだけ、同じ夢を見て眠りたいと呟いたのは、子供の我が儘…………。


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