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『赤』
無数の巨大槍が直秀の肉体無惨にも貫き、鮮血が大地を染める。
「グハッ……!」
直秀は大量に吐血しながら、痛みと苦しみで顔を苦痛に歪め、それでもなお止を見据える。
〜地を這うナウシカ〜
危険!
重要器官多数損傷!
生命維持に支障発生!
致命的なDAMAGEを受けました。
死亡確定まで残り54秒!!
「なっ、直秀!」
直ぐさま、直秀に駆け寄ろうと駆け出すと
「くるなああああ!!」
〜地を這うナウシカ〜
最上級能力開放!
秘石破壊!
相手の対象物を粉砕します。
秘石デストロイヤーの制限時間は強制的に0になります。
攻撃の代償に、プレイヤーは命を失います。
発動中は、いかなる手段を用いても生命維持効果を切断できません。
……おい、ちょっと待てよ。攻撃の代償に、命を失う!?
「ば、馬鹿野郎!そんな能力を使ったら……お前が!!」
「………ばーっか。ンな状態で、お前がコイツを倒せる訳ねえだろ。」
「そんな事を言ってるんじゃ……」
「いいんだよ、親友…。お前さえ生きていてくれれば、俺は満足だよ。」
直秀の体を轟々とした赤色のオーラが纏わり付き、ニッコリと微笑んでから、止に向かって突っ込んで行く。
本当に、長い間一緒にツルんで来た親友。
一緒になって、色んな馬鹿な事をやったりした。
天宮に告白するキッカケや相談をしてくれたのも、直秀がいたから出来たんだ。
その親友が、今から死ぬ。
受け入れたくない出来事。だからといって、顔を背ける事なんて、俺には出来ない。
………気が付けば、俺は直秀の後を追っていた。
〜世界を創りし者〜
地を這うナウシカの攻撃!
禁断奥義!
秘石破壊!
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
一直線に、まるで弾丸のように止に向かって走る直秀。命を賭けた最後の攻撃!その表情は、鬼気迫るものがあった。
「命を賭ける……か。だが、それでもキミは私に勝てない!」
〜世界を創りし者〜
能力発動!
制止する世界!
相手の動きを一定時間止める事ができます。
「ぐっ!?動けねえ!」
くっ、普通の能力が直秀に通用してしまう今、明らかに分がわるい。……あ!そうか、これなら。
「直秀!コレを受け取れええええええ!!」
直秀に向かってある物を投げ渡す。よし!アイテムを使用出来なくても、渡すなら可能みたいだ。そして、そのアイテムを受け取った直秀は即座にそれを使用した。
〜地を這うナウシカ〜
激レアアイテム使用!
・精霊の加護!
自身の特殊状態のタイムリミットを延ばせます。
・ノウリョクキカナイ!
一定時間相手の能力は無効化されます。
よし!高燃費のアイテムが残っていてマジで助かった。
刹那、一瞬で止の懐に潜り込み、右手で止の眼球に指を突っ込む直秀。
「がっ!?ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
刔ってる!容赦なく止の眼球………もとい、秘石をえぐり出し、その場でおもいっきり握り潰し、粉々に粉砕する。
「直秀!!そこどけええええええええええええ!!!」
自堕落剣を無理矢理引きずりながら、火事場の馬鹿力でおもいっきり止の胴体目掛けてフルスイングを打ち噛ます!全力で巨大剣・自堕落ソードを振るった為、遠心力で止の体を横一文字にぶった切った後に、自堕落剣の重さに耐え切れず、思わず離してしまい、あさっての方向に飛んで行く自堕落剣。
〜地を這うナウシカ〜
代償
命を失いました。
HP 0
死亡!
現実世界の肉体も機能停止しました。
GAMEOVER!!
ドサッ…
直秀が力無く地面に倒れ込み、そのままピクリとも動かない。
「………………直秀。………おい、直秀。……逝ったの、か?」
直秀からの返答はない。
「………なあ。直秀……おい!」
………………。
「おい!直秀!返事しろよ!起きろってば!!」
天宮に続いて、直秀まで死んでしまった。この虚無感は、なんだ?大切な人を失ってまで、戦う必要があったのか?
「………ハハッ、わからないよ。だって、俺は人間じゃないんだ。この時の為に生み出された、人造人間だもんな。」
〜空とぶユパ様〜
無能力の効果が切れました。
秘石の能力が再び使用可能になります。
EARTH・PERIODに設定されている行動が全て選択可能になりました。
ああ…止を倒したからか。けど、全然嬉しくねえなあ…。本当に守りたかった人達は、もういない。守れなかった……。
この絶望の先にあるものは、なんだ?
重々しく、例えようのない威圧感を放つ扉が、目の前にそびえ立つ。裏への扉。所々、錆び付いていて、それがよりいっそう無気味さを醸し出している。
扉にそっと指を触れてみると…
〜裏への扉〜
開けますか?
YES/NO
注意!
扉を開けた後は、何が起きるかわかりません。
何が起きるか……か。多分、開けた先に待ち受けもの。ソレは、全て俺に委ねられる。
神になるも、悪魔になるも、全ては………
〜裏への扉〜
開けますか?
YES!!
ゆっくりと、軋んだ音を起てながら徐々に扉が開いていく。本当は、天宮と一緒に……ここに立っていたかった。
………ドズッ。
「………あ?」
〜空とぶユパ様〜
止の攻撃!
貫手!
CRITICALHIT!!
「があああああ!?」
背後から、止の右腕が背中を貫通させ、胸の秘石を握りしめていた。
なっ!?ちょっ、マジかよ?死んだんじゃなかったのか?秘石は破壊したし、体も真っ二つにぶった切った。なのに、何故!?
「寄越せ……石を寄越せええええええええええ!!世界を牛耳るのは貴様などではない、この私だあああああああああ!!」
くっ……秘石を壊しても、止というプレイヤー自体は死なないのか。しかし、何故動ける?腰から下は完全に吹っ飛んだ筈だぞ?動ける訳がないんだ。
首を目一杯捻り、後ろを確認すると、止の体は浮遊して、切断された上半身だけが動いていた。
「能力か!くそッ、離せ!」
「離せと言われて離す馬鹿が何処にいる?ふざけてんのかヴォケ!?寝ぼけてんなゴルアアア!!」
執念。欲望。止を支えているのは、まさしくソレらだった。片方の眼球は直秀にえぐられ、下半身は真っ二つにぶった切り、それでもなお、止は戦う。己の野望の為に……
………じゃあ、俺は何の為に戦うんだ?もう、守りたいものも、なにもかも手元には残っていない。
三世界の為?
地球の平和?
EARTH・PERIOD?
母さん?
………あ。
ある、一夜の出来事を思い出した。天宮と話している時だ。
「谷川クン♪」
「ん?どうしたんだよ?」
「谷川君は、私がいなくなったら悲しい?」
「悲しいに決まってんだろ?ずっと……ずっと一緒にいたい。」
「ふふっ、ありがとう♪……けど、けどネッ、いつかは、必ず別れる時が来るでショ?例えば、死んだ時とか。谷川クン……谷川クンが私の事を想ってくれてるのはうれしいケド、もし私が谷川君の前からいなくなってしまった時は、自分の為に生きてね?約束ダョ。」
「……?ああ、わかった。」
「愛する彼が元気に生きてくれてさえすれば、私はそれで満足。」
……生きる?自分の為に、生きて行く。
「あのね、コレを受け取って欲しいの……」
「ん?なんだいコレ?手紙??」
「うん。ケド、今読んじゃだめ!」
「なんだよそれ、いいじゃん。」
「それは………」
手紙?愛する人からの、メッセージ。
「………やっぱ、愛だよ。」
一言、呟く。
「ああ?なーにをほざくか!」
「結局さ、なんだかんだ言っても、愛なんだよ。行き着く所は……。愛し、愛され、人間はお互いを愛し合って生きて行く。自分の事を信じてくれる人がいるから、頑張って生きていける。
………なあ、お前はいるのか?そういう相手が?」
〜空とぶユパ様〜
秘石の能力発動!
愛!
愛する人への気持ちが強い程、強くなれます。