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地上の楽園番外編  作者: 港瀬つかさ


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23/36

たくさんの好きと、たくさんの愛を、君に

小ネタ。イロス。


 5歳年下の末弟は、何処かで他人を拒絶している。持って生まれた、読心能力の所為だろうか。欲しくなかったと、泣いて縋る姿を思い出す。アレはまだ、10歳にも満たない頃のことだったか。

 聞きたくなどなかったと。知りたくなどなかったと。ケイロンが見抜いたからこそ、その男は殺された。王家への反逆を企てた罪を問われて。自分の能力が、誰かを殺した。その事実に、ケイロンは押しつぶされそうになった。

 それだけならば、まだ。能力を封じるなどの方法で、どうにかできたかもしれない。創造神の神託を受ける導き者でなければ。誰よりも強く、創造神の声を聞く者。故に、その声が世界を揺るがせる。その言葉の一つ一つが、何かを壊すこともある。

 そんな、自分を疎んでいる。私は知っている。ケイロンは、ただ優しくて甘いだけの子供だと。それなのに、その能力故に、己を疎む。お前に罪はないのだと言っても、聞かない。自分は罪深いのだと、責め続ける。

 だから、私は願う。こうして、私達がケイロンを愛していることを。いつか、あの子が気づいてくれるようにと。いつか、自分が愛されていると言うことに、気づいて欲しい。

 兄弟だけではない。ケイロンの親友である、我等の主君である方々も。ケイロンと共に学んだ、同じ師に師事した者達も。王宮で擦れ違う、下働きの者達も。共に戦場を駆けた、兵士達も。


 誰もが、ケイロンを好いている。


 あの、不器用な子供に。どうか、この想いが届いて欲しい。お前がいて嬉しいのだという、この思いが。お前が必要なのだという、この思いが。

 自分を、否定しないで欲しい。お前という存在は、大切なのだ。私達にとって、必要なのだから。大切な、弟。掛け替えのない、兄弟。



 だから、多くの愛しさと優しさを、お前に与えよう。


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