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第八話 いまさらながらの告白

山もなければ谷もなく、波乱万丈なストーリーではありません。

ハラハラドキドキをお求めの方にはおすすめできません。

 

 

 

「マリちゃん、このワンピはどうかしら?」

 ショッピングモール内の中高生向きのショップで桜子は麻里子に服を見立てていた。

 お値段も手ごろで成長期にある麻里子でも身に着けやすいデザインだ。

「可愛い、これ」

「マリちゃんは美人さんだから何着ても似合うもの、選びがいがあるわ」

 桜子の言葉には厭味がない。素直に褒めてくれるものだから麻里子は照れくさそうな顔をした。

「さくらちゃんはああいう服が似合いそう」

 いつの間にかお互いに愛称で呼び合っていて、周りから見たら年の離れた姉妹のようだろう。

 麻里子の服を買い終えて若い女性向きの服を見るために次の店へと入る。

「そうなのよ、ああいうのが似合っちゃうのよね」

 麻里子が指差した服を見てため息をつく。

 桜子は小柄だが胸が大きめだ。あまり気にしたことはないのだが、体にフィットした服を着るのは気恥ずかしい。

 だからいつもふんわりとした体を締め付けないデザインの服を着てしまう。

 それがまた桜子の外見に似合っているのだから仕方がない。

 そこへ甲高い声がかかった。

「おねえちゃんっ!」

 ドシン、と麻里子に何かがぶつかった。

 否、ぶつかったのではなく、和佐が抱きついてきたのだ。

 どうやらヒーロー戦隊ショーは終ったらしい。

 電話すると言っていたが、探しに来てくれたようだ。

「どこいってたのー?」

「和佐、レッドには会えたの?」

「うんっ、あくしゅしてもらった!」

 ご機嫌な和佐は姉から離れると、今度は桜子にも抱きついてきた。

「さくらちゃんも! ダメなんだよ、りーちにぃからはなれたら、まいごになっちゃうんだよ?」

「ごめんね、和佐くん」

 いつもそう言われているのだろう。

 軽く背中を抱き返しながらここまでしてもらえるほどに懐かれたことが嬉しかった。

(わーん、可愛すぎるぅ!)

 頬の筋肉が絶対に緩みまくっている。

 ギュッとしてもいいだろうか。

「でもね、大丈夫よ。私には携帯電話があるから理一郎さんに迎えに来てもらえるの。ねえ、理一郎さん?」

「ああ、そうだよ。だから、和佐は心配しなくていい」

 理一郎は和佐の頭を撫でながら桜子から引き離した。

「クソ、子どもの特権使いやがって」

 ボソリと耳の上で低い声が聞こえたので聞き間違いかと思わず理一郎を見上げると、イタズラっぽく微笑まれてドキリとした。

 

 もうそろそろ帰ろうと言われたのは午後四時ごろだった。

「えー、やだー! まだあそぶー!」

「ダメだ。そろそろお父さんたちが帰ってくるころだぞ。帰りにお前の誕生日ケーキを買って帰らなきゃならないし、うちで誕生日パーティーするんだろ? お父さんたちが誕生日プレゼントを用意してるって言ってたぞ」

「ほんとう!?」

 理一郎が和佐を抱き上げるとパッと顔を輝かせた。

「かえる! はやくはやくりーちにぃ!」

「わかったわかった」

 苦笑いを浮かべながら駐車場に向かう。

 一人で走っていく和佐を麻里子が慌てて追いかけて行く。

 その後ろを笑いながらついていくと、理一郎が言った。

「ごめん。今日はそんなわけでもう帰らなきゃならないけど……」

「いいですよ。パーティーとかプレゼントとか楽しみなんでしょうから。早く帰らないと」

「……桜子さんはそれでいいの?」

「え?」

「本来なら今日はもっとゆっくり桜子さんといられるはずだったんだけどな」

 理一郎はため息をつく。

 そんなのは桜子だって同じだ。

 でも、和佐のことを思うと我儘は言えない。

「しかたないじゃないですか。私だって……もっと……」

「え」

「もういいですっ」

 拗ねた顔で上目遣いで見上げ、ぷいと顔を背ける。

「和佐くんっ、そのまま走って駐車場に行っちゃだめよ。車に気をつけて!」

 小走りで和佐を追いかける桜子の背中を見つめ、口元を覆った理一郎は照れくさそうな顔をしてついていった。

 

「二人とも寝ちゃいましたね」

 エンジン音も静かでほとんど振動のないハイブリッド車は瀧沢家へ向かっていた。

 後ろを振り返ると、麻里子も和佐も頭ががっくりと下がっている。

 シートベルトをしているおかげで体が倒れないだけだ。

「なんだかんだいってけっこう歩き回ったからな」

 ショッピングモール内はかなり広い。

 麻里子はともかく、和佐が歩けばかなりの距離をいくことになる。

 行くときには少々ふて腐れていたが、現地ではかなりはしゃいでいたので疲れてしまったか。

 帰りに姉弟の母がいつも誕生日ケーキを注文しているという店に寄ったところまでは起きていたのだが。

 マートタキザワの前に着くと、いつものように理一郎が助手席側へ回ってドアを開けた。

「ありがとうございます」

 雨はすでに小降りになっていてどんよりとしていた空もずいぶんと明るくなってきた。

 明日には晴れるだろう。

「今日はありがとう」

 今日一日自分の子守りに付き合わせた礼なのだろうが、気にしないでくれというように首を振った。

「いいんです。私、小さな子って大好きなんですよ。和佐くんぐらいの子が一生懸命我慢してるのは見てられなくて……。それに、理一郎さんにとってマリちゃんも和佐くんも本当の兄弟みたいなものなんでしょう? 理一郎さんが大事に思ってるのはよくわかりますから」

 二人が生まれたときから面倒をみているのだと言っていた。

 和佐などは息子に間違えられるほどだと苦笑していたが、理一郎のような若い男性がいくら従姉弟とはいえ、親のように世話をするなんてめったに聞いたことがない。

 それだけ家族や身内を大切にしているのだ。

 そういうところをとても好ましいと感じていたので、自分もそうあれたらと思っただけだ。

「……昔、付き合っていた人と喧嘩したことがあるんだ。和佐がインフルエンザにかかって熱を出してしまって、麻里子を急遽うちで預かることになったんだけど、会う約束をしていたのをキャンセルして麻里子を街に連れ出したら、たまたまその人と出会ってしまって……」

 理一郎は苦い顔をしたまま話を続けた。

「麻里子がその人に睨まれたらしいんだ。それだけのことだったんだけど、人見知りが激しいのに知らない人に睨まれたせいですっかり怖がってしまってね」

 麻里子が話してくれた通りのことだ。

 桜子は黙って聞き続けた。

「あとでその彼女になんでそんなことをしたのか聞いたら、自分よりも従妹を優先するなんて許せない。麻里子が悪いって言うんだ」

「そんなっ……」

 理一郎にしてみれば和佐につきっきりになってしまった両親の代わりをしたつもりなのだ。

 ほんの少しの間のことだろうに、妹同然に可愛がっている少女よりも自分を優先しろという女性は一体何様なのか。

 気持ちはわからなくもない。しかし、子どもに八つ当たりすることはないではないか。

「そういう彼女に対して一瞬腹をたてたんだけど……そのときにふと思ったんだ。もしかしたら、俺は麻里子や和佐、うちの家族よりも彼女を優先できないのかもしれない。俺にとって、彼女は家族よりも大事じゃないんだって思ってしまった」

「あ……」

 人によって感じ方は違うだろうと思うのでそうだとは言い切れないが、理一郎にとっては彼女は最優先できない人だったということだろう。

 理一郎は大きく息を吐いた。

「そう考えてしまったらもう付き合ってられなくて、すぐに別れたよ。そのころから女の人と付き合うことを慎重に考えるようになって、他にも理由はあるけど、結局、誰とも付き合わなかった。そうしていたら、じいさんから君との縁談を持ってこられたんだ」

 そう言っていたずらっぽく笑った。

「君は怒るかもしれないけど、今日、俺は君を試したんだ。麻里子と和佐を急に預かることになったのは本当だけど、君ならこの状況になったらどうするだろうって。だから電話をいれずにいきなりここまで連れてきた」

 ジッと桜子を見つめた。

「そうしたら、君は俺が思ってもみないことを言うんだからな。驚いたよ。良くても、一緒に出かけるのはまた今度にしようって言われるだろうと思ってたんだ。それなのに、一緒に行くって言うし、和佐と麻里子がめちゃくちゃ懐くし……本当に驚いた」

 理一郎は微笑んで身をかがめて桜子の耳もとに内緒話をするように口を寄せた。

「俺の理想の結婚相手はね、俺のことを想ってくれるのはもちろんだけど、俺の家族や身内も俺と同じように大事にしてくれる人なんだ。今日は嬉しかったよ。……ますます好きになった」

「え」

 ちゅ、と頬に柔らかな感触があったあと、理一郎は身を起こした。

「それじゃ、また連絡するから」

「あ、はい」

 手を振って理一郎の車が遠ざかっていくのをぼうっとしたまま見送る。

 車が見えなくなってから家に入ろうと歩き出したところで、ふらふらとふらついて店のシャッターに背中を預ける。

 ガシャン、という音に我に返った。

「えええっ!? ちょ……」

 あの音と感触は、頬にキスされたということだ。音のほうはわざと立てられたのだろうが。

(だって、ほっぺにキスでしょ!? それだけよ!?)

 唇へのキスだって、もっと深いものだって経験がある。

 なのに、頬にキスされただけで自分のこの反応はなんなのだ。

 熱くなった頬を両手で必死に押さえる。

 心臓が痛いほどに大きく脈打っている。

「どうしよう……」

 きゅっと目を閉じた。

 ちっとも嫌じゃなかった。

 それどころか、もしもあの唇が自分の唇に触れてきたら……

「きゃ――――っ!!」

 想像してしまったことを打ち消すように両手で顔を覆って頭を振る。

「私、死んじゃう……」

 理一郎にキスなんてされたら心臓が止まってしまう。

「それに、理一郎さん、す、す……」

 

 好きって言われた!

 

 もしかして、と思いつつ、心のどこかで否定していたこと。

 もしかしたら、彼は自分のことが好きなのではないか。否、そんなことはない、と。

 ドラマや小説などに書かれていたようにお金持ちの家は政略結婚で恋だの愛だのは関係なく結婚するのだと勝手に思い込んでいた。

 けれど、理一郎はお見合いのときに祖父から言われて結婚するのではないと言っていたはずだ。

 ということは、最初から桜子に対して好意を、恋愛感情を抱いていたということで……

 世には「一目惚れ」という言葉だってあるではないか。

「や……もぅ……ど、しよう……」

 涙が滲んでくる。

 嬉しすぎる。

 嬉しすぎるのだ。

 あんなに素敵な人に好意を示されて喜ばないほうがおかしい。

 自分も少しずつ好意を抱き始めていたからなおさらだった。

 

 その夜、夕食を食べ終えると自室に戻りベッドに寝転んだ。

 携帯電話を手に持ったまま、ぼんやりと今日の出来事を思い返す。

 興奮がおさまってくると冷静さが戻ってくる。

(好きって言われたから好きになるって……それでいいの?)

 そうではないのだとすぐに否定する。

 好きだと言われてもその気持ちを受け入れられないことだってある。

 ということは、理一郎に対する自分の気持ちは好きになりたい。好きだということだ。

「まだ出逢ってから二ヶ月も経ってないのに……ううん、好きになるのに時間なんて関係ないわよね」

 自分の気持ちを確認できたらなんだか急に力が湧いてきた。

 理一郎に電話してみようとアドレス帳を開きかけて指が止まる。

「あ、今日は……」

 和佐の誕生日パーティーを瀬川本家でやるのだと言っていたはずだ。

 今の時間はまだみんなで過ごしているかもしれない。

(お邪魔、してはいけないわよね)

 もう少し遅い時間にかけてみよう。

 そう考えた途端、突然電話が鳴りはじめた。

「きゃっ」

 いきなりだったので思わずベッドの上に落としてしまう。

 慌てて拾い上げるとディスプレイには見慣れない番号があった。

 一瞬誰だろうと訝しんだが、あっと思い当たって慌てて通話ボタンを押した。

「もしもし」

『あ……も、もしもし、さくら、ちゃん?』

「マリちゃん! お母さんに許可をもらえたのね」


  *  *  *

 

 ショッピングモール内で二人で買い物をしていたときに桜子が麻里子に携帯電話を持っているかと訊ねたのだ。

「うん、持ってるけど……」

 親に持たされてはいるがいろいろと制限をかけられていて、麻里子からは親が許可した番号にしかかけられないようになっているというのだ。

「それじゃあお母さんに訊いてみてね。もしもいいって言ってくれたらこの番号に電話してね」

 メモ用紙に自分の携帯番号を書いて手渡しておいたのだった。

 

  *  *  *

 

『お母さんもね、さくらちゃんなら電話でお話してもいいって言ってくれたの。理一兄さんもお父さんに頼んでくれたのよ』

「理一郎さんが?」

『うん……あ、お母さんがね、さくらちゃんとお話したいって、かわるね?』

「え、お母さん? ちょ、まっ」

『……もしもし? こんばんは、桜子さんね? 麻里子と和佐の母です』

 麻里子によく似た、けれどずっと大人の女性の声に桜子は誰も見ていないというのに頭を下げた。

「こ、こんばんは、瀧沢桜子と申します」

『ごめんなさいね、突然……今日は麻里子と和佐が大変お世話になったみたいで、どうしてもお礼が言いたくて』

「い、いえっ、とんでもないです。こちらこそ、遊んでもらったようなものですから」

 何を言っているのだろうかと妙に焦る。

『まあ、ふふ……麻里子も和佐も帰ってきてからあなたのことを話すんですよ。あの子たちは人見知りが激しくて知らない人とはめったに口もきかないのに、理一くんもすっかりあなたに懐いたみたいだっていうものだから、珍しいこともあるものだと思ったの』

 それにね、と電話向こうの相手は言った。

『瀬川の家では女の子が麻里子一人なの。お兄さんはいてくれてもお姉さんがいないから、もしよかったら桜子さんがお姉さんみたいに接してくれると嬉しいわ』

「ええ、それはもちろん! でも、女の子一人、ですか?」

『そうなのよ。その辺のことは理一くんから聞いてない?』

「あ……それはまだ聞いたことがなくて……今度訊いてみます」

『それと、和佐にも誕生日プレゼントまでくださって、ありがとう』

「いえ、たいしたものじゃないですから」

『ついさっき理一くんから手渡されて大喜びしてたのよ。……なあに? ……はいはい。和佐がね、さくらちゃんにお礼を言うんだってここで待ちかまえているからかわりますね』

「あ、はい」

 ほどなく小さな男の子の声が聞こえた。

『もしもし、さくらちゃん?』

「はい、さくらちゃんですよ。和佐くんですか?」

『うん……あの、あのね、プレゼントありがとー』

「いいえ、どういたしまして。喜んでもらえた?」

『うんっ、すっごくうれしー! ありがとー!』

 かわって、と麻里子の声が聞こえてなにやら押し問答していたようだが、結局電話の声は麻里子にかわった。

『和佐が電話を放そうとしないんだもの』

「でも喧嘩はダメよ」

『う、わかってるけど……お母さんもずっと長話して……』

「ふふっ……なんだか優しそうなお母さんね。声もマリちゃんによく似てるわ」

『怒ったらね、すごく怖いのよ』

 声をひそめて言うので思わず笑った。

 どこのお店の服がいいとか、雑貨店の話をする。今度また一緒に出かけようと約束をしたところで、麻里子が自宅に帰るというので電話を切った。

 それからほどなくして再び呼び出し音が鳴る。

 こういうのばかりだなと苦笑しながらもディスプレイを見て微笑みが深くなった。

「もしもし?」

『……………俺』

 目を瞬かせ、思わず電話を耳から離してまじまじと見る。

 ぼそりと呟くように名乗った声は確かに理一郎のもので……

「……理一郎さん?」

 首を傾げて次の言葉を待っていると、盛大なため息が聞こえた。

『電話長すぎ』

 なんだか拗ねたように聞こえるのは気のせいか。

『俺が電話したいから早く切れなんて言えないし……』

「ごめんなさい」

 謝りながらも笑いがこみあげる。

 麻里子たちはいままで瀬川本家にいたというのだから、桜子に電話をかけていたのを見ていたのだ。

 入れ代わり立ち代りで桜子と話しているのをジリジリと待っていたのかもしれない。

 それを想像してみるとおかしいやら、なんだか可愛いやらで笑ってしまう。

『いいけどね、別に』

「マリちゃんたちは帰ったんですか?」

『うん、明日は学校だからこれ以上遅くなるわけにもいかないだろ』

「そういえば、マリちゃんのお母さんが言ってたんですけど」

『うん?』

「瀬川には女の子がマリちゃん一人だっていうのは本当なんですか?」

『言ってなかったっけ?』

 理一郎はすっかり忘れていたと言った。

『うちの家系は男系らしくてね。昔からどういうわけか男しか生まれないんだ。親父たちは男ばかりの五人兄弟だし、俺たちも弟と二人、麻里子のところ以外のいとこたちも全員男兄弟なんだ。麻里子が生まれたときなんて親戚中で珍しいこともあるものだって言われたからね』

「す、すごいですね」

 そこまで徹底して男ばかりとは。

『うん、うちのじいさんはあの世代にしては珍しく一人っ子だったけど、曾じいさんの代は兄弟が多かったらしくて、本家跡取りの曾じいさん以外は全部分家になったんだ。その前の曾々じいさんの代にも何人か兄弟がいたらしいし、瀬川と名のつく家が分かれに分かれて、すごい数になってるよ』

「それ、全部、親戚……?」

 瀬川一族というのはそれだけ大所帯ということなのだろうか。

『いや、そこまでいったらもうご先祖が同じっていうだけで血縁なんてあってないようなものだよ。曾じいさんの代の分家からはまだ付き合いもあるし、セガワ商事の子会社の経営を任せてるから、セガワ商事本社だけじゃなくて系列の会社にも瀬川の名字の社員は多いんだ』

「そうなんですか」

『で、話は元に戻るけど、そういうわけで麻里子が女の子一人なものだから、叔母さんは気にしてるんだよ。若い女の人もいないからな。うちで一番若い女性というと親父の一番下の弟の奥さんだから、その人でも三十代前半なんでね』

「あ、それで……」

『うん、それで俺も桜子さんには麻里子と仲良くなってほしかったんだ。あそこまで懐かれるのは計算外だったけど』

 そのあたりはちょっと不満げに言う理一郎に、らしくなく子どもっぽいヤキモチを妬くものだとおかしくなって忍び笑いをもらすのだった。

 

 

 

読んでいただきまして、ありがとうございます。

しばらくの間、更新ペースが早いです。

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