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「なんだい?なんか用?愛の告白ならカンベンしてね。」
「なんで貴方に告白しなければならないんですか!」
「冗談だけど?そんなムキになるなよ〜。」
大橋がぷんぷんと怒りながら、エレベーターのボタンを押す。つーか、マジで何の用だろう?
「……現在の、EARTH・PERIODの状況は理解していますか?」
はあ?状況?そんな事、もうわかってるつーの。
「運営側と、ランキング上位者が、核となるエネルギーの争奪戦が始まってる事だろ?そんな事、わかってるよ。」
「なら話が早い。ヘッドスコープに、アバターデータを逆インストールしておきました。これからは、日常生活でも、つねにヘッドスコープを持ち歩いた方がいいでしょう。」
はあ?なんでだよ!?意味わからん…。
「なんで?」
「あなたは、EARTH・PERIODの世界でも、現実世界でも最高の救世主であり、最大の邪魔者でもある。あなたは、目立ち過ぎたのですよ。今の貴方には、力も権力もある。EARTH・PERIODの最高責任者が現実世界で暗殺されたように、必ず貴方の所にも刺客がやって来るでしょう…。」
……マジで!?超おっかないんですけど。
「けど、それはあくまでも推測だろ?襲って来るとは限らないじゃないか。」
「万が一です。それに、襲って来ないとも限りません。」
確かに、大橋の言う通りだ。俺は、素直にヘッドスコープを受け取る。すると、チーン!とかいうベタな音と共に、エレベーターが開く。
「ありがとうございました〜。」
マニュアル通りの動作と言葉で、大橋が頭を下げる。
俺が狙われてるねえ〜…。人気者はツライぜ!
〜谷川大和邸宅〜
現在の時刻、23時30分。一通りの家事をこなし、ジブリ映画を堪能中…。
いや〜、やっぱり耳をすませばは最高だわ。
ソファーに寝そべりながら、しあわせの一時を過ごしている大和でした♪さーて、そろそろ寝ようかな?
ピンポーン!
インターホン?こんな時間に誰だろう?まさか、また高燃費じゃね〜だろうな…。
少し警戒しながら、玄関に向かって歩みを進める。どう考えても、こんな時間に訪ねて来る人間は、よほどの急用か非常識かのどちらかだ。
「は〜い、今開けます。」
……………。
ドアを開けた瞬間、我が目を疑った。恐持ての男達が、色々な武器を構えながら、我が家に向かって突っ込んで来るではないか!!銃やナイフ、さらには刀とスタンガンまで、種類豊富な武器を揃えていらっしゃる…。
「ンギャーーー!?は?え?ちょっ、うわわわわ!?」
急いでドアを閉め、家の奥へと逃げ込むと、ド派手な銃声と共に、玄関のドアが文字通り蜂の巣となって、破壊される。
まさか、大橋の言ってた襲撃ですかぃ!?マジ勘弁してくれよ…。このままじゃ、殺されるじゃねーか!
「○×△□!×△○○!!」
………何語?日本語でも、英語でもねえじゃん。とっ、とにかく逃げなければ!ジブリグッズとヘッドスコープは、絶対に無傷で持って逃げなければ………って、ヘッドスコープあるじゃん♪アダムの時と、同じ要領で逆インストールすれば、イケるはずだ。直ぐさまヘッドスコープを起動して、転送ボタンを押す。えい、ポチッとな。
〜そらとぶユパ様〜
逆インストール中…
………1%完了
………14%完了
………23%完了
「○×○×△△!!」
んげげ、見つかった!?やべえ、まだインストールが完了してないぞ…。銃なんか構えちゃってるよ!タイムは通じねーだろうしな〜…。
「うわわわわわ!?ヒィイイイイイ!」
恐ろしさのあまり、ついしゃがみ込むと、パンッ!と言う銃声の後に、背後にあったテレビに弾丸が撃ち込まれる。どうやら、弾丸は運よく頭上を通過して行ったようだ。
うひゃ〜、あぶねえ!間一髪だったわ。
〜そらとぶユパ様〜
………50%完了
………60%完了
俺の家がめちゃくちゃじゃねーか!は、早く完了してくれよ…。
そんな事を考えていたら、窓から強い光が差し込み、異様な機械音が住宅街いっぱいに響き渡る。
バラバラバラバラバラ………
ヘリコプター!?おいおいマジかよ…。俺の目が正しければ、ヘリに取り付けられたガトリング砲が、こっちを狙っている気が…。襲撃と言うよりは、戦争と言った方が正しいな。
ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ……
容赦なく、ガトリング砲を我が家に撃ち込む暴力外人集団。窓ガラスは木っ端みじんに砕け散り、室内の物という物は全て原型を保っていない。
え、映画のようなワンシーンが、現在に俺の目の前で起きてるよ…。ううう…、秘蔵のナウシカとオウムのプラモデルも破壊されてしまった…。
〜そらとぶユパ様〜
100%完了!
逆インストールが完了しました!
よっしゃあああああ!
覚悟しろ外人集団!大和様の逆襲開始じゃい。