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いてよ、ずっとここに……  作者: 白音
第1章 十年後
7/8

形式上では、女子高校生5

 「だめかぁ~、ごめんなぁ無理いって」


 気づかぬ間に、私と彼女の間には拒絶の雰囲気が漂っていた。

 意識は客観的で、まるでチェスのように分身(からだ)だけが立っている。


 何とかして穏便にことを終わらせたかった。だが、もう遅かった。


 異様な空気が私の周りに密集し、肩にのしかかる。彼女と私には、それだけの温度差があるのだ。


 目の前の人は、困惑する私の顔を見て暫く間をあけこう言った。


 「こういう性格って無神経で苦手だよね……。あ、いいのいいの。慣れてるし……」


 「そ、そうじゃなくてっ! 」


 甘く魅惑的な果実。

 干からびた唇は、潤いを求める。


 と同時に、自分の声の大きさに現実へと戻された。


 周囲を見渡したが誰も浮かれ状態でこっちを見ていなかった。


 あたしは、自分の声の大きさに驚いた。


 しかし、彼女も驚いていた。指四つ入るのではないかというほど、口を開けて。


 「あ、ごめんなさい大きな声出して」


 「あ……あぁ。じ、じゃあ、友達になってくれるん? 」


 ……


 私は、再び沈黙とかしてしまった。しかし、黙っていては何も変わらない。



 「ごめんなさい。でも、あなたのせいじゃないんです」


 そういって、この場を逃げさろうとしたらガシッと腕を捕まれた。


 「理由わけありなんだね……」


 私は、相手の目を見ながらゆっくり頷いた。


 彼女は、それをみて深刻な顔をした。かと思えば、ちょっと考えるような仕草をしてこう言った。


 「今日、入学式終わったら校門でまってるから。だからさ、ほら、チャンス頂戴よ」


 そういって先に逃げさったのは彼女の方だった。

 

  まだ名前も知らない人、それも危険視すべき相手になぜ自ら声をかけてしまったのか?


 友達権利を棄権すれば、今後の危険は少なくともましになるかもしれない。

 かといって、自分の感情を放棄できなかった。


 どうか彼女は、ほうき星でありますように。


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