悪魔の祝福
サムライマンオリジンズの実質的な続編ですがこの作品だけでも楽しめます。
オリジンズを見てない人にもおすすめです。
怪物が現代に現れ始め数ヵ月。
サムライマンや機械戦士などの活躍によりかろうじて人々は文明と生活を維持した。
「さーて命を省みない戦いを見せてやるよ」
機械戦士は言った。
「お前には組織は興味はない」
カラスに似たその怪物は呟いた。
「人質の解放にはサムライマンをつれてくるのが約束だったが」
合金の男はそう喋りかけた。
「すまんな・・・奴のことは俺も知らん!」
機械戦士は走りだし背中のジェットパークからジェットをふかしてキックをした。
「グオオ」
カラスの怪人はそれを飛んで避けたが後ろの機械トカゲ怪人がそれをモロにうけ爆発した。
「機械トカゲなんて趣味がいいなぁ」
機械戦士は構えながらステップを踏み言った。
「イニシエーターと我々は呼んでいる。貴様の相手にピッタリだろう?それと私はヨミという。名前で読んでくれよ」
合金の男は呟いた。
「しらねーが人質は解放させてもらうぞ」
機械戦士はイニシエーター達と戦いながら叫んだ。
「君にできるとは思わんな」
ヨミは機械戦士に問いた。
その直後壁が崩れなにかが現れた。
機械戦士に近い見た目は持つそれだが金属の灰色ではなく迷彩カラーであった。
「戦いにはなれてない人質救出だけしたらまたモニターに戻るぞ」
その声は田中であった。
人質をネットガンで捕まえるとそのまま飛び立っていった。
「俺だけなら確かに無理だったけどな」
機械戦士はこう答えイニシエーターに爆弾を張り付けて蹴り飛ばして飛び立っていった。
「こっちにくるな!!」
イニシエーター達は爆発した。
「ふーむ機械だと爆発に弱いな」
ヨミは頭をかきその場を去った。
桜川は網のなかで運ばれながら叫んだ。
「機械戦士なんてださい名前やめましょう!あなた達はもっとかっこいいからボットウォリアーなんてどう!」
そう田中に話しかけた。
「君はこういう事件に首を突っ込むのはやめたらどうかね・・・毎回救出する場所にいる気がするんだが」
田中は答えた。
「あなたはボットウォリアーっていうかボットコマンダーね!賢い感じがする!」
桜川はつぶやいた。
「サイエンティストとよんでほしいがな」
ボットコマンダーはそう言った。
「しかし最初のころよりボットウォリアー独り言減ったわね」
桜川は思い付いたようにつぶやいた。
「うーんわからん。最近は個別の名前呼んでもぴんと来てないしな」
ボットコマンダーはそう言った。
その頃法廷では怪人事件による裁判が行われていた。
怪人事件により犯罪の裁判が非常に困難を極めていた。
そして法廷ではアリバイなどの現実的事実よりも感情や意思が重視されていた。
「というわけで被告人は13日の夜には確かにコンビニで働いていました。待合室に入れるのは関係者だけ。確かにそうでしょう。人間ではの話ですが。
」
弁護士の練馬は裁判長の方をみて言った。
「なので動機について考えてみましょう。被告人あなたは被害者とはどのような関係でしたか?」
それにたいして被告人は答えた。
「それはもう友人の一言ですね」
それを聞いて続けて練馬は言った。
「あなたがバイトを始めたのは被害者から誘われてですよね?」
練馬が言ったことにたいして被告人はうなずいた。
「以上です」
練馬は席についた。
「では・・・申し付けます」
裁判長がそういおうとしたとき検察が立ち上がった。
「裁判長!都合によってこれなくなった証人が今これると連絡が入りました。証人として提出します。」
その言葉にたいして練馬は若干の焦りを見せ言った。
「意義あり。事前に提出されていません。」
それにたいして裁判長はいった。
「そうですね・・・それについてはどうしてですか?」
と検察の方へ目を向けた。
「怪物によって襲われていたとのことです」
検察側はこう答えた。
「意義あり。そのことについて事前に申告されてません。」
練馬はすかさずいい放った。
「怪物によって脅されていたと」
検察は答えた。
「馬鹿らしい・・・こっちの意見に会わせて出すか決めていただけだろう」練馬はそういい放った。
「弁護人不適切な表現です」
裁判長のその発言で練馬は席を座り謝罪をした。
「弁護人あなたは怪物による仕業を考えれば何があってもおかしくないとそういいました。ならば同じように証人も認めるべきだとは思いませんか?」
裁判長の指摘に対して練馬は返す言葉がなかった。
実際に考えれば証人が本当に襲われた可能性も否定できない。
それに自分が怪物による可能性を考え状況証拠ではなく被告人動機のないことを主張して弁護している以上反論の余地はない。
法廷から出てくるとき練馬はため息ををいた。
「ありがとうございます・・・っていっていいのかな?友達は結局・・・」
被告人であった谷口はそうつぶやいた。
「いや彼もきっと安心している」
練馬はそう答えた。
「でも僕とあいつが口論してるところを見てた人が出てきたときはどうなるかと」
谷口はそういった。
「状況証拠での弁護は不可能だと考え私が動機で主張した。だがそれに対抗して口論しているところを見ていた証人を出したんだろう。その証人を出せば状況証拠は逆にこっちが有利だ。だけど俺が怪物の可能性に関しての主張をした以上それはできない。
怪物に委託したと言われればそれで終わりだ。怪物の可能性を考えると動機が非常に重要になる。もちろん動機が強いと判断された場合委託殺人として扱われるかもしれない。最近はそういうオカルトチックなサイトもあるしな。ジョークだとは思うが・・・。」
そう練馬は言った。
「僕がトイレにいった間に死んでた僕にはそれだけしかわからない」
谷口は答えた。
「でも証人がまさか従業員トイレを借りた老人だったとはな」
練馬はいった。
「あいつが清掃途中の時に口論したしあいつが貸してたのかも・・・。」
谷口はいった。
「でも口論の内容はいささか友人間のトラブルとは思えないようなものだな。なんというか・・・友人がそこまで人間性についてどうこう口論するのはちょっと不思議だな」
練馬はいった。
「あの僕はあいつとちょっと特殊な関係で」
谷口はいった。
「察したよ・・・。君はその被害者の死から立ち直ったのかい?」
練馬はいった。
「いや・・・自分が犯人とかいわれて・・・いろいろパニックになってたのでのきそうです」
その後練馬は谷口と別れ裁判所からでて歩いた。
「中世の魔女裁判みたいになってきたな・・・弁護士を続けるのは限界がある・・・毎日トンチ比べをしてるようなもんだ」
練馬はそうつぶやいた。
「怪物による事件でいっそう治安の悪化や不安が高まってきている。」
そうつぶやいた直後近くに整った足音・・・達が聞こえるのに気づく。
(軍隊の行進か?自衛隊のアピールをして不安を抑えるとか)
練馬はそんなことを考えながらつったっていた。
だがそれが近づく度に人々の驚きと悲鳴が聞こえる。
練馬も異常性に気づきある結論が出た。
「怪物が走ってくるぞ」
逃げる人々がそう口にして走っていった。
「ヤバイ逃げないと」
そう思ったときには遅かった。
怪物達の軍勢に飲み込まれ何体かの怪物がその場に止まりその1体が練馬の首をつかみ持ち上げた。
「死ぬ時間だ!」
その声と共に息苦しくなるのを感じる。
(何か延命手段・・・)
脳をフル回転させ言い放った。
「お前らのボスを知っている・・・話がある」
ボスとはなにかも知らない。
存在自体するのかも。
だが隊列や怪物の見た目の規則性などをみて指導者がいることを察した。
「ふむ・・・?ヨミ様を知ってるのか。勝手には殺せないな」
その怪物は手を離しそして服をつまみ合金の男のもとへ投げた。
「なんだぁ?俺のファンか?」
その合金の男は不敵な笑みを挙げ言った。
「ボスを知ってると・・・話があるらしいです」
そう怪物は答えた。
「イニシエーター戻っていい。食事でもしてろ」
イニシエーターという名前が怪物の名前と練馬は覚えた。
覚えておいて損はないと思ったのである。
なぜならば話があるふりをしてなんとかこの場から逃げなければならない。
逃げれなくてもあるいは命は助からなければ。
「サムライマンを知っている・・・正体も」
練馬はサムライマンという存在は知っていた。もちろんよく知らない。だが怪物達がそれを狙っているのはみんな知っていた。
「ふむ!?ならば言え!今すぐ!死にたくなければ!」
その言葉はもっともだった。
一番ありあえる言葉であった。
だが意外性がないことに失望をした。
これでは言えなければ死ぬ。
その時練馬は思い付いた。
何者でもないことが事実だった場合何者でもないと答えるしかない。
それを事実と仮定して嘘を述べようと。
「サムライマンは何でもない謎の存在だから正体はないんだ。」
その言葉を聞いてヨミは納得し続けて話した。
「それは薄々気づいてたな・・・だがそれではお前の命を助けるには至らんな。」
その言葉を聞き焦りつつも練馬は続けた。
「サムライマンの強さは守るべきものがないこと・・・何者でもないからだ。それを作れば弱点になる」
知らなくても仮定から推測すればこういう結論になっても全然おかしくない。
だが自分でも納得した言葉にたいして若干後悔もした。
それは事実であった場合サムライマンを陥れるヒントになるからだ。
「なるほど!逆転の発想だ。弱点がないなら作ればいい・・・ならお前が弱点になれ」
ヨミはいった。
「弱点・・・!?俺のことをサムライマンは知らない」
練馬はすぐに答えた。
なるべくヨミの思う自分のイメージを崩さないように。
「ふむ?お前はサムライマンの知り合いで命のために自白したとばかり思ったが」
しまった知っていることにしたほうが好都合だった。
「お前はなんのために奴を知った。」
ヨミの質問に対しもっともらしい答えを返せなければ死ぬ。
ヒーローを妬むものはいても陥れようとまでは普通おもわない。
(この場合何が正解だ?)
ヒーローにたいして陥れようとする一般人はいない。
常識的に考えて。
しかしその常識を逸脱したものが目の前にいることに気づく。
そう自分が逸脱した存在と仮定すればいくらでも可能性はある。
「俺はあいつの熱烈なファンだよ!見ていて楽しいし助けられたこともある。だけどあいつは俺を知らない。だから知らせるためにアピールしようと思ったんだ。最高の状況でね」
自分でもおかしな人間だと思いつつしゃべった。
「ふむ・・・貴様は俺と似ているな・・・一般人でそう考えるやつはよほど狂ってる。俺以上のキチっぷりだなぁ。」
ヨミはそういい何かを手渡した。
「面白い最高の状況でやつの記憶に刻み込め」
そうすると軍団はどこかへ去っていった。
手渡されたものは何やら機械のようだった。
「これはなんだ?」
生き残った喜びもあるが渡されたものへの興味はそれをさらに上回った。
その機械はたくさんの線がついている基盤のようだった。
その線は体にまとわり付き刺さった。
「うわああなんだ・・・」
その線がどんどん体に侵食し最後は基盤までもが埋まっていった。
「何が起こっている・・・」
練馬の体にその機械は埋め込まれた。
そして練馬は吐き気を催した。
「なんだ・・・頭が痛い」
練馬に激しい痛みが走る。
全身にナイフを刺されているかのような痛さだ。
「今度は・・・体まで・・・」
痛みが収まるまでその場で吐き続けた。
そして収まると練馬は自分の姿が変わっていることに気づく。
自分の皮膚は銅のようになり人間のそれではなかった。
ヨミの姿に似ていて色が違うものだった。
「予期せぬ事態だな・・・なにかわからないもの埋め込まれて変化するなんて・・・生き残ったのだけが幸いだ・・・」
練馬はそういうと近くになにかが来るのを感じた。




