形式上では、女子高校生
ジリリリリリ!
……
ジリリリリリ!
「はぁ……」
うぅーん、もう少しだけ寝ていたい。
AM6:30。早起きな太陽はもう私を見下ろし照らしている。
「友花~起きた~?」
お母さん(佳代)だ。
「うん」
そう言って、私は姿見鏡に目線を移した。
朝、それは今日の自分を大きく左右する。楽しくするのもつまらなくするのも出会いも朝から始まるのである。
私を作る魔法の時間。
私にとって、朝の1秒はどの1秒よりも大切である。特に、今日は絶対にかかせない。
なぜなら、願ってもない入学式があるからである。
しかし、文句をいっても変わらない。何事も最初が肝心である。私は神経をびんびんに尖らせた。
スカートの丈を揃え、しわを伸ばし、爪をみがき、次は足元。ハイソックスを膝元まで伸ばし、今度はすねの確認。毛などが生えていたら笑い種になる。
(男子っていいよな~)
男子を見ているといつも私の行動が馬鹿らしく思える。何から何までもだ。ああ、羨ましい。
朝。それは昨日のやり残しや夢など、記憶も目覚める。何も知らない真っ白な私ではない。
そう、嫌でもやめたくてもこの事実は、私から消えない。
非常に厄介なやつである。
避けられないけど、避ける為に、避けられない為に、私は必死で隠しとおす。
そのために、身だしなみだけは一番時間をかける。誰だって避けるに決まっているから……だって……
この右肩後ろの醜く悍ましい傷あと――
見れば理由なんていらないでしょ。
私は、この傷あとが憎くて憎くて仕方がない。
記憶はないが佳代お母さんいわく、私は交通事故にあってこの傷が背中に居候しだしたようだ。
この人間の手のような傷痕とね。
お医者さんは、そのうち薄くなるだろうといっていたがだんだんくっきりしてきているように感じる。3年前からそう言ってきたが最終的には、
「先生も不思議だなぁ」
だなんて。今まで気休めの言葉でした、なんてやめてほしい。