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「………そんな、酷い事が?」
「ああ、あの後近所のおばさんが、見つけてくれてな。即、病院に運ばれて、命だけは助かった。」
「……お父さんは、どうなったの?」
「病院で死んだ。その後、退院した俺は、親戚に引き取られたけど、なんか居心地が悪くてな…。無理言って、高一の時から一人暮らしをさせてもらったんだ。」
「……谷川君。」
「……今でも、あの時…の、父さんは…恐ろしく感じるよ。その恐怖を…ずっと、ジブリが埋めてくれた…。」
「……元気出して!って言いたいところだけど、無理だよね…。…………よし!」
何が、よし!なんだ…?
「今度から、私がジブリの替わりになるわ!何たって、谷川君の彼女だもの。辛い事や、悲しい事を、一緒に乗り越えよ?」
……温かい、なによりも温かい涙が、頬を流れた。この涙は…、過去の辛い思い出のせいじゃない。自分の事を、こんなにも想ってくれている人がいるんだ!という、うれしさと、感謝の涙…。
「あっ、谷川君…?大丈夫!?」
「だ……大丈夫…、大丈夫だよ……。ありがとう、結衣。」
「谷川君……。」
天宮となら……大丈夫。二人でなら、乗り越えられる…。どんな事があっても!ありがとう、ありがとう……。そして、よろしくお願いします……。
「さあ、飯にしようぜ。せっかく作ったのに、冷めちまうよ。」
「そうだね、食べようか。」
その日食べた夕飯は、いつもより…、しょっぱい味がした。
〜EARTH・FANTASY第6研究室〜
「御呼びでしょうか?ドクター谷川。」
助手の丹蛭陀を、研究室に呼び出した。何故なら、とっても大事な研究を行うため、彼に協力してもらわなければ。
「ね〜え、例のアレと私の大和ちゃんって、どっちが強いかしら?」
「暴虐魔獣・ディノガラウと、アダムを倒し者ですか…。当然、倒し者でしょう。EARTH・PERIODが開放されたら、彼にぶつけるつもりで?」
「ええ、そう考えてるけど?」
「まあ、普通に闘えば勝ち目は無いでしょう。普通に闘えば、の話ですけどね。」
「あの計画のためには、少しでもデータが欲しいの。ディノガラウのLVをMAXまで底上げして。」
「わかりした。」
大和ちゃん、あなたの全てが欲しいわ…。あなたの全てが!あなたの力が!!