最終話・二人の未来
「今から、俺の胸に埋め込まれた秘石を使って、裏EARTH・PERIODのGAMEを開始する。俺の予想したパターンはいくつかあるんだ。一つは、俺が死んで、天宮が裏に挑戦できる。二つは、俺が人間に戻って天宮も裏に挑戦できるパターン。これが一番好ましい。三つ目は、俺が死んで天宮は裏に挑戦できないパターン。四は、俺が人間に戻って天宮は裏に挑戦できないパターン。
正直、どうなるか全く予想ができない。」
すると、天宮はテクテクと俺に歩み寄り、手を絡めながら、真っすぐに見つめて…
「私は、どんな結果になろうとも、谷川君が信じた道を一緒に歩むだけ……それが、私の幸せだから。」
〜裏EARTH・PERIOD〜
AMAMIYA
生存判定!
・Rank一位
・Rank統一戦複数回優勝
・開拓区域全エリア制覇
・Ranking上位者多数撃破
生存可能!
おお!よかった……天宮は生存可能のようだ。ひとまず安心ってところだな。
多分、裏のGAMESTARTを押せば、三世界を統括する羽目になるんだろう……いや、支配の間違いか。文字通り、神のような存在になるんだな。もしくは魔王か……
「……結衣」
「だいたい、ここまで来て引き返すなんて言ったら、張り倒してでも裏に挑戦させるョ。大丈夫、腹括ったカラ。」
……僕の彼女は強気です。どこからその強さは出てくるのだろう?正直、天宮のそういう所が羨ましかった。俺はいつだって弱気で、俺にとって天宮は、自分にない物を持っている。輝かしく、暗い道を明るく正しく照らしてくれる太陽のような存在だったし、これからもそうだろう。
「じゃあ、行くぞ…」
〜裏EARTH・PERIOD〜
GAMESTART!!
秘石を使用します。よろしいですか?
YES/NO
YES!!
「ぐおおおおおおッ!」
激痛!かつてない、死ぬ程の痛みが胸に伝わる。皮膚を剥がされ、そこに高温に熱した鉄板を押し付けられたような激しい痛みが胸に広がる。よく見てみると、胸の秘石が体から引っぺがされ、泡のように変形して徐々に消えていく。
「谷川君!」
天宮が必死に呼びかけ、手を握りながら心配そうに顔を覗き込んでくる。おさまらない痛み!痛さで視界が歪み、嫌な汗がとめどなく溢れてくる。
「がッ……ああッハァッ!!ぐうううッ!」
〜空とぶユパ様〜
秘石ロスト!
秘石により開放された能力は、全て使用できなくなりました。
「………ハア、ハァッ…ハア!生き、てるな。ふぅッ、ひとまずは安心だな。」
「だ、大丈夫なの?」
「なっ、なんとかな…」
〜裏EARTH・PERIOD〜
・空とぶユパ様
・AMAMIYA
〜MENU〜
好きなだけ選択。何度でも変更可能です。
・世界の一部を削除
・世界の全てを削除
・世界の一部を変更
・世界を創り変える
・生物の生殺与奪
・不老不死
・永遠の楽園を築く
・全ての世界への往復
「………。」
「………。」
静寂。
「あの、さ。やっぱり、EARTH・PERIODはキレイさっぱり消し去った方がいいよな?」
「いいと思うケド、なんだか淋しくなるね。」
「不老不死と、永遠の楽園を選択して、ずっとここに二人っきりでいよう。」
「うん。ありがとう……そして、よろしくね。」
「あ、まずは街を元に戻さないと。」
「そうだね、星海王との戦いでめちゃくちゃになったもんね。」
「これは?」
「イイね!素敵だと思うョ。」
「じゃあ〜………」
「え?それ……」
……………。
そして、二人はいつまでもこの何もない、素敵な楽園で暮らしました。この世界には、彼と彼女しかいません。この世界のアダムとイヴとなりました。永遠に、アダムとイヴは愛し合って生きて行くことでしょう。
「ん?谷川君、何か落ちたよ?」
「あ、コレは結衣から貰った手紙。ずっと持ち歩いてたんだ。」
「……なんか、恥ずかしい。やっぱり返して♪」
「なんだよそれ。まだ読んでないから、読んだら返す。」
「イイよ、読まなくて。返して♪」
「アハハ!なんだよそれ〜」
「アハハハハッ!」
〜天宮の手紙〜
えっと、まず何から書こう?
ありがとう。とにかく、その一言に尽きます。
こんな私も守ってくれてありがとう。
こんな私と付き合ってくれてありがとう。
あの日、屋上で言ってくれた事は本当に嬉しかったです。
谷川君の胸の中は、温かかった。優しさ。私を想う気持ちがいっぱい伝わってきて……………幸せでした。
本当に、今までありがとう。書いても書いても、何度書いても足りないくらい、ありがとうを伝えたい。
愛してる。
天宮結衣
あなたに、守りたい大切な人はいますか?
終わり