3:理由なんていりませんただ好きなんです
小ネタ。アイトラ。
私の愛する兄弟達。長兄の、イロス兄上。次兄の、ライオス兄上。妹の、セメレ。弟の、ケイロン。
掛け替えのない、私の兄弟達。王家の為に生きて、王家の為に死ねと育てられた私達。でも、互いを大切に思うのは本当。理由なんていらない。そんなモノ、必要ないから。
同じ血を分けた、掛け替えのない兄弟達。皆が同じように、平穏を歩めないことを知っている。私達は、動乱の中で生きるモノ。時代の変わり目に生まれたのだから、それは当然。
「アイトラ、どうかしたか?」
「アラ、イロス兄上。どうもいたしませんわ。」
「アイトラは希に本心を隠すからなぁ。本当に何もないのか?」
「疑い深い性格は相変わらずですのね、ライオス兄上。」
「性分なんでね。何せ、兄貴がこうもお人好しだから……。」
「誰がお人好しだ、誰が。」
「兄貴以外の、誰だと?」
「……ライオス。」
いつものようにじゃれ合う二人の兄。本当に、仲の良い二人。この二人の兄の、こういった姿が私は好き。他の誰も割り込めない、兄弟の姿が。平穏の証に思えるからこそ。
「姉様!」
「セメレ?まぁ、暇を貰えたの?」
「ええ。だって、明日は姉様の誕生日でしょう?」
「まさか、その為だけに……?」
「だって、大切な姉様の誕生日ですのよ?」
「…………本当に、困った子ね……。」
苦笑した私に、セメレは笑う。可愛い妹。常は逢うことすら叶わない、巫女。私の誕生日の為だけに戻ってきたというその優しさ。変わらない純粋さが、私は愛しい。
「お集まりのようですね、兄上方に姉上方。」
「ケイロンじゃないの。殿下方のお側にいなくても宜しいの?」
「明日はアイトラ姉上の誕生日なのだから、たまには孝行しろと追い出されました。」
「あらまぁ……。テセウス様方も困ったものね……。」
「何も困らないでしょう?大切なアイトラ姉上の誕生日を祝うのですから。」
「ありがとう、ケイロン。」
さらりと言い切りながら、照れたように笑うケイロン。不器用で、少し照れ屋な大切な弟。貴方のその不器用な優しさが、私は好きよ。正直になれずに苦労することもあるでしょうけど。でも、大切な弟なのよ、ケイロン。
私にとって、大切なモノ。仕えるべき、オリオン様。けれど、それ以上に大切なモノがある。掛け替えのない、兄弟達。
みんな、私の大好きな人達………………。




