超短編『コスモス』
花が咲いている。
一輪の、花。
どこから現れたのか、わからない。
いつ咲いたのか、わからない。
けれど、少なくとも今この時は咲いている。
美しく。そして見る者を魅了しながら。
私達は、その花のほんの一部。
いや、一部などと言えないほどに微量な。
外から見れば、存在するのかどうかもわからないような、その程度の存在。
花は咲き続けている。
いつ枯れるのかもわからないが、ただただ咲き誇っている。
どこまでも美しく。凛々しく。
その凛々しい姿で、この花はどんな思いを抱いているのだろうか。
希望か絶望か……それとも、もっと別の何かなのか。
私達には知る術もない。
知る必要もない。
……私達はその花のことを、こう呼んでいる。
ーー宇宙、と






