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「あっはっは!信じられない。……って顔してるよ。ん?どうだい?正解だろ?」
あちー!やべええぇぇぇ!!止がなんか言ってるけど、とりあえずスルーだ。あいつが吐いた炎が消えない!ぶっちゃけシャレにならん……
「クックック……無知な勇者に教えてあげよう。EARTH・PERIODの世界に、秘石は三つ存在する。」
うん、まあ……そんなドヤ顔で言われても、薄々気付いてたしな。秘石は複数存在するって。ンな事よりも、アチいいいいいい!!私、谷川大和は現在進行形で萌えてます。あっ、間違った。燃えるだよ?萌えてどうすんだっつー話な訳で……
「リブジの秘石。試験運用された、EARTH・START。EARTH・PERIODの世界そのものを動かす役目の、EARTH・ENERGY。そして、来るべき終焉に導くための、EARTH・END。貴様の持つEARTH・STARTは一番弱い力を持つ秘石だ。私の所有する、EARTH・ENDには到底敵わんよ。」
なんだか、よくわかんないけど、コイツがラスボスなんだろ?コイツを倒せば、めでたくネットカフェ・in・サバイバルシリーズが完結する…………うわ〜、最終回迎えたくねえなぁ〜。
俺、まだまだ活躍したりないよ…
『大和!落ち着いて。相手の攻撃が秘石による力だとしたら、秘石同士の反発で無力化できるはずよ。』
なんだって?
そんな方法があるの??
「どっ、どうすればいい!?」
『念じて!強く…強く念じるのよ!』
なんじゃそら……そんなんで炎が消えたら、苦労しないぜ。家が火事になっても、念じたら火が消えました的なノリじゃん。消防士やら消防車なんかいらなくなるだろ。
まあ、試しに念じてみるべ。
「消えろ!」
………あれ?消えなくね?
「消えろおおぉぉぉ!!」
あれあれ?全然消えないじゃん。
「消えてえええぇぇぇぇぇぇ!!!」
熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い!!ダメじゃん!死ぬ!マジでヤバイ!!
「ちょっ、マジで消えて下さいお願いしますぅぅぅぅぅ!!!ヘルプミーマザー!」
………パッ!
マヌケな音と共に、俺を包み込んでいた炎は嘘のように消え去った。ぐぐぐっ、最後の台詞は恥ずかしいぞ……。
「テメエ!よくもヤりやがったな!!」
「ハハッ、弱い奴程やかましく吠えるものだよ。」
「頭にキた!潰す!潰してヤる!!」
〜そらとぶユパ様〜
VS
〜世界を創りし者〜
FINALBATTLE!!
START!!
止が再び、地獄の業火を口から吐き出し、全てを呑まんとする炎が襲い掛かってくる。
ふふん。同じ手は喰わないぜ!
「うおりゃああああ!」
自堕落剣を振り下ろし、止の吐いた炎を真っ向からぶった切る。すると、炎は綺麗に左右に別れる。直ぐさま地面を蹴り、一気に止との距離を詰める。そのまま、勢いに身を任せ、止の首目掛けて突きを放つ。だが、止は冷静に尾の蛇を高速で動かし、自堕落を真横から叩き付け、突きの軌道をずらす。そのわずかな隙に、止は反撃に転じる。突きを外し、次の攻撃を繰り出そうとした刹那、止は大口を開いて俺の右腕に食らい付く。確かな感触。そして、痛み。
「ぐっ……ああああああ!!」
まるで、スローモーションのように、その光景はうつりこむ。右腕に止の牙が突き刺さり、鮮血が大量に噴き出して視界を赤一色に染める。そして、あっさりと右腕は俺の体から離れていく。
「あーっはっはっは!全ての世界を統合させ、万能たる絶対神となる存在の私には絶対に勝てんよ!」
「………わからねえ。何故、それほどまでに力を求める?絶対神とやらになって、お前は何をするつもりなんだ?」
「愚問だな。平和な世界をぬくぬくと生きて来た人間の考えだ。この世の中は、力こそ全てだ!貴様は戦争を経験した事があるか?いや、ある訳がない!貴様らの世代になれば、戦争など絵空事の出来事だ。違うか?そうだろが!!何も罪のない人間が理由も無く殺され、愛する人々を奪われた気持ちがわかるか!?あの時代は地獄だった……確かに地獄がそこに存在した!ただ、戦争が終わり、私の中に残った感情は憎しみと絶望。そして、この世は弱肉強食と力なき者は死ぬ!力こそ全て!ならば、強き者に殺されない為にはどうすればいいか?奪われない為にはどうすればいいか?簡単な事だ!頂点に立つ事なのだ。この世の頂点に立てば、奪われる心配や苦労もない。いつ死ぬか……ころされるかわからぬ恐怖から逃れられる!だから、私は神になるのだ!頂点を目指すのだ!!!人間は、そういうモノだと私は思う。」
「……くだらねえ。ようは、ただたんにテメエがスーパービビりなだけじゃねえか。ンなくだらねえ事に、多くの人間・生き物を巻き添えにして世界を統合するのか?いや、統合じゃねえ。自分の都合がイイように、世界を作り替えるだけだろ!そんなのは、逃げてる事と同じだ。どんなに辛い事があっても、血ヘド吐きながら、ぶざまでも地べたをはいつくばりながら目の前の現実から目を逸らさず立ち向かうのが、生きるって事だろ?どんな困難が待ち構えていても、愛する人と共に歩き乗り越える。それが、人間って生き物だろ?お前は、どうあがいても人間だ。神になんかなれないね。」
「はははっ、笑わせる!この姿を見ても、人間と呼べるのか?」
足元の地面が急に盛り上がり、身の丈以上はあろう巨大な氷柱が姿を現す。それを辛うじてバックステップで回避する。
ぐっ、業火に氷柱…なんでもありかよ。クソッ、出血が酷い…まあ、当たり前か。右腕をまるごとえぐられたからな。
「……ふぅ〜、左腕だけでヤるか。」
自堕落を左手でにぎりしめ、再び攻撃体制に移行する。たとえ手足が吹っ飛んで首だけになったとしても、最後まで戦いぬく!
「阿保がッ!せっかくの秘石も、使い方を知らないとは……宝の持ち腐れだなあ。そう思わないか?」
「なんだと!?どうい……グッ!」
一瞬にして、間合いを詰めて攻撃を仕掛けてくる止。クソッ!文字通り、瞬間移動しやがったな。アダムの時もそうだったが、瞬間移動ほどやっかいなモノはない…。止は、八本ある内の四本の腕を高速で動かし、身体の至る所に打撃を撃ち込んで来る。左腕だけでは防ぎきれる筈もなく、当然のようにサンドバック状態に陥る。
ぐぐっ、どうにかしないと……って、ちょっと待てよ?
今、秘石の力で身体能力を限界以上に引き出してる訳だが、さらに能力による肉体強化は可能なんだろうか?秘石と昇華の二重効果か……試してみるか。
〜そらとぶユパ様〜
能力発動!
昇華!
肉体は限界を凌駕した!
ステータスという概念は崩れ去りました。
特殊能力
・自己再生
・???
が、使用可能になりました。用量、用法を守って正しくお使い下さい。
おおっ!?マジか!秘石の効果はすさまじいモノがあるな…。あの昇華が、こんな風に変化するなんて、びっくりだぜ!どれ、早速自己再生とやらを使ってみるか。
〜そらとぶユパ様〜
能力発動!
自己再生!
右腕修復!
右腕使用可能!
おお!すっ、すっげー!!腕が生えてきたよ。すかさず、左手に持っていた自堕落剣を右手に持ち替え、止が顔面を狙って拳を放つ瞬間、カウンター気味に自堕落剣を振るい、止の腕を真っ二つに切断する。
「うっしゃあああッ!」
止が怯んだ隙に、鬼神の如く自堕落剣を振るい、止の巨体をメッタ斬りのめった刺しにしてやる。苦し紛れに口から業火を吐き出すも、すかさず体制を低く構え、しゃがみ込みながら業火を避けると、足元を素早く切り付け、仕上げに真下から上にかけて、渾身の切り上げを打ち噛ます!
「がっ……!?」
あまりの威力に二、三歩後ろに下がる止。よし!確かな手応え。イケる!