第十五話 楽しい旅
山もなければ谷もなく、波乱万丈なストーリーではありません。
ハラハラドキドキをお求めの方にはおすすめできません。
別荘に行く日になった。
約束の九時に迎えにきた理一郎は桜子の荷物に目を丸くする。
「え、これが君の荷物?」
「はい」
桜子の腰の高さまである大きなキャリングケースを見下ろす。
瀧沢家で一番大きなものを納戸から引っ張り出してきたのだ。
「別荘に行くんだけど?」
「ええ、ですから一週間分です」
「向こうに大抵のものは揃ってるって言っただろ?」
「わかってます。女は荷物が増えるんです!」
頬を膨らませて上目遣いに睨みつけると理一郎は気圧されたようにのけぞった。
もしかして女性と旅行をしたことがないのだろうか。
付き合っていた女性がいたことは本人の口から聞いている。女性経験だって豊富なのだろうと思う。
それでも、一緒に旅行に行くほどの仲ではなかったと思ってもいいのだろうか。
そうであれば損ねた機嫌も少しは良くなる。
「まあいいか。別荘だから持ち歩く必要はないし」
理一郎はヒョイと片腕で下げた。
階段を降りていくと、すでに仕事を始めていた陽介が裏口から出てきた。
「理一郎くん、桜子が世話になるね」
「いえ、それじゃ行ってきます」
「瀬川会長にもよろしくお伝えしてくれ」
「はい」
陽介は頷いたが桜子に向けては心配そうな顔をして言った。
「桜子、会長にご迷惑をかけないようにな。もちろん、理一郎くんにもだぞ」
「わかってます」
「それと……いや、なんでもない」
「? ……行ってきます」
店の表側にまわるとすでに店は開いていた。
パート店員の中村が目ざとく見つけて店から出てくる。
「あら、理一郎くんが来たと思っていたら……旅行?」
理一郎が持っている大きなキャリングケースを見て意味ありげに二人を見やる。
桜子が一週間の夏休みを取ることは事前に知らされていたのだが、その理由はこれかと気づいたようだ。
「ええ、私が夏休みなので桜子さんにも特別に休みをもらいました」
「あらぁ、いいじゃないの! うふふっ、楽しんできてね」
「え、あ、はい……行ってきます」
なんだか自分を見る目が怪しい。
しかも理一郎に向けて頑張ってねなどと言っている。
何を頑張れと!
店の中からも店員たちが生温かい目でこちらを見ているような気がする。
気恥ずかしく思いながら理一郎の後を追った。
駐車場に停めてあった車に向かうと、理一郎の車だった。
これでは光一郎夫妻や麻里子たち全員が乗れないではないか。
「おじいさまたちは?」
「ああ、出がけに会社から連絡があって、いま親父と対応してる。その間に先に迎えに来ておこうと思ったんだよ。麻里子たちは行きがけに拾っていったほうが早いから」
トランクにキャリングケースを入れた理一郎は助手席のドアを開けて桜子を乗せる。
駐車場を出るときに何故か中村と数人の店員達が出てきた。
「いってらっしゃい」
手を振って見送られ、理一郎の車は瀬川邸に向かった。
「ああ、悪かったな、理一」
瀬川邸に着くと、用事は終ったのか玄関に光一郎たちが出てきた。
「桜子ちゃんも来たな」
「はい、おはようございます。おじいさま、おばあさま。一週間お世話になります」
「うんうん、それじゃ早速出るか。麻里子たちを迎えに行かなきゃならん」
「ええ、そうですね」
そこへ恭一郎と志保も奥から出てきた。
恭一郎はこれから仕事に行くところらしく、スーツを身につけている。
「おはようございます。お義父さま」
「ああ、おはよう。別荘は静かなところだからゆっくりしてきなさい」
「はい」
「ああもう残念ねえ。恭一郎さんが仕事じゃなかったら一緒に行くのに」
「行かなくてもいいよ……」
これ以上同行者が増えてたまるかと理一郎は早口で言った。
「大丈夫よ。あなたたちの部屋は一緒にしてあげるから」
「ばっ……そういうことじゃなくて!」
桜子は理一郎と目が合って思わず顔を俯かせた。
「おい、理一、何やっとるか。早く行くぞ」
「ああ、はいはい」
理一郎は桜子のキャリングケースをミニバンに積み替えた。自分の分と光一郎たちの荷物は既に積んでおいたようだ。
恭一郎と志保に見送られ、瀬川邸を出ると瀧沢家とは反対の方向へ向かって走り出した。
五分ほど住宅街の中を行くと建売だったような一軒家に着く。
門札には「SEGAWA」と刻まれていた。
「ここがマリちゃんたちの家ですか?」
瀬川本家に比べるとごく普通の家だ。
庭はそれなりに広いが、周囲の家と大差ない。
理一郎はインターホンを押した。
『はい』
「千里さん? 迎えに来たよ」
『ああ、はい。すぐに行くわね』
家のほうで声がしたかと思うと麻里子が両手にボストンバッグを提げて出てきた。
「理一兄さん、おはよう」
「おはよう」
麻里子から荷物を受け取ると車の後ろにまわって荷物を乗せる。
「さくらちゃん、おはよう」
「おはよう、マリちゃん」
桜子も車から降りて挨拶する。
「和佐くんは?」
「いまトイレに行ってる。車に乗る前に行っておけってお父さんが」
「麻里子、帽子と日傘!」
玄関から綺麗な女性の声がして車に近づいてきた。
スーツ姿にサンダルを履いて、手には帽子と日傘を持っている。
「あら」
家から出てきた女性は麻里子によく似ていた。
桜子を見つけて微笑む。
「おはようございます!」
桜子は慌てて頭を下げた。この人が麻里子と和佐の母である千里だろう。
すごく綺麗な人だ。
麻里子に似ているのではなくて、麻里子が彼女に似ているのだ。
四十歳前後と思われるのに、清楚な印象を与える外見だ。ショートカットの髪がサラリと揺れる。
「おはようございます。桜子さんね。やっと会えたわ。麻里子たちをお願いしますね」
「はい」
「お義父さん、お義母さん、おはようございます」
千里は続いて車の中にいる光一郎たちに声をかけた。
「ああ、おはよう」
「お世話をおかけします」
「何を言っとる。おまえたちもしばらくは新婚気分に戻るといい」
「いやだわ、お義父さんたらっ。もうそんな歳じゃないですよ」
さすがに長い付き合いだ。桜子なら返事に戸惑う話でも笑って返す。
「麻里子は乗っておけ。和佐はどうしたんだ?」
荷物を乗せ終えた理一郎は運転席まで戻ってくる。
それと同時に家の玄関が開いた。
飛び出してきた小さな男の子を後ろからついてきた男性がヒョイと抱えあげる。
「悪い悪い。和佐の帽子がどこに行ったのか探してたんだ」
男性の声は恭一郎によく似ていた。理一郎にも似ているが、どちらかといえば恭一郎の声に近い。
顔立ちもやはり似通っていた。
彼が叔父の和志だ。
仕事に出る前なのか、上着はまだ着ていないがシャツにネクタイを締めている。
手に持っていた帽子を片腕に抱いた和佐の頭にかぶせた。
「おはよう、叔父さん」
「おはよう」
「りーちにぃ、おはよー。さくらちゃんもおはよー!」
「和佐くん、おはよう」
和志の視線がこちらに向いてドキリとする。
かなりの美男だ。
千里と同じくらいの年齢とは思うが、年相応の格好良さがある。
なるほどこうしてみると和佐は父親似だ。
理一郎が和佐を抱き上げていても親子と間違えられるらしいが、やはり和志のほうが父親らしく見える。
瀬川家の男性は皆美形なのか。そうなると恭一郎の他の兄弟たちも見てみたくなる。
年頃の女性らしく、桜子はそんなことを思った。
「桜子ちゃんだね。初めまして、麻里子たちの父です」
「はじめまして!」
少し緊張しながら頭を下げた。
「理一にまかせておけば大丈夫だとは思うけど、麻里子は注意してみてやってくれ」
「はい……?」
「ちょっとね、体が丈夫じゃないんだ」
「え、そうなんですか?」
見た感じではそうは思えない。色白だとは思うが。
「病気持ちとかじゃないのよ。普通にしてれば大丈夫だから。熱中症とかにならないように気をつけてくれればいいの」
「ああ、わかりました」
だから帽子や日傘を持たせるわけだ。暑さに弱いのかもしれない。
そういえば先日買い物に行ったときも街中を歩いているときは少しつらそうだった。それに気づいたので早々にカフェに入って冷たいものを飲んだのだ。
「じぃじ、ばぁばー、おはよー」
父親にジュニアシートに座らされた和佐は体を捻って後部座席の祖父母に挨拶する。
幼い孫に対しては、瀬川家の祖父母は相好を崩す。
「はい、おはよう。和佐はいつも元気ねえ」
全員が車に乗り込むと理一郎はエンジンをかけなおす。これもハイブリッド車なのでエンジン音が静かだ。
開けた窓から顔を出した和佐は和志に頭を抑えられた。
「こら、窓から顔を出すなと言ってるだろう」
「おとうさん、おかあさん、ばいばーい!」
「バイバイじゃないでしょ。いってきますでしょ」
「いってきまーす!」
「いってらっしゃい」
姉に訂正された弟は外にいる両親に手を振った。
車は静かに走り出した。
「はぁ、ようやく出れた」
「大騒ぎですね」
「和佐たちが一緒だといつもこれだ」
「仕方ないですよ。……それにしてもマリちゃんのお母さんて綺麗ねぇ……マリちゃんはお母さん似なのね」
桜子は後ろを振り返って麻里子を見た。
「え、そうかな?」
首を傾げた麻里子だったが、その後ろから光一郎が自慢げに言った。
「そうだろう? 千里も小さな頃から可愛い娘だったが、麻里子は千里の小さい頃によく似とる!」
その言葉はまるで千里の小さな頃を知っているかのような口ぶりだ。
桜子が首を傾げると理一郎がその疑問に気づいたのか説明する。
「千里さんは和志叔父さんの幼なじみなんだ。小学校からの同級生なんだよ。うちにもよく遊びに来てたらしい」
「そうだったんですか」
「ついでに言うと、じいちゃんは麻里子が一番可愛くて仕方ないんだ。唯一の女の孫だから」
それはこっそりと言われて後ろの席までは声が届かなかったようだが、桜子は肩をすくめて苦笑した。
他の孫が可愛くないわけではないのはわかる。
自分も祖父にとっては一番最初の女の孫だったのでやたらと可愛がられた記憶があるからだった。
高速に乗る前に道の駅によってトイレ休憩にする。
理一郎と桜子の二人だけならもっと早く進めるのだが、和佐や光一郎たちがいるとのんびりとした行程になってしまう。
ブラックコーヒーの缶を開けて飲んでいる理一郎を見上げた。
「理一郎さん、途中で交代しましょうか?」
「いや、大丈夫だよ」
「でも疲れてしまうでしょう? 高速はちょっと怖いけど、一般道なら大丈夫だと思うんです」
桜子は仕事で車の運転には慣れている。ミニバンを運転したことはないけれど、配達用のトラックと大きさは似ているので運転できると思う。オートマ車なだけに楽ではないだろうか。
「……そうだな。それじゃ高速を降りたら代わってもらおうか」
「はい」
「すまんなあ、桜子ちゃん。ワシが免許を返上しなければよかったんだが」
「いいんですよ。私ができることはやりますから」
光一郎は見た目は若々しいが、年齢が年齢だけにせっかく運転手を雇っているのだから、もう自分で運転するのはやめたほうがいいと周りから言われたのだ。
高速道路でも一度だけサービスエリアに寄って名物のアイスクリームを食べた。
一般道に下りたら別荘地までは桜子が運転することになった。
目的地の近くに大型スーパーがあるので、そこまではナビと理一郎の指示に従う。
ほどなくスーパーに着くと食材を買い込むことになった。
自然な動作で理一郎はカートの上下にカゴを乗せる。
「米はいりますか?」
「ああ。日持ちする調味料はあるけど他の食材は買っていかないと」
このスーパーから別荘までは車ですぐのところらしい。
日々の食事の分は毎日買いに来てもいいかと判断して、とりあえず今晩の夕食のおかずと明日の朝食と昼食分を買うことにする。
米は五キロの袋をカゴに入れた。
「晩御飯は何にしますか?」
「一日目の晩御飯はバーベキューと決まってるんだ。コンロと炭は用意してもらってるから肉と野菜を買わないと」
「明日の朝食は?」
「俺はなんでもいいけど、じいちゃんたちは和食だろ。焼き魚とみそ汁は欲しいよな」
「おれねー、パンケーキがいいっ」
理一郎がカートを押しているので和佐は麻里子と手を繋いでいた。
カート脇からひょっこりと顔を出す。
「そうね、和佐くんとマリちゃんはパンケーキでいいかしらね」
「うんっ」
まずホットケーキミックスを取りにいき、玉子に牛乳やバター、メイプルシロップもカゴに入れる。
なんやかやと買っていたらあっという間にカゴいっぱいになってしまった。
レジを終えると無料で提供されている空のダンボール箱をいくつかもらってきて箱に詰める。
さすがに理一郎一人では持ちきれず、残りは桜子と麻里子が手分けして持った。
別荘とはいっても見た目は普通の住宅のようだった。
ログハウスと聞いていたので、林の中に建っているのを想像していたのだが、白い塀と門で周りを囲んでいる。
その塀もかなりの高さがあり、外からでは中の建物の様子も窺うことができない。
プライベートは完全に守られているようだ。
瀬川家と同じく鉄の門はリモコン操作で開けられた。
ガレージに車を停めると荷物を下ろす。
管理会社で受け取った鍵を使って中に入ると、使い慣れている光一郎や麻里子たちが窓を開けに行ったりする。
玄関も広い。
「素敵」
中も木の匂いがする。
「管理会社に連絡しておいたから、中もハウスクリーニングされているし、どこも問題なく使えるようになってるよ」
トイレと洗面所と風呂場はここだと案内されながら奥に向かう。
「わあ!」
一番奥の部屋はリビング兼ダイニングルームになっていて、十人掛けの大きなダイニングテーブルがある。
別荘らしく窓際にはカウチが置かれていて、その窓の向こうは奥行きのあるテラスデッキとなっていた。
そしてその向こうには小さいながらもプールがある。
「ここからそのままプールに行けるようになってるんだ」
「りーちにぃ! プール!」
和佐が入りたいというのだが、理一郎は首を振った。
「今日は我慢しろ。ちゃんと麻里子を手伝って荷物を片づけて、そのあとで晩御飯の支度をするぞ」
「ばーべきゅー?」
「そう、バーベキューだ」
「やったぁ!」
和佐はそのまま階段をのぼっていった。
光一郎夫妻はどこに行ったのだろうかと周りを見回すと理一郎が説明した。
「じいちゃんたちは向こうの離れだよ。離れといっても廊下は繋がってるけど、やっぱり和室がいいって畳敷きの部屋を作ったんだ。それより桜子はこっちが気になるだろ?」
理一郎はキッチンを指差す。
「カウンターキッチンなんですね」
「コンロもIHなんだ。使えそう?」
「大丈夫だと思いますけど……キッチンが広いのっていいですよね」
冷蔵庫も大きいし。
扉を開けてみると当然のことながら何も入っていなかった。
理一郎と二人がかりで買ってきた食材で冷蔵や冷凍保存が必要なものを入れていく。
「どうかね、桜子ちゃん。ここのキッチンはいいだろう?」
自分たちの荷物を片づけ終えた光一郎たちがキッチンにやってきた。
「はい、すごくいいですよね。カウンターキッチンて憧れだったんです。うちは台所も狭いから……なんだかお料理するのが楽しくなりそう」
「そうかそうか。桜子ちゃんはこういうのがいいか! よしよし、わかったぞ」
「?」
「ここはね、何年か前に改装したのよ。私もここのキッチンを気に入ってるの」
瑠璃子も広いから使いやすいのだと言った。
「片づけが終ったら自分たちの荷物を置いてらっしゃい。その間にお茶を入れておきますからね」
「あ、はい」
「桜子、こっち」
いつの間にか理一郎は自分と桜子の荷物を取りに行ってきたらしく、階段に足をかけていた。
そのままついて二階まで上がるといくつかの扉の中でも一番奥の扉を開けた。
ごくシンプルな部屋だ。
ホテルのツインルームのようにベッドが二台ある。その間にはサイドテーブルが置かれている。
理一郎は壁際にある木製の扉を横にスライドした。
「クローゼットがあるからここに荷物置いて。ハンガーもあるから好きにつかってくれ」
ドキドキしながら足を踏み入れた。
一気に緊張の度合いが高まる。
理一郎は当然のように自分と桜子を同室にした。
そうなるだろうとは思っていたけれど、やっぱりここまでくると緊張とか不安とか期待とか、いろんな感情がごちゃまぜになったような状態になる。
二人分の荷物をクローゼットに入れるとドアがノックされた。
「はい?」
「さくらちゃーん、おれたちの部屋にきて!」
ひょっこりと顔を出したのは和佐だ。
「行ってみるといい。子どもたちなら喜びそうな部屋だから」
理一郎は先に下へ行っているというので、一人で和佐のあとをついていった。
桜子たちの寝室がある二階からさらに上へと上がる階段があった。
階段を昇りきると天井が平らではなかった。
屋根裏部屋なのか。
「素敵ねえ」
左右の壁にベッドがくっつけられている。その間に窓があった。下を覗き込むとちょうどテラスデッキを見下ろすことができる。
ベッドから後ろを振り返るとちょうど階段をはさんだ反対側に子どもが遊べるようなスペースが作られていた。
丸いラグの上に大きなビーズクッションがあり、壁には背の低い本棚がある。そこにはたくさんの本が納められていた。
その床に座り込んで麻里子がせっせと自分達の服をクローゼットに片づけている。
「マリちゃんはそろそろこのお部屋は卒業かしら?」
「……そうかも。ちっちゃいときはこの部屋にくるとなんだかワクワクしていたけど、最近はそうでもないかなぁ」
和佐は麻里子のすぐそばでクッションを抱えて寝転がっている。
「和佐がまだ小さいから当分付き合わなきゃいけないけど」
ようやく一人で階段の上り下りができるようになった和佐を一人で屋根裏部屋に寝させるわけにはいかないのだという。
「夜中にトイレに行けないもんね」
「い……行けるもん!」
「ホント? だったらお姉ちゃんを起こさないでよ」
「……やだ」
階段の上り下りはできるようになったけれど、真っ暗な夜中にトイレに行くのは怖い。
ぎゅうっと自分にしがみついてきた和佐を麻里子は見下ろしてクスリと笑う。
一人でトイレに行かせるつもりなんて毛頭ないのだ。ただちょっとからかってみただけ。
お姉ちゃん子だなあと桜子はこの姉弟を微笑ましく思う。
下から瑠璃子の声が聞こえた。
「下に降りてお茶を飲みましょう。和佐くんにはオレンジジュースかな?」
先ほどスーパーで買ったオレンジジュースのペットボトルを思い出した。




