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ミソサザイの歌  作者: 和泉ユタカ
第三章 〜 Songs of Wren
35/123

夢蛤(2)

     3


 ふわ~、と大アクビしながら朝食のテーブルについた勇人に美春が笑いながら牛乳の入ったコップを渡した。

「お兄ちゃんってば、また漫画読んで夜更かししてたんでしょー?」

「違う違う、なんか昨日変な夢みちゃってさ」

 友達から借りて一気読みした漫画のせいであんな夢を見たのだろうか。いい年して正義のヒーローのコスプレとか、たとえ夢でも恥ずかしすぎる。おまけに煉が出てくるとか最悪だな。夢で良かった。あれが現実だったら恥ずかしさのあまりフツウに死ねる。

「……怖い夢?」

「え、そうじゃないけど、なんか煉が出てきてちょっと違う意味で悪夢ってゆーか……」

「えーっっっ?!」

 美春が甲高い叫び声を上げた。

「お兄ちゃんだけレン君に会うなんてズルイッ! 許せないっ!」

「は? ズルイってお前、ただの夢だぞ?」

「ズルイッ! 夢でもいいから美春もレン君に会いたいっ」

 紅桜の一件で煉に初めて出会ってからはや三年近くなる。美春は小学三年生、勇人は中学二年になった。煉に最後に会って花見をしてから二年近く経つのに、美春の煉好きは相変わらずだ。キーキーと騒ぐ妹から勇人が這々の体で逃げ出した。


      ❀


「勇人」

 放課後、校門を出たところで不意に声を掛けられた。昨日のアレは、どうやら正夢だったらしい。振り返った勇人に煉が昨夜の夢に出て来たのと同じ顔で笑いかけた。驚きのあまり思わず、うげ、と変な声が出た。

「なんだ、ヒトの顔を見るなり、うげ、とは御挨拶だな」

 煉の肩に座った焰狐が顔をしかめる。


「実はさ、今日はちょっと勇人に頼み事があって」

 喫茶店のボックス席に座った煉が、クリームたっぷりのモカを啜りながらポケットから大きな貝を取り出して勇人に見せた。

「これ、夢蛤っていうんだけど、これを使うとヒトの夢をみることができるんだ」  ……なんだか嫌な予感がした。

「ちょっと事情があって昨晩これを使ったんだけどさ」

 うわー、ヤメテクレ、まさか俺の夢を見たとか……? 勇人の心の叫びを知ってか知らずか、煉がちらりと上目遣いに勇人を見て、ズズズ、とモカを啜った。

「……その時にちょっと気になる夢をみたんだ」


「う~ん」

 煉を捕まえて喰おうとした夢の話を聞いて、勇人が首を傾げた。

「でもそれって結局はただの夢だろ? 気にする事ないんじゃないか?」

「……ならいいんだけど、でもアレはちょっと違う気がするんだ。アレは俺の力に惹かれて、俺を狙ってきた。それだけならまだしも、あのドロドロはなんだか凄く不自然でイヤな気配がしたんだ。アレは、俺を喰おうとしたけれど、同時に俺に助けを求めていた」

 カチカチと親指の爪を噛みつつ、煉がじっと考え込む。

「アレは夢の中だけの存在ではなくて、現実に在るモノだと思う」

「現実に……?」

「そう。ただ問題は、夢蛤は誰でも一生のうち一回しか使えないってこと。だから俺はもうあの夢に潜り込むことは出来ないし、あの夢の主を現実の世界で探したくても探せない」

「……で、まさかと思うが俺にソイツの居場所を探せとか?」

「勇人は物分かりが早くて助かるよ」

「あのな~、お前が一度だけ夢で逢った奴なんか探せるわけないだろ?」

「うん、でも勇人自身がその子に夢で逢えば現実の居場所とかわかるでしょ? 確か夢見術でそーゆー術があったと思うけど」

「は? まぁそりゃあるにはあるけどさ、無理無理、今の俺にはアレはハードル高過ぎ。そもそも顔も名前も知らない奴の夢に出入りなんかできねーよ」

「それは大丈夫。夢蛤があるからね。俺はもう使えないけど勇人なら使えるし、それにあの夢の主は霊力のある人間に興味を持ってたみたいだから、上手くいけば絶対に向こうから勇人に近付いてくると思うんだよね」

「あのな~、俺は今霊力値が30くらいしかないの」

 首を傾げた煉に勇人が溜息混じりに説明した。

「つまりさ、普通のヒトの霊力が5以下だとするだろ。で、10あればかなり霊感の強い奴で、25以上ならちょっとした霊能力者。俺は以前は200は下らない退魔師だったけど、それがあの一件以来15くらいに落ち込んじまったんだよ。つまり霊感の強い一般人レベルね。今は地道な努力と修行で30くらいまで上がってるけどな、まぁ以前に比べれば雲泥の差だから夢見の術を使えるかどうかでさえ怪しいんだよ。おまけにもし上手くソイツの夢をみつけることが出来たとしても、万が一ソイツの夢に捕まったりしたら今の俺じゃ逃げらんねーよ」

「ふ~ん、そっかぁ、大変だね。がんばってね」

「……がんばってねって、お前、俺の話聞いてた?」

「うん、勇人の霊力値が30なんでしょ? でも夢見術とかは霊力よりも器用さや地道な修行が大切だからさ、努力家の勇人なら大丈夫だって」

「ちぇ、霊力値千超えの奴はお気楽だよな」

「千って、俺のこと?」

「他に誰がいるんだよ?」

「それって、つまり俺が以前の勇人五人分ってこと?」

「なんだよ、ヒトの傷口に塩を塗るんじゃねーよ」

「そうじゃなくって、俺ってそんなに弱いかな、って思って……」

「なっ?! おまっ、サイテーだなっ?! ちょーヤナ奴ッ」

 顔を真っ赤にして怒鳴る勇人を見て煉があはは、と声を上げて笑う。

「でも俺、陰陽術とかホント苦手でさ、だから勇人だけが頼りなんだよ。それに足りない霊力の分は紅桜が助けてくれるから大丈夫だと思うよ?」

「……なんだって?」

「紅桜の若木、勇人と美春ちゃんに大切にされて随分大きくなってきたよね。さっき挨拶がてら顔を見に行ったんだけど、勇人が必要とするなら助力は惜しまないってさ」

 勇人が不意に真顔になって煉を睨んだ。

「……煉、なんのつもりか知らねーけど、余計なことしてんじゃねぇよ。何があっても俺は絶対二度とあいつから奪ったりなんかしない」

「勘違いしないでよ。奪うんじゃない、もし勇人が危険な目にあったりしたら、紅桜が手助けしてくれる、っていうだけ。紅桜だって毎年葉につく毛虫の始末をしてくれる下僕がいなくなったら困るからね、お互いの利益を守るための相互援助だと思えばいいんじゃない? ほら、よく言うじゃん、えーっと、アレ、なんだっけ?」

「援助交際か?」と焰が答えると、煉が嬉しげに頷いた。

「ああ、そうそう、エンコー、エンコー」

「……お前、ソレ絶対使い方間違ってるぞ」

 話を聞くだに危なそうな匂いがぷんぷんしたが、煉には過去の一件での借りがある。しかしそれ以上に、自給自足をモットーにしているような煉が自分に頼み事をしてきたというのがなんだか少し嬉しくて、勇人は煉の依頼を承知してしまった。

 夢見の術を使うための準備に数日必要だと言うと、ならば三日後の夜に勇人の家の道場で会おうということになった。



      4


 三日後の真夜中。


 道場に現れた煉が、無紋白色の狩衣姿の勇人を見て感心した声をあげた。

「お~、本格的。やっぱそーゆー格好すると陰陽師って感じするね」

「ふん、どこにでもいるな、何事もまず形から入る奴」

 焰が馬鹿にしたように鼻を鳴らす。

「うっせ。俺は煉と違って霊力に限度があるからな、こんなモンでも多少の助けになんの。ナンデモ基本が大事なんだよ」

「ふ~ん」

 夢見術の仕度をする勇人を煉がじっと見つめる。

「……ナンダヨ。あんまジロジロ見んなよ。やりにくいだろ」

「あぁ、ごめん、なんか懐かしくってさ」

「なに? お前もたまには狩衣とか着たりすんの?」

「え? いや、俺じゃなくって、時々兄者が着てたから……」

 煉がふと何かを懐かしむように目を細めた。

「俺の一族は退魔専門で、神事とかそーゆーのは滅多にやらなかったんだけど、兄者ってすごいイケメンでさ、そのせいで時々結婚式や祭りの神事とか頼まれることがあって。本人はイヤがってたけど、じーさんが面白がって勝手に依頼を引き受けちゃうんだよね」

 煉が自分の事を話すのは初めてだった。この不思議な少年にも家族がいたのかと、そんな当たり前のことに少し驚いて、勇人が思わずまじまじと煉を見つめた。もう少し立ち入ったことを訊いてもいいだろうか。しかし勇人が口を開く前に、煉が素早く話を変えた。

「でも勇人にもよく似合ってるよ。この間の聖闘士ナンチャラのコスプレも悪くなかったけどさ」

「なっ、テメー、やっぱあの時の夢に出て来たのは……!」

 あははは、と声を上げて笑う煉を見て勇人が顔を真っ赤にする。

「ヒトの夢勝手に覗いてんじゃねーよっ、悪趣味な奴ッ」

「なんだ、なんの話だ?」

 横で聞いていた焰が首を傾げる。

「あのね、ちょっと昔に流行った正義の味方が出てくる漫画があってね……」

「言わんでイイッ」

 煉が説明しようとするのを勇人が必死に止めた。ケラケラと笑う煉の口を塞ごうと必死になりつつ、なぜか誤魔化されたような気がした。



「用意出来た?」

 頷いた勇人に煉が夢蛤を渡す。

「じゃあコレ、使い方は簡単だから。手に持って、貝の気に同調するだけだよ。眠りに落ちるのと同時に夢蛤の紡ぐ世界に入るから。そこから出るには目を覚ませばいい」

 少しどきどきしながら渡された夢蛤を見つめる。

「勇人、頼んでおいてこんなこと言うのもナンだけど、無理しなくていいから。夢に捕まっちゃうといくら起きようと思っても目が覚めなくなる。俺が勇人を起こしてやることも出来ない。ヤバそうだったらすぐに帰って来てね」

「わかってる。任せとけって」

 勇人が目を瞑ると手の中の貝に集中した。すっと身体が冷えて、周囲の音が遠のいた。


      ❀


 目を開けると海の底だった。薄紫色の巨大な蛤が次々と泡を吐く。泡が揺らめき弾ける度に目前に繰り広げられる無数の夢の世界。それはとても不思議な光景だった。

「よし、始めるか」

 勇人が目を瞑ると意識を集中させて夢蛤の世界を探り始めた。甘い夢、優しい夢、悲しい夢、怖い夢。勇人の中にヒトの様々な感情が少しづつ流れ込んでくる。

 不意にぞくりと寒気がした。針で突いた程の小さな黒い染みが心の内側に現れたかと思うと、水に落とした墨汁のようにあっという間に勇人のウチに広がった。不安を押し殺して勇人が静かに目を開けた。無数の夢の陰にひとつ、暗く濁った色の夢がみえる。

 じっと目を凝らすと暗色の夢の中心に座る少年の姿が視えた。ぬるりと生温かい風が頬を撫でた。

(アイツ、なにやってんだろう……?)

 少年の周りの空気が濁っていて、かがみ込んだその手元がよく視えない。もっとよく見ようと勇人が一歩近づいた。突如少年が振り向くと、勇人に向かってにやりと嗤った。その顔に点々と散った血飛沫に勇人が息を呑んだ。

 次の瞬間、蛇のようにうねる汚泥が襲いかかってきた。

「しまった……!」

 身動きする間もなくあっという間に汚泥に囲まれ逃げ道を失った。


 ひらり、と紅い桜の花弁が視界の端に舞った。

 ざぁ、と音を立てて無数の花弁が勇人の身体を覆うと、剃刀の様に鋭い花弁が泥を裂き、風を巻き起こす。


 びっしょりと冷や汗をかいて目を覚ますと、煉と焰が並んで心配そうに勇人の顔を覗き込んでいた。


      ❀


「どうだった?夢見の術使えた?」

 渡された冷たいコップの水を一気に飲み干し、勇人が首を横に振った。

「あの野郎、こっちに気付いた途端に襲いかかってきやがって、悠長に術を使ってるような余裕なかったよ」

「なんだ、役に立たん奴め」

 焰が金色の眼を細めて舌打ちする。

「ってゆーか、あの夢の主が誰か知りたいだけならわざわざ術を使う必要もなかったんだけどな」

「え? まさか知合いだったの?」

「う~ん、知合いってゆーか、クラスは違うけど同じ中学の奴。話とかした事ねーけど、ちょっと変わりモンでさ、まぁ悪い意味で有名なんだよ、ソイツ」

 鈍い頭痛を堪えつつ、勇人が目頭を揉んだ。

「……京極篤志(キョウゴクアツシ)

 悪夢の後味だろうか。この名前を口にした途端にざらりとした苦味が舌に広がる。

「俺は小学校が違うからよく知らねーんだけど……京極と同じ小学校から来た奴らの噂ではさ、公園であいつが罠をしかけたり、鳩とかカラスを捕まえてるのを見た奴がいるんだって。おまけにあいつの家の近所でよく飼い猫や飼い犬が行方不明になったりするらしくってさ。それで、あいつはちょっとヤバイんじゃないかって言ってる奴が中学でも結構いるんだよ」

「しかし馬鹿な糞餓鬼が面白半分に小動物を追い回したり虐め殺したりすることはそれ程珍しいことでもないだろう。猫や犬の話だって偶然ということもある」と言って焰がちらりと勇人を見た。「その話、まだ続きがあるんだろう?」

「……俺も他人から聞いただけだからアレなんだけどさ……なんか見せられちゃったんだって、小学校の時の同級生がさ、そいつの家に遊びに行った時に……」

 一瞬躊躇した勇人が低い声で続けた。

「……塩漬けにされた鳩やカラスの頭。怖くてよく見なかったらしいけど、猫とかもっと大きいのも……」

 この場に妹がいなくて良かった、と思った。妹の美春は大の動物好きだ。最近、どこかから拾ってきた二匹の仔猫をロミオとジュリエットと名付けて家の裏でこっそりと餌付けして可愛がっている。美春がこんな話を聞いたら卒倒しかねない。

「もういいよ」

 煉が立ち上がると障子を開けて外に出た。

「……それだけわかれば十分だよ」

「えっと、お前これからどうすんの?」

「明日にでも勇人の学校に行ってみる。名前もわかったし、近くにさえ行けばすぐ見つけられるだろうから」

「あ、あのさ、俺もなんか手伝えることないか? 一応同じ学校の奴だしさ」

「勇人」 煉が振り返ると微笑んだ。「ありがとう。でも勇人はこれ以上関わらない方がいい」

「あ、ちょ、ちょっと待てよ」

 立ち去ろうとする煉を勇人が慌てて呼び止める。

「あのさ、せっかく家まで来たんだし、今晩はもう遅いから泊まっていけよ。そしたら明日の朝、美春にも会えるしさ。アイツ、俺がお前の夢をみたって聞いてから拗ねちゃってさ、ここ数日機嫌ワリーんだよ」

「……勇人達に初めて出会ってからもうすぐ三年になるんだっけ?」

「え? あぁ、美春が小学校に入る直前だったから、そんなもんじゃないか?」

「じゃあ美春ちゃんは三年生か。もうすぐ四年生。きっと見違えるほど大きくなっただろうね」

 煉が愛想良くにっこりと笑った。

「折角だけど遠慮しとくよ。美春ちゃんには勇人からよろしく言っといて」

「え、なんで……?」

「会っていちいち色々と説明するのがメンドーだから」

 切り捨てるように言うと、煉が月明かりの中でうっすらと嗤った。

「俺って面倒臭がりなの」

 煉はそれだけ言うと、あっという間に塀をのり越え闇に消えてしまった。後に残された勇人が舌打ちした。

「ちぇっ、なにが『俺って面倒臭がりなの』だよ」

 勇人は知っている。煉は超がつく程マメだ。おまけにちょっとあり得ない程手先が器用だ。昨年の誕生日、美春にはフェルトと毛糸で作ったヌイグルミ、そして勇人には有難迷惑なほど本格的な日本人形を作ってくれた。

 今年は花見には来なかったのに、それでも煉は美春に桜色の貝殻を使った銀細工のペンダント、そして勇人には緑色の石の編み込まれたリストバンドを送ってきた。美春のペンダントに施されたアメリカ原住民顔負けの銀細工もすごかったが、勇人に贈られた艶やかな絹の組紐には傷と体力の回復を早める力があった。落ちた霊力を取り戻そうと日々必死で修行に励み、生傷の絶えない勇人にはそれは非常にありがたかった。

 修行を始めたとかそんな話は煉にはしていなかったのに (そもそもあいつは年中音信不通の行方知らずで勇人は連絡先すら知らない)、あいつは何処かから勇人のことを聞き込んできて、わざわざ勇人の為にヒーリング効果のある石を探してあの組紐を作ったのだろう。そんな奴のどこが一体面倒臭がりだと言うのだ。

「ったく、ホント変わってるよな、あいつ……」

「どうにも仕方無いのさ」

  不意に勇人の足元でハスキーな声がした。驚いて下を見ると、焰が月明かりに目を細めるようにして勇人を見上げていた。

「煉はヒトに非ざる程の力を持って生まれ、望みもせぬのに不老不死となった。大人ならまだしも、子供の姿では歳をとらぬのを誤魔化すのは難かしい。だから煉は同じニンゲンに幾度も会うのを好まんのさ」

 ふんと鼻を鳴らし、狐が夜空に浮かぶ月を見つめる。

「アイツは飽き飽きしているのさ。好奇の目に晒されるのも、これみよがしな憐憫や同情にも」

 焰が欠伸と共に立ち上がった。

「だがお前は別だ。お前は煉がヒトですらないかもしれんと知っているからな、煉もお前を無闇に避ける必要がなくて気楽なんだろう」

「ヒトですらないだなんて、そんなこと……」

「お前が言ったんだぞ。忘れたのか?」

 狐の細めた眼がぬらりと月明かりにひかり、勇人は思わず目を逸らした。

 そうなのだ。俺は以前あいつと闘った時、目の前でみるみるうちに塞がってゆくあいつの頬の傷を見て、お前はヒトですらない、と言ったのだ。本当はあれ以来その事が気にかかっていて、でも煉になんて言えばいいのか分からなくて……。

 無言で唇を噛む勇人を見て焰がふんと鼻を鳴らすと庭の塀に飛び乗り、ちらりと勇人を振り返った。

「気にすることは無いさ。アイツがヒトかそうでないかなど、本人にすら分からんのだからな」


 焰が消えた後も、勇人はしばらくぼんやりと夜の闇をみつめていた。



(To Be Continued)

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