第9章 ― 世界を沈める重圧
艦船は、上昇を始めた。
高度を取り、なお空は自分たちのものだと信じているかのように自信に満ちていた。
二隻がビルの上空をゆっくりと横切り、観察し、計算し、狩りを続ける。
ロボットは、それを見ていた。
キラは、瞬き一つしなかった。
「最大跳躍を起動。」
パネルが、攻撃的な連動で次々と作動する。
一人のオペレーターはまだトイレから戻っていない。
別の一人は二つの席を同時に担当し、指は緊張で震えながらも、失敗しないだけの速さを保っていた。
機体の脚部が、深く沈み込む。
地面との接触点から火花が爆ぜ、周囲の放棄された車両に火が移る。
巨大な躯体が凄まじい光を放ち、安全限界を超えて圧縮されたエネルギーが脈動する。
そして――跳んだ。
機械としてではない。
戦争の神として。
跳躍は空気を引き裂いた。
巨像の影が、いくつもの街区を覆い尽くす。
艦船がそれに気づいた時には、すでに遅すぎた。
巨人の足が、降りる。
二重の衝撃。
二隻の艦船は、神の靴に踏み潰される虫のように地面へ叩きつけられた。
爆発は同時で、凶暴で、耳を裂くほどだった。
着地の衝撃は、惑星そのものが打たれたかのように都市を震わせる。
司令キャビンの中で、何人かの兵士が肺に溜め込んでいた息を吐き出した。
他の者は頭に手をやり、吐き気、圧迫感、痛みに顔を歪め――それでも……笑った。
警報が鳴り響く。
「将軍」
オペレーターが告げる。
「大規模な艦隊を感知。大気圏に突入しています。」
キラは低く、抑えた唸り声を漏らした。
「海へ向かう。」
沈黙が即座に落ちた。
何人かの兵士は動けず、聞き間違いだと信じたかった。
「将軍……」
一人が喉を鳴らして言う。
「この機体は水陸両用ではありません。潜水を想定して設計されていない。」
キラは腕を組んだ。
「想定してはいない。」
視線は前方から逸れない。
「だが、耐えられるようには作った。建造時に俺が保証した。戦闘のために。圧力のために。不可能のためにな。」
「ですが、将軍——」
「十分だ。」
刃のような声が空気を断つ。
「実行しろ。今すぐ。」
恐怖がキャビンを走ったが、誰一人として逆らわなかった。
「右旋回、進路:海。」 「脚部、作動。」 「機体回転。サスペンション調整。」
ロボットはゆっくりと向きを変える。
爪が閉じ、戦争の拳を形作る。
海岸へ向かう一歩一歩が、判決書に署名されていくかのようだった。
油圧サスペンションが脚部から熱い蒸気を放つ。
前方に海が広がる――広大で、暗く、静寂そのもの。
ためらいはなかった。
機体は跳んだ。
水が、爆ぜる。
巨大な波が立ち上がり、何キロにもわたって海岸を呑み込む。
衝撃はあまりに激しく、その音は途切れることのない雷鳴のように響き渡った。
医療区画では、すべてが揺れた。
負傷者は外科用カプセルに密封されたまま、
金属製の可動椅子に固定された医師たちは壁へと押しやられ、
混乱の中でも確かな手でシステムを調整し、命を繋ぎ止めていた。
そして、冷気。
光が、弱まる。
圧力が、すべてを包み込み始めた。
ロボットはゆっくりと沈んでいく。
戦争の重みを引き連れたまま。
暗い水が巨大な躯体の周囲を閉ざしていく。
深い軋みが装甲を通して響き、
何人かの兵士は、深度の見えない圧迫に押し潰されそうな恐怖を、喉の奥で飲み込んだ。
数分が過ぎた。
そして――何かが、底に触れる。
巨像は、海底に降り立った。
完全な闇の中で、ロボットは輝く。
世界の底に打ち込まれた赤い星のように、
動かず、静かに、待っていた。
その上では……
空が、敵で満ちていく。
――次章へ続く。




