稗田相談窓口
一応このなかでは早苗×阿求が成立している設定で。
どうも今日も今日とて稗田阿求です。最近は気温の寒暖が激しく、寒いやら暑いやらでなにかと面倒です。朝は寒いので暖かいお味噌汁でも飲んで温まりましょうかね。
昼はなんだか暖かく眠たくなってしまいます。原稿も一段落着きましたし、少し微睡みますかね。
「阿求、聞いているのか」
「お休みなさい」
――ガッッ!!
痛いじゃないですか、某慧音先生。うら若き乙女に頭突きをかますだなんて、あなたそれでも人ですか。そう言えば人じゃないんでした。
「なぁ、阿求。またなにか失礼な事を考えてはいないだろうな」
「純朴少女たる私がそんな事考える訳がないじゃないですか」「純朴少女とはかけ離れている様に思うのは私だけなんだろうか…」
「第一なんで私が授業を受けないといけないんですか」
「それは…」
「また、相談事なんですよね」
「あぁ」
彼女は言いにくいことがあるとこうして授業の様な事をしながら思考整理をするとかで、無理やり授業を受けさせられることがたまにある。だから先に要件を聞き出すことにしたのだ。と言うか散々考えてどうしようもないから相談に来てるのに、ここにきてから考えたって無駄だろうに。変に知識を持つとなんとかしようとするためか、はっきり言って面倒くさい手順を踏む。そして周りを巻き込む。正直勘弁してほしい。
「で、今度はなんです?」
「なんだその雑な対応は」
「だって、何回目ですか」
「それは…」
どうやら彼女は同じ知識人として香霖堂の店主に興味を持ったが客として以外の接し方が分からず、私に相談にきたとか。正直、知らないです。私は眠たいです。
「なぁ、阿求。どうすれば気を引けるんだ」
「私がそう言う事に疎いの知ってますよね」
「だが、早苗との事があるだろう」
「なんで知ってるんですか!?」
眠たいとか言ってる場合じゃないです。なんとかしないと。
「有名な噂話だが…?」
「もとは誰です?ネタの流出元は?」
「知ってどうする」
「社会的に報復します」
「まぁ、私は知らんよ」
あなたと言う人は……。まぁ、嘘を吐いている様には見えませんが。と思いきやなんですか、そのニヤけ面は。あとでまた問いただしましょう。
「で、どうやったんだ?」
「なにをです」
「どうやって気を引いたんだ?」
………。その時の流れみたいなのもありますし。と言うかアプローチを掛けてきたのは向こうですし。お互い最初から気にかけていた節はありましたし。気を引くとかそういうのはなかったと言うか…。てかそんなの言える訳がないじゃないですか。
「知らないです」
「………」
「そんな半眼で見られても答えようがありません」
「……はぁ…」
「そんなに落胆されてもどうしようもありませんが」
「この薄情ものめ」
「薄情者はどっちですか。何回相談に乗ってなおかつ解決してきたと思ってんですか」
「それを言われると何とも言えんのだが」
精神的に責めて自尊心をくすぐり、最後には情に訴えるとか。一体何段構えなんですか。……。仕方ないですね。
「本当に有効かどうかは知りませんからね」
「え」
「商品の仕入れ先とか読んでる本とか気になることを聞けば良いんじゃないですか」
「阿求?」
「相談は終わりです」
噂の元を断たなければいけませんから。いや、もう意味が無いのは知ってますが。報復です。この辱め、何としても仇討しますので。忙しいんです。
でも先ずはさっさと部屋を出てもらいましょう。…とりあえず仕事でも始めればかえりますかね。
「………」
なんかこの人ここで考え始めましたよ。帰りませんね。……。あ、そうだ。
「時に慧音さん」
「なんだ」
「人の色恋沙汰に手をだすなと言ったのはあなたですよ。あの時は教え子でしたが」
「そう…だったな」
そういうと彼女は部屋を出ていった。すると入れ替わりにお手伝いさんが入ってきて一言。
「阿求様、お客さまですよ」
なんです、忙しいんですが。と言うかなんですか、そのニヤケた顔は。
「とりあえず入りますね」
「あ、早苗」
思わず名前を呟くと「おはよ」と短く答えて隣に腰かけた。
「ねぇ早苗」
「ん?」
「なんか私たちの事がみんなにばれてるみたいなんだけど」
「え?言っちゃ駄目だった?」
……。その反応が示す答えは一つ。
情報流出の犯人は早苗でした。
どこにこのモヤモヤをぶつけろって言うの…?
Fin
すいませんでした。
作者は慧音は恋愛よりも生徒の方が大事とか思ってそうなイメージがあるのですこし苦労しました。こんなのでよかったのか…?