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(………祟るって、まともな人間の言う事じゃねーぞ?ヤバイ、コイツは頭がおかしい人間だな…。さっさとログアウトしよう。)
「………急いでるから、これで失礼!」
直ぐさまログアウトのボタンを押して、逃げるようにログアウトする。
「コラアアアアア!!逃げるな○×△□!」
絶叫しながら、俺を引き止めようとする高燃費。最後の言葉は、あまりに興奮していたのか、舌が上手く回らず言葉として聞き取るのは不可能だった。あー…、怖かった。なんだったのあいつ?
「………無視された。逃げられた。嫌われた。許さない。怨んでやる。呪ってやる。祟ってやる。殺してやる。ぶつぶつ………。」
〜翌日〜
………おかしい。いつもなら、直秀が家に迎えに来るのに、今日は来ないぞ?二週間も留守にしてたからか?まあ、学校に行けば会えるだろ…。
なんて思いながら、かばんに荷物を積めていた時だった。
ピンポーン!
インターホン?直秀だな。今日はちょっと遅くなっただけか…。
「今いくぞー。ちょっと待っててくれ。」
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャ………ガツン!!
なんじゃい!?直秀のやつ、ドアノブをめちゃくちゃに回してやがるな?朝からテンション高いな…。………ん?ガツン?あいつ、一体何をしてるんだ?
「今行くから、ちょっと待ってろって〜。ドアノブ壊れるだろ!」
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!
…ちょっと待て、直秀のやつ、ドアを叩きまくってないか?近所迷惑だ!やめさせよう。
「おい!いい加減に………」
ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!!!!
………あの、さ。キレていいかな?
「テメェ、一体どういうつもりだ直秀!!」
勢いよく玄関を開けると、そこには………。
「あれ?誰もいない??」
…気味悪いな。朝からなんなんだ?………幽霊じゃないよな?まだ朝の7時20分だぜ?幽霊が出現する時間帯じゃねーよな?いや、そもそも、幽霊が出現する時間なんてあるのか?まあ、なんでもいいや。学校行こう。
玄関のドアを閉めようとしたその時!ドアの閉まる寸前に、何者かの足が、突如隙間に挟み込まれ、ドアが閉められない。よく、セールスマンがやるアレだね。
「………は?」
なんだこの足?邪魔くさいな…。踏んじゃえ!えい、ムギュッとな。
「いったーい!」
あ?直秀じゃないぞ?つーか、この声どこかで聞いた事があるような…?まあ、どうでもいいや。踏んだら、足を引っ込めてくれたようだし、今の内にドアを閉めよう。
「ちょっとおおおおぉぉぉ、痛いじゃない!!」
ドアの向こうで、何者かが絶叫している。タチの悪いイタズラしやがって…。ムスカと同じ運命を辿らせてやる!
「開けろおおおおお!!」
ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!
あー…、実にやかましい。非常用のウェルダーを玄関に設置して、巨大な投光機を外に向かってセットする。ついでに、溶接も準備して、迎撃体制は整った。変質者め、思い知れ!
「開けやがれえええーーー!!!」
ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!
よし、ウェルダー始動!
ブイイーン!
「今開けますよ〜。」
カチャリ…。
玄関の鍵を開けた途端、変質者が、勢いよく我が家に侵入してくる。瞬間、アーク溶接の光と、投光機の強烈な光が、変質者に襲い掛かる。
「ぎゃあああああ!?目が、目があああああああ〜。」
ふははは、谷川大和特製、人工バルスだ!変質者が怯んだ隙に、みぞおちにおもいっき蹴りを入れる。さて、ふん縛って、警察に突き出そう。
「ううう…、酷いわ…。」
ん?女の子!?しかも、けっこうかわいいな。つーか、この制服は、超有名なお嬢様学校の、聖光女学館の制服じゃないか!
「ううう…、祟ってやる…。」
………あっ!思い出した。
「………お前、高燃費少女・ハジイだろ?」
「呪ってやる…。殺してやる…。」
なんだかイラッ!としたので、もう一回蹴ってやろうかな?
「質問に答えろ。お前、高燃費少女・ハジイだろ?なんで俺の住所を知っている?」
「………そんなの簡単。今、EARTH・PERIODで一番の有名人、アダムを倒し勇者で聞きまわれば、住所・氏名くらい簡単に入手できる。」
…俺の個人情報だだ漏れじゃんか。
「あのさ〜、なんでこんな事する訳?俺に怨みでもあるの?」
「………今まで、私の思い通りにならなかった事なんてなかった。なのに、あなたときたら!私の頼み事を拒否するし、恨めしい限りだわ!」
………コイツ、超わがままお嬢様じゃねーか。多分、今まで親の権力と財力で、やりたい放題やってきたんだろうな〜。
「嫌だ。お前の言う事なんて、聞きたくないね。だいたい、俺以外のプレイヤーでもいいじゃんか。どうして俺なんだ?」
「あなたは、アダムを倒した勇者。倒せないプレイヤーなんて、無きに等しいでしょ?だから………」
「そいつは誤解だ。俺でも、倒せないプレイヤーはいる。」
「えええ!?そんな、困るわよ!あなたじゃないと、あの女は倒せないわ!」
………俺、いろんな意味でモテ始めたぞ?うれしくね〜。つーか、高燃費の相手をしてたら、学校遅刻しちゃった♪しょ〜がねぇ、明日から行けばいいか。