真実の灰色
前回に続き新しいヒーローの話です。
エイジオブヒーローは時系列的にとびとびでいくつもりなので若干テンポが早すぎる場合があります。
いわゆるクロスオーバーな話だけを書いているため個別のヒーローについてもう少し見たいという方は個別ヒーローのシリーズも見ることをおすすめします。
エイジオブヒーローはヨミとの最終決戦まで描く予定です。
侍姿のそれはサムライマンであった。
「ヨミか?」
サムライマンは刀を構えつぶやいた。
「違う・・・俺は練馬だ」
練馬はそう答えた。
「なぜそんな姿になっている?」
サムライマンは問いかけた。
「ヨミに渡された機械が体のなかに入ってこうなった。渡されたのは俺が自分が死なないためについた嘘が原因だ」
練馬ははっきりと事実をのべた。
サムライマンに殺されかねない見た目だからだ。
「もとの姿に戻れるのか?」
サムライマンは問いかけた。
戻りたいと思うとまるでての指を動かすかのように意識して体が戻っていった。
「戻れた・・・よかった」
練馬は一息ついた。
「怪物でないなら知らん好きに使え」
そう言ってサムライマンは消えてしまった。
「消えた!?」
サムライマンが消えたことに戸惑うもののとにかく帰路につこうと決心した。
その夜練馬は眠れなかった。
それどころか疲れすらも感じていなかった。
「この体になった影響か・・・」
練馬は立ち上がるとリビングまで歩き冷蔵庫から飲み物を取りだし一気飲みした。
「こうなった以上この力を有効活用してみるか」
退職届けを書くと弁護士バッチをそこに入れて練馬は外へでた。
怪物がいる音が聞こえた。
練馬は変身するとその音の方へ向かった。
怪物は孤立している人を見つけては襲い食い散らかしていた。
そして怪物はイニシエーターと呼ばれるものだった。
イニシエーターは練馬をみて言った。
「ボス!?違うな・・・お前は何者だ?ボスと似た姿をしている」
練馬は少し考えて答えた。
「嘘からたまたまなっただけのただの一般人だな」
それにたいしてイニシエーターは言った。
「お前は組織の内部の者か?」
それに対して練馬は答えた。
「まったく関係ない・・・だが人を殺す怪物は見過ごせない」
そういって練馬は構えた。
「またヒーローきどりか!捻り潰してくれるわ」
イニシエーター達は腕についた変えん放射機といっせいに放った。
「俺の体は多分そんなものは効かない。」
そう言い練馬は力を込めてイニシエーターに向かってジャブを繰り出した。
イニシエーターの体を拳が貫いた。
「予想外のパワーだな」
イニシエーターは爆発した巻き込まれ周りのイニシエーターも爆発した。
「しかしあのヨミとかいうやつ・・・こんなパワーを気まぐれで渡すとは・・・狂ってるな」
練馬はそうつぶやいた。
すると目の前にヨミが現れる。
そしてその姿は人間のものになった。
「ハハハ!なんと!俺を騙すとはやるなぁ!だがしかしその機械は新型でな!」
ヨミは続けて言った。
「俺が誰でもいいからと思ってつくったやつなのさ」
ヨミの言葉に混乱した。
「誰でもって自分達の怪物を殺せるような強さをか!?」
練馬は驚いて言った。
「まず始めにその装置は俺のと違って自爆すんのさ!スイッチとなる行動はいくらかある」
ヨミの言葉に非常に焦りつつも黙って練馬は聞いた。
「まず始めにお前が死んだ時」
ヨミは練馬の顔を見ながら続けた。
「まぁそれはお前にとってどうでもいい話だな」
ヨミは続けていった。
「俺にとって怪物とか戦いはゲームだよ!強さを求めて満足した次の段階ってわけだ!」
ヨミの言葉の一つ一つが狂気で満ちていた。
「ともかくその次はお前がそれを強く望むことそして最後は俺死ぬことだ!」
ヨミは笑いながら言った。
「なんだと・・・!?」
練馬は平穏を保てず叫んだ。
「まぁまぁどっちにしてもお前がいつ殺されるかわからないし最後はおまけだよ」
それに対し練馬は言った。
「だがこの力は強い・・・よほどのことがない限り死にはしないだろう」
それに対してヨミは言った。
「ところがどっこい!その力は俺のよりかははるかに弱い!まぁイニシエーターはすぐ殺せるだろうがな。ついでにお前の体力を常に奪うおまけもつけた」
ヨミの細工はあり得る話だった。
ともかく練馬は黙って聞いた。
「怪物倒しはいいが俺を殺すとなると少し勇気がいるなぁ!サムライはそれを強く望んでいるが。」
そしてヨミは練馬にこういい放った。
「死にたくなければ俺を殺そうとする奴を殺せ!」
そしてヨミはどこかへ去っていった。
練馬は衝撃的な事実について頭を抱えた。
ヨミが死ねば自分も死ぬ。
となると迂闊にヒーローに加担すれば死期を早めることにもなる。
かといってヨミは元凶だから死なない限り平和は訪れない。
するとそこにサムライマンが現れる。
「話は聞いていた。お前はどうするんだ?」
サムライマンの鋭い質問に対して練馬は答えた。
「ヒーローに加担する。俺は弁護士をやっていた。人を守りこそするが自分のため人を犠牲にはしたくない」
練馬のその答えに嘘はなかった。
「ならばそれを信じよう。もしお前が死んで一部が残ったら面倒みてやるよ」
サムライマンの言葉の意味はわからなかったが練馬は言った。
「もし奴を封印することができれば」
それを聞いたサムライマンは言った。
「封印?幽閉か?無理だろう奴の力は強い」
サムライマンは続けた。
「できれば死にたくないのはわかる。だがそれに付け入られれば奴の思うツボだ。俺は死を知っている。死んでも最終的に完全な消滅をするのはお前の一部だけだ。そんなに怖くはないものだぞ。まぁその一部に自分がなってみると考えない方がいいこともあるがな」
そういってサムライマンは消えた。
「ハハ・・・本当狂った世の中だ」
練馬は見えてないサムライマンを引き留めるようにいい放った。
「俺の名前どうしよう?練馬だとかっこ悪いな」
練馬はそういうとサムライマンの姿が一瞬現れサムライマンが言った。
「ライアーマンとかどうだ?嘘から生まれたお前にふさわしい」
若干冗談混じりのその名前に対してまた消えたサムライマンに向けていった。
「つくさ・・・なにかを守るためなら嘘も」




