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釣り餌 青イソメ&キジ

「う~ん…。あうぅ~…。おはようございます…。ここ暫く寒くて…動けませんでしたぁ…」


寝ぼけ眼を擦り、のそのそと動き出す彼女。


見た目はムカデやヤスデに似る、決して可愛いものではない。


足が多く、体は青みがかっている。


垂直な壁を登ることもできる。


動きは普段から早くは無い。


それでいて、ミミズと同じような体を持つ。


大きさは15センチほど。


彼女の名は青イソメ。


挿絵(By みてみん)


とは言っても、イソメではなくゴカイの仲間であり、本名はアオゴカイ。


青イソメはニックネームである。



青イソメは、せっかく起きたのでちょっと周りを歩いてみることにした。


そこで、仲間を見つけた。


「あ!キジちゃん!」


「あ、イソメちゃん」


青イソメが声を掛けた彼女は、貧毛類のキジ。


貧毛類とはいっても、実は堅い毛が生えている。


本名はシマミミズ。


挿絵(By みてみん)


「今日はあったかいですねー!」


「そうね」


キジもこの暖かさから目覚めた一人。


「そういえばですねー!この前、キジちゃんのお友達を見ましたよ!道路でのたうちまわってました!」


その言葉を聞いて、キジのメガネの奥の目が変わった。


「一緒にすんな!その辺にいる奴はフトミミズと言って1年しか生きないの!おまけに生ごみ分解も苦手なんだから!奴らと一緒にしないでくれ!」


「ごごご…ごめんなさい…!?」


突然のミミズの言動に慌てる青イソメ。


「どうせ雨で土中の酸素が無くなって出てきたんだろうけど、干からびるのが関の山だろうよ!」


「はわわわわ…キジちゃんが…おかしくなっちゃいました…」


どうしていいか分からない青イソメ。


その時、キジがハッとしたように元に戻った。


「…ごめん。私…雌雄同体だから…たまに人格変わっちゃうんだ…」


「そうでしたかー!全くー、びっくりして噛んじゃおうかと思いましたよ!」


「多毛類って、歯あるの?」


貧毛類代表のシマミミズには、歯などない。


「ありますよ!ジャリメちゃんとかには無いのですが、私にはあるのです!」


そう言って、青イソメはフードを深く被った。


「ああ、それ歯なのか」


「そうですよ!」


青イソメ最大の特徴である、気に食わないときにニュッと出てくる歯。


これで身を守るのだ。


「…普段何食べてるの?魚でも狩るの?」


「いえいえー!デトリタスですよ!」


「じゃあその歯いらないじゃん…」


「もぉ~!あんまりいじめると、噛んじゃいますよ!」


「自切して逃げるよ…?」


ミミズお得意の自切。


危ない時に自分で体をちょん切って逃げる。


どうせ治るので構わない。


「あ、そうだ。さっき気になったのですけど、水嫌いなんですか?」


「ああ、そうじゃなくて…。雨が降ると酸素が無くなっちゃうのよ。…水が多くても嫌なの」


「そうなんですか…複雑ですね」


「そうなのよ…」


なんとなく、会話が止まってしまった。


「キジちゃんって、なんでキジなんですか?私は、イソメっぽいからイソメなんです。でも、ゴカイとイソメって違う物なんですよ!」


「私は…これかな」


「わっ!わわっ!?」


キジはそう言うと、体から黄色い液体を出した。


「なんですかこれ?」


「これは私の体液で、ライセニンっていう溶血作用がある毒が含まれてるのよ。キジ…漢字で書くと黄地ね」


「そんなもの出さないでくださいぃ~…。毒ミミズじゃないですか…」


「毒ミミズはまた違うのよ。あれは土中の重金属やら有害物質やらを体内にため込めるからで…。有害物質を取り除くのに意外と仕事してるのよ私たち!」


そう言って自分の胸を叩くキジ。


「それに毒だけじゃなくて、ルンブロフェブリンていう胃を荒らさない解熱成分もあるんだから!」


「あ!それは凄いです!」


「漢方の土龍っていうのは私たちのことよ!」


「ミミズってすごいですね!お役立ちです!」


そう言うのと同時に、青イソメは自分の取り柄を考えてみた。


…あれ?


「あの…アオイソメだって、神経毒が出せるんですよ!ネライストキシンって言って、殺虫剤に使われてるんです!私にたかるハエだってイチコロです!」


必死に言う青イソメ。


「でもそれ、自分自身の首を閉めちゃうんでしょ?」


「はぁうぅ~…。そうなんですよ…」


アオイソメは、体が傷つくとそこから神経毒を出す。


しかし、その毒は自分にも効いてしまい、最終的には自分が弱る。


ここで、重要なことに気付いたのはキジであった。


「あれ…?イソメちゃんって…。本名は?」


「アオゴカイ…あっ!」


本人すら気づいていなかったことがある。


「じゃあ…」


「うん」


アオイソメは神経毒を出すが、アオゴカイは毒は出さない。


つまり青イソメは本当はアオゴカイなので毒は出せないのである。


「でも私、水槽の中で底に溜まった有機物をかき混ぜるのに投入されたりするんですよ!お仕事が無いわけじゃないんです!スカベンジャーです!」


「あー…うん。そうね」


同じ釣りの万能餌でも、それぞれ違いがある。


青イソメは、餌として以外でもしっかり役立つキジを尊敬の眼差しで見つめるのだった。

擬人化した時の特徴とかを書いてみます。


挿絵(By みてみん)

青イソメ


フードに付いてる黒いのは歯です。実物はあれで噛んできます。

触覚は実は青イソメからではなく、雰囲気作りのために他の種類のゴカイから持ってきました。

イメージカラーは青。そのために髪を青くしてます。

背中の赤い線は、なんとなく実物に入ってるイメージだったので書いてみました。実際だとそんなに目立ちません。

服に付いてるトゲトゲは足です。いっぱいあるので装飾にしました。




挿絵(By みてみん)

キジ


後半にキャラデザした、投げやり系尻尾女子。

雌雄同体だからボーイッシュに!というのが最初のイメージでした。

マフラーはミミズの頭の方向にある帯のイメージです。

光を感じる程度しか能力のない目なので、眼鏡に。

ズボンの色は「黄地」から黄色っぽくしてみました。


いやぁ~…擬人化って難しいですね。


最初めっちゃ嫌がってたげどーさん。

次もよろしくです。

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