形式上では、女子高校生5
「だめかぁ~、ごめんなぁ無理いって」
気づかぬ間に、私と彼女の間には拒絶の雰囲気が漂っていた。
意識は客観的で、まるでチェスのように分身だけが立っている。
何とかして穏便にことを終わらせたかった。だが、もう遅かった。
異様な空気が私の周りに密集し、肩にのしかかる。彼女と私には、それだけの温度差があるのだ。
目の前の人は、困惑する私の顔を見て暫く間をあけこう言った。
「こういう性格って無神経で苦手だよね……。あ、いいのいいの。慣れてるし……」
「そ、そうじゃなくてっ! 」
甘く魅惑的な果実。
干からびた唇は、潤いを求める。
と同時に、自分の声の大きさに現実へと戻された。
周囲を見渡したが誰も浮かれ状態でこっちを見ていなかった。
あたしは、自分の声の大きさに驚いた。
しかし、彼女も驚いていた。指四つ入るのではないかというほど、口を開けて。
「あ、ごめんなさい大きな声出して」
「あ……あぁ。じ、じゃあ、友達になってくれるん? 」
……
私は、再び沈黙とかしてしまった。しかし、黙っていては何も変わらない。
「ごめんなさい。でも、あなたのせいじゃないんです」
そういって、この場を逃げさろうとしたらガシッと腕を捕まれた。
「理由ありなんだね……」
私は、相手の目を見ながらゆっくり頷いた。
彼女は、それをみて深刻な顔をした。かと思えば、ちょっと考えるような仕草をしてこう言った。
「今日、入学式終わったら校門でまってるから。だからさ、ほら、チャンス頂戴よ」
そういって先に逃げさったのは彼女の方だった。
まだ名前も知らない人、それも危険視すべき相手になぜ自ら声をかけてしまったのか?
友達権利を棄権すれば、今後の危険は少なくともましになるかもしれない。
かといって、自分の感情を放棄できなかった。
どうか彼女は、ほうき星でありますように。